ERC2018/03/25

ルクヤヌク、ERC開幕戦アソーレスで優勝

(c)ERC

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 2018年ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)開幕戦ラリー・アソーレスで、ロシアン・ロケットと異名をもつアレクセイ・ルクヤヌク(フォード・フィエスタR5)が木曜日の夜のオープニングSSから最終ステージまで首位を守りきり今季初優勝を飾った。

 地元のヒーロー、リカルド・モウラ(シュコダ・ファビアR5)に21.8秒差をつけて最終日をスタートしたルクヤヌクは、最初のステージではブレーキキャリパーからのオイル漏れと戦いながらもベストタイムを刻み、リードを24.5秒に広げて発進する。

「最後までトライする」と語っていたモウラは全開で攻め続けるも、美しいSS11トロンケイラ・ステージでスピンして10秒近くをロスしてしまう。いっぽうルクヤヌクも難しいこのステージで同じくスピンを喫しながらも連続してベストタイム、リードを38.8秒へと広げて朝のループを終えることになった。

 ルクヤヌクは、気温が上がりタイヤに厳しくなった午後のループでは「タイヤのマネージメントとミスを犯さないように慎重なペースでのアプローチで臨んでいる」と語っていたが、モウラもタイヤのグリップが怪しくなってきたためにペースダウンを強いられてため、ルクヤヌクは優勝を確信する47.9秒という大きなリードを手にして最終ステージのトロンケイラを迎えることになる。

 ルクヤヌクは、ゴールまで残り数100メートルのコーナーでドーナツターンをみせて待ち受けていた観客たちにむけてファンサービスを行ったため30秒あまりもロスすることになったが、モウラに対して16.4秒をリードしたままフィニッシュ、開幕戦に勝利することになった。

「これだけの多くの観客の前で優勝できたのは素晴らしい気分だよ。やりたいようにドライブしたいという気持ちを抑えて自分をコントロールするのは難しいラリーだった。その戦いから解放されたのでフィニッシュラインの手前で最後にドーナツを決めたんだ!」とルクヤヌクは勝利の喜びを語っている。

 タイヤチョイスのミスからペースの上がらなかったモウラは、終盤にペースを上げてきたブルーノ・マガラエス(シュコダ・ファビアR5)が9.3秒差まで迫ったがどうにか2位をキープすること成功した。過去アソーレスで3度の優勝経験をほこるマガラエスはモウラと10秒差の3位で最終日をスタートしたが、朝のループでフロントデフを破損、失ったタイムを取り戻すために必死の追撃を最後まで試みたが惜しくも届かなかった。

 クリス・イングラム(シュコダ・ファビアR5)とマルティン・コチ(シュコダ・ファビアR5)によるERCジュニアU28選手権のバトルは、朝のループでイングラムがパンクのため30秒をロスして決着したかに見えたが、午後のループで素晴らしいペースをみせて逆転するわずか4秒のリードで迎えた最終ステージでイングラムはハーフスピンを喫するも、コチはクラッシュによって劇的なリタイアとなったため、R5マシンでのデビュー戦ながらイングラムがERCジュニアU28選手権初勝利を飾るとともに総合4位でフィニッシュすることになった。ジュニアU28選手権の2位にはフレドリック・アーリン(シュコダ・ファビアR5)が続いている。

 ERCジュニアU28チャンピオンのマリヤン・グリーベル(プジョー208 T16)は金曜日にハンドリングの問題から17位に後退、選手権ポイント獲得が絶望的なことから予算を節約するために最終日の朝、リタイアを決めている。

 タマラ・モリナロ(フォード・フィエスタR5)にとってR5マシンデビューはブレーキトラブルやエンジンのポップオフバルブの問題から厳しい試練となり、総合では14位に終わったが、ERCレディス・カップでの優勝を飾っている。

 ERCジュニアU27選手権では、金曜日までラリーをリードしてきたADACオペル・ラリー・ジュニアチームのマーティンシュ・セスクス(オペル・アダムR2)が朝のループでギヤボックスの問題から2位に終わり、地元のディエゴ・ガーゴ(プジョー208 R2)が開幕戦勝利を飾っている。

 またERC2では燃料系のトラブルから一時1分近い遅れをとってファン・カルロス・アロンソ(三菱ランサーエボリューションX)が最終日、岩にヒットしてホイールを壊したセルゲイ・レメニク(三菱ランサーエボリューションX)を逆転して優勝を飾っている。

 ERC次戦は5月3〜5日に行われるラリー・イスラス・カナリアスとなっている。