ERC2020/07/26

ルクヤヌク、ERC開幕戦ローマの初日をリード

(c)Rally di Roma Capitale

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 2020年ヨーロッパ・ラリー選手権開幕戦のラリー・ディ・ローマ・カピターレは7月25日に初日を迎え、優勝候補の筆頭に挙げられていたFPFスポルトのアンドレア・クルニョーラ(シトロエンC3 R5)が波乱のクラッシュに見舞われるなか、ロシアン・ロケットとの異名をもつアレクセイ・ルクヤヌク(シトロエンC3 R5)がリードを奪うことになった。2位には34.1秒差で地元のジャンドメニコ・バッソ(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5)が続いている。

 ERCローマはクルニョーラのクラッシュという予期せぬ出来事とともに幕を開けることになった。クルニョーラは昨年のこのラリーで16SSのうち13SSでトップタイムを奪いながらもパンクのために勝利を逃している。彼はスタート前、一年前をふり返って、あのときパンクをしたピコ・グレコのステージは「ラリーでもっとも要注意だ」と語っていたにもかかわらず、彼はSS1ピコ・グレコをスタートして2.3km地点のクレストを越えたすぐ先の右コーナーで岩壁にクラッシュすることになった。

 幸いにもクルニョーラとコドライバーのピエトロ・オメットの二人にケガはなかったものの、タイヤ2本を吹き飛ばして無惨に横たわったマシンをコースから取り除くためにステージは45分にわたってストップすることになった。

 狭くバンピーなこのステージでは走行によって土砂がかきだされ、トラブルが続出することになったが、そのなかで鮮やかなベストタイムを奪ってラリーをリードしたのはルクヤヌクだ。ルクヤヌクはSS2ロッカスカ・コッレ、SS3サントパドレでも連続してベストタイムを奪い、予選でトップタイムを奪ってペースセッターとなったジャンドメニコ・バッソ(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5)に9.8秒差をつけて朝のループを終えることになった。

「タイヤとブレーキをこのループでもたせることが重要だったが、最後はタイヤが終わったかと思った。でも、ペースはよかった。新しいコドライバーのドミトリー(・エレメーフ)との初ラリーだが、うまくいっているよ」とルクヤヌクは語っている。いつものようにルクヤヌクとの首位争いになったバッソだが、3連続で2番手タイムにもここまではうまくいっているとステージエンドで笑みをみせる。「タイヤを節約しようとしたんだ。ここまでは順調にいっている。石をヒットしないように道路をしっかりと見なければならない」

 バッソから22.1秒差の3位で朝のループを終えたのはシモーネ・テンペスティーニ(シュコダ・ファビアR5)だが、彼の後方6位まではわずか4.5秒差と僅差で続いている。4位はドイツ・チャンピオンのファビアン・クライム(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5)、オリヴァー・ソルベルグ(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5)はSS1とSS2でともにコースにかき出された石をヒットしたが、いずれの場合もパンクを避けてどうにか35秒差の5位で続いており、クレイグ・ブリーン(ヒュンダイi20 R5)も新しいMRFタイヤながら6位につけている。

 これがターマックデビュー戦のソルベルグは、難しかった朝のループをふり返って「ドラマなしというわけにはいかなかった」と語っている。「とてもステージは困難で注意が必要だったが、さらにしまったことにSS2前に眼鏡を失くしたんだ! これでSS2とSS3でタイムを失ったのは単純によく見えなかったからだ! それでもありがたいことに父さんは壊れた眼鏡を見つけてくれて、瞬間接着剤で修理してくれた!これで次のループへの準備はばっちりだよ」

 朝のループでは、クルニョーラのクラッシュのほかにもパンクやリタイアが続出することになった。Mスポーツ・フォードのアドリアン・フォーモウ(フォード・フィエスタR5 Mk2)も左フロントをパンクして35秒をロス、どうにか続行するもふたたびSS2でクラッシュしてリタイアとなっている。

 フォーモウの壊れたマシンはルーフを下にしてストップしたため、ステージはこの日2度目の赤旗でストップ、またもラリーは大きくディレイすることになり、午後のループは2時間遅れた17時25分に始まることになった。

 首位のルクヤヌクのペースは午後になっても変わらない。SS4、5、6と連続してベストタイムを奪い、2位につけるバッソへのリードを34.1秒へと広げてサービスへと帰ってきた。「ここに帰ってくることができてよかったよ。2回目の走行では本当に道路がスリッパリーで本当に厳しい一日だった。マシンもいいし、タイヤもよかった。パッケージもうまくいっているようだ」

 いっぽう、2位につけるバッソにとっては、イタリア選手権のライバルであるクルニョーラのリタイアでシナリオはすっかり変わってしまった。イタリア選手権は今回、土曜日が開幕第1戦、日曜日が第2戦というダブルヘッダーの開催となっており、バッソは2位のジャコモ・スキャットロン(シュコダ・ファビアRally2)を40秒近く引き離してイタリア選手権トップで午後のループをスタートしており、すでにリスクを冒してまでERCの優勝争いをする必要はない。

 バッソはSS4では7番手タイム、SS5では3番手タイムも、ふたたびSS6では5番手タイムとペースを押さえながらも総合2位でフィニッシュ、イタリア選手権では開幕戦優勝を飾ることになった。「ここで重要だったのはコースの石を避けること、そしてイタリア選手権の最初のパートに勝つことだった」とバッソは語っている。

 午後のステージでペースを上げたのはソルベルグだ。SS4では3番手タイムで4位へと浮上、さらにSS5とSS6では連続して2番手タイムを奪い、テンペスティーニに7.5秒差をつけて3位をキープ、ERCジュニア1をリードしてこの日を終えている。「午後のスタート前にバッソから注意していくのが大事だと教わった。僕にはすべてが勉強だ。大きなスライドをさせてしまい、タイヤが最後はボロボロだったが、いいフィーリングで走れたよ」

 テンペスティーニから5秒差の5位にはクライム、さらに0.1秒差の6位でブリーンが続いている。ブリーンはSS5の2番手タイムで3位まで順位を上げたが、開発途上のタイヤはグリップが持続しないため残り2つのステージともに7番手タイムに終わり、6位へと沈んでいる。

 フリープラクティスでクラッシュしたERC1ジュニア王者のフィリップ・マレシュ(シュコダ・ファビアRally2エボ)はどうにかマシンの修理がこの日のスタートに間に合ったが、後方からのスタートのためダーティな路面に苦しむことになった。SS1のスピンでディッチに落ちてしまい、11位で初日を終えている。

 また、チェコ期待の若手エリック・ツアイス(シュコダ・ファビアRally2エボ)はSS1でサスペンション破損でリタイアとなっており、モータースポーツ・アイルランド・ラリー・アカデミーのカルム・デヴァイン(ヒュンダイi20 R5)はSS3の最終コーナーで突然エンジンがストップ、そのままリタイアを余儀なくされた。

 ERC3ジュニアではケン・トルン(フォード・フィエスタRally4)がリード、
ペドロ・アントゥネス(プジョー208 Rally4)が11.2秒差の2位で続いている。ERC2はゼリンド・メレガリ(スバルWRX STI)がリードしている。