ERC2017/04/02

ルクヤヌクまたも悪夢、地元マガラエスが優勝

(c)ERC

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 2017年ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)開幕戦ラリー・アソーレスは、初日に圧倒的な速さをみせて首位に立っていたロシアのアレクセイ・ルクヤヌク(フォード・フィエスタR5)がステアリングを壊してリタイアとなり、ポルトガルのブルーノ・マガラエスがシュコダ・ファビアR5にスイッチした最初のイベントで値千金の勝利を飾った。

 春の荒れやすい天候で有名なラリー・アソーレスは、濃い霧と雨のなかで最終日の朝を迎えることになり、いっそうトリッキーとなったコンディションのなか多くのドライバーがパンクやマシンへのダメージに見舞われることになる。

 初日に21.6秒をリードしたルクヤヌクは、後方の混乱を余所にオープニングSSでライバルたちを10秒近く引き離すベストタイムを奪い、リードを37.1秒へと広げてみせる。しかし、快調にスタートしたかにみえたその矢先、次のSS12トロンケイラでドラマが待ち受けていた。

 路面にかき出された石を巻き込んだルクヤヌクはステアリングアームを破損してストップ、どうにか応急修理によって9分30秒遅れでステージを走りきったものの、ステージエンドでリタイアを決意、昨年もスピンとスローパンクで優勝を逃したこのステージでまたも彼は天を仰ぐことになった。

 ルクヤヌクがトラブルに見舞われたことでラリーリーダーに浮上したのはマガラエス。しかし、昨年のウィナーであるリカルド・モウラ(フォード・フィエスタR5)もこのステージでは2番手タイムで追撃体制を崩さず、朝のループを終えてマガラエスまで9.6秒差につけている。

 気温が上がり始め、午後のループは濃い霧のなかでスタート、最初のステージは前がほとんど見えないコンディションとなった。地元勢同士の激しい優勝争いとなるかと思われたが、モウラがエンジントラブルに見舞われてマシンをストップすることになる。

 ライバルが消えたことでマガラエスは大きなリードを手にすることになり、残された2つのステージでも危なげない走りで首位を守りきり、最終的に後続に1分34秒差をつけて波乱のERC開幕戦を制することになった。

 プジョーポルトガルの支援で2007年から2009年までポルトガル選手権を三連覇しているマガラエスは、ラリー・アソーレスがインターコンチネンタル・ラリーチャレンジ(IRC)の一戦として開催された2010年、クリス・ミークやユホ・ハンニネンを抑えて殊勲のインターコンチネンタル・ラリーチャレンジ(IRC)初優勝を獲得しているほか、2008年にもヨーロッパ・サウスカップの一戦として開催された際に優勝を飾っており、これが母国ラウンドの3度目の勝利となった。

「本当に驚くべき勝利だよ。何年もの間、僕はこのようなマシンをドライブすることを夢見てきたよ」とマガラエスは語っている。「もちろん僕はまだファビアで走った経験がなかったので、学びながらのスタートだった。滑りやすくトリッキーな路面コンディションとなり、おまけにクルマの数メートル前しか見えない状況のため、簡単にミスをしそうな危険なステージだった。無事に最後まで走りきり、素晴らしい勝利ができたことに感謝したい」

 上位陣の脱落によって2位でフィニッシュしたのは昨年のERCジュニア・チャンピオンのマリヤン・グリーベル(シュコダ・ファビアR5)。初日のパンクで出遅れ、最終日もターボトラブルもあったが、昨年の最終戦キプロスでのR5デビュー戦に続いて殊勲の総合2位表彰台を獲得しただけでなく、ERCジュニアU28カテゴリーで優勝を飾ることになった。

 チェコのヤン・チェルニー(シュコダ・ファビアR5)はジュニアU28での2位、総合3位を目前にしてSS15でクラッシュ、彼に代わってポジションを上げたアイルランドのジョシュ・モフェット(フォード・フィエスタR5)が2年前のサーキット・オブ・アイルランドに続く2度目のERC総合表彰台を獲得することになった。

 最終日をERCジュニアU28の首位でスタートしたニコライ・グリアジン(シュコダ・ファビアR5)はルクヤヌクがリタイアした同じSS12でコーナリングの際に突然パワーステアリングを失って崖にヒット、不運なパンクで彼は優勝戦線から脱落、4位に終わってしまった。

 ERCジュニアU27は、オープニングステージからラリーをリードしてきたオペル・ジュニア・チームのクリス・イングラム(オペル・アダムR2)が燃料ポンプのトラブルのためSS12で7秒をロス、土壇場でチームメイトのヤリ・フットネン(オペル・アダムR2)に抜かれてしまった。二人は最終ステージまで激しく優勝を争うことになり、ここでフットネンがまさかのクラッシュ、イングラムが逆転優勝を飾っている。

 ERC次戦は5月4〜6日にスペインのカナリア諸島で開催されるラリー・イスラス・カナリアスとなる。