ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)最終戦のラリー・ハンガリーは 9日にレグ1の競技を行い、サンテロック・ジュニアチームのアレクセイ・ルクヤヌク(シトロエンC3 R5)が44.4秒の大差をつけて首位に立っているものの、選手権リーダーのクリス・イングラム(シュコダ・ファビアR5エボ)が初の王座にむけて堅実な走りをつづけて2位につけている。
ハンガリー北東部のターマックステージは雨によって泥がコースを覆ったためチャレンジングな舞台となり、この日最初のステージでは前夜のオープニングSSに続いてベストタイムを奪った地元ハンガリーのフェレンツ・ヴィンツェ(シュコダ・ファビアR5)がリードする展開で始まることになった。
しかし、ここで勝利するしかないルクヤヌクはSS3でベストタイムを奪ってヴィンツェを捕らえて首位に浮上するや、2連続のベストタイムを奪って早くも20.7秒をリードして朝のループを終えることになった。
午後になると路面はすこしずつドライになったものの、かき出された土によってスリッパリーになったコーナーがいくつものドラマを誘発する。SS5でそれまで2位につけていたヴィンツェがパンクのためにタイヤ交換を強いられて10位へと後退、さらにルクヤヌクも左リヤをパンクしてしまう。それでもルクヤヌクは幸運なことにスローパンクのためにマシンを止めるほどではなかったが、ゴール地点では完全にタイヤがバーストした状態だ。
ルクヤヌクは20秒を失いながらもどうにか首位をキープしているものの、上位陣にドラマが相次いだことでイングラムが21.3秒差の2位へと浮上することになった。
タイトル防衛に強い意志をみせるルクヤヌクは残り2つのステージでもベストタイムを出し続けて、イングラムとの差を44.4秒へと広げて、トップで一日を締めくくった。
「前に出たほうがいいかどうかわからない。おそらく悪くはないが、グリップとコンディションについてはまだ大きなギャンブルだ。なぜなら明日は雨が降るかもしれないからね。どのみち僕らにできることはこの難しいコンディションで首位を守りきる以外にタイトルへの道はないからね」とルクヤヌクは語った。
イングラムはタイトルのためにも慎重な戦略で行くと語っていた方針を守り続け、44.4秒差の2位でつけている。選手権では19ポイント差の2位につけていたスポーツ・レーシング・テクノロジーズ(SRT)のウーカシュ・ハバイ(シュコダ・ファビアR5)はSS6でクラッシュに見舞われてリタイアとなったため、イングラムはこのポジションを最終日も守りきれば初の王座に輝くことになる。
「僕らはそれでも慎重な戦略で行っているが、SS3につづいてこの最終ステージでもパンクしてしまった。本当にステージは難しいよ。
ACCRチェコラリーチームのフィリップ・マレシュ(シュコダ・ファビアR5)は3位で最終ステージを迎えながらもヘアピンでミス、タイヤをパンクさせてしまって4位へと後退、地元ハンガリーのトップランナーであるフリジェス・トゥラン(シュコダ・ファビアR5)が6.秒差の3位でこの日を終えている。