ERC2016/10/10

ルクヤヌクがキプロス圧勝、選手権2位が確定

(c)ERC

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 2016年ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)最終戦のキプロス・ラリーが10月9日に最終日を迎え、ロシアのアレクセイ・ルクヤヌク(フォード・フィエスタR5)が今季2勝目を独走で飾るとともに、ドライバーズ選手権で昨年の3位を上回る2位を決めてシーズンを締めくくることになった。

 ラフなグラベルと砂が乗ったトリッキーなターマックのミックスステージで争われるキプロス・ラリー。二日間を終えてすでに後続に対して1分35.5秒のリードを築いたルクヤヌクだが、最終日もペースを緩めない。

 金曜日にナイトステージとして行われた2つのステージをリピートする最終日の朝、彼は初日の走行によって驚くほどにクリーンになった路面で思う存分にスピードを楽しみ、連続してトップタイムを叩きだして後続との差をさらに広げ、1分59秒の大差をつけてキプロスの勝利にむけていっそう加速している。

 いっぽう、最終日になっても総合2位をめぐるドイツのマリヤン・グリーベル(シュコダ・ファビアR5)とラトビアのラルフス・シルマチス(シュコダ・ファビアR5)の二人のバトルは終わらない。

 ERCジュニア・チャンピオン獲得のプライズとしてERCプロモーターのユーロスポーツイベンツから最終戦でR5マシンをドライブするチャンスを与えられた27歳のグリーベル。かたや昨年のERCジュニア選手権で惜しくも王座を逃したあと今季R5マシンにステップアップを果たし、見事、今季3勝を飾った22歳のシルマチス。トリッキーなナイトステージでリズムに乗れなかったシルマチスが二日目以降、R5ルーキーのグリーベルとの差をもっと詰めるかにも見えてきたが、次第にペースを上げたグリーベルとの差をなかなか縮めることができない状況となっていた。

 最終日もグリーベルがオープニングSSでシルマチスに5.9秒差をつける2番手タイムで発進、2つ目のステージでは1.6秒を失うことになったものの、朝のループを終えてその差を47.5秒へと広げて2位のポジションを堅持している。

 キプロス・ラリーでは最後の2つのステージが「ラブ・キプロス・ゴールデンステージ」として行われ、キプロス観光協会賞金総額6万ユーロ(およそ690万円)がかけられ、総合順位とは別にこの2つのステージの合計タイムでトップになれば2万5000ユーロ(およそ288万円)が贈られる。

 ドライバーたちは初日からこの2つのステージのためにタイヤを温存、ルクヤヌクもグリーベルもソフトのフレッシュタイヤ4本をキープしていたものの、主催者は当初、20.08 kmで行われる予定だったSS13のゴールデンステージ1を11kmに短縮したあと、最終的に安全上の理由によりキャンセルとすることを決定、86%がグラベル、14%がターマックの14.50kmで争われるSS14ゴールデンステージ2のみが行われることになった。

 ここでもルクヤヌクがシルマチスに10.8秒の大差をつけてゴールデンステージでの勝利を獲得、キプロス・ラリーの優勝に華を添えることになった。彼は最終日の3ステージすべてでトップタイムを奪い、三日間に行われた全12SSのうち9ステージを制し、シルマチスとのドライバーズ選手権2位争いを完璧な形で決めている。

「不運なことが重なったシーズンだったが、さまざまなコンディションで速さを見せられた。僕を支えてくれたチームとスポンサーのおかげだよ。ゴールデンステージのボーナスは僕のものではない。僕を支援してくれた彼らに少しでも返すことができることになってよかったよ」とシルマチスは語っている。

 ゴールデンステージで2番手タイムを叩き出したシルマチスが1万5000ユーロ(およそ172万円)、グリーベルも1万ユーロ(およそ115万円)のボーナスを獲得してフィニッシュすることになったが、シルマチスはグリーベルには43.8秒届かず、総順位ではグリーベルが殊勲の2位でフィニッシュ、シルマチスは3位となりドライバーズ選手権でも3位でシーズンを終えることになった。