FIAヨーロッパ・ラリー選手権第2戦ラリー・イスラス・カナリアスの最終日は、優勝最有力候補だったサンテロック・ジュニアチームのアレクセイ・ルクヤヌク(シトロエンC3 R5)がサスペンションを壊してマシンを止め、シトロエン・エスパーニャ・ラリーチームのホセ・マリア・ロペス(シトロエンC3 R5)がキャリア初優勝を飾ることになった。
過去カナリアスで3勝を飾っているルクヤヌクはロペスに3.8秒差をつけてラリー初日をフィニッシュ、ロペスはERCジュニア1選手権の今季タイトルを戦うことを最優先にするためには経験豊富なルクヤヌクに無理して挑むことはないと語って最終日を迎えることになったが、いきなり7.18kmのオープニングステージで波乱の展開が待っていた。
ルクヤヌクはSS9アルカスのゴール地点であるディーサに左フロントのサスペンションとタイヤのホイールを傷めて20秒遅れでフィニッシュ、ここでロペスに首位を譲ることになっただけでなく、リタイアとなってしまう。
「ゲームオーバーだよ、左コーナーでインカットしすぎて何かを引っかけてしまった。もちろん僕らは戦いにむけて気合いが入っていたし、ベストを尽くしたが、いまの気持ちを説明するのは困難だよ」とルクヤヌクは語った。
ルクヤヌクの脱落で、ロペスは首位に浮上、後続のグループが40秒近く離れていることから堅実な走りでリードをマネージメントして、2007年のエンリケ・ガルシア・オヘダ以来となるスペイン出身のERCウィナーに輝くことになった。
「本当にうれしいよ。チームに感謝したい。まさかERCで優勝できるとは思わなかった。アレクセイ(・ルクヤヌク)は残念だった。僕も今朝は最初のコーナーで壁に接触して危なかった。そのあとはタイヤとブレーキを守ってリードをマネージした。クルマもパーフェクトだったよ」とロペスは語っている。
ロペスが首位をキープしてクルージングするなか、2位のクリス・イングラム(シュコダ・ファビアR5)と4.2秒差で続くマリヤン・グリーベル(シュコダ・ファビアR5)のバトルが最終日のハイライトになった。
2年前のERCジュニアU28王者であるグリーベルは、じわじわとイングラムに迫り、朝のループで2秒差まで近づくことになったが、午後のループではイングラムが2連続ベストタイムで反撃、グリーベルはゴールを目前にしてパンクに見舞われて9位に終わることになった。
MOLレーシングチームのノルベルト・ヘルツィグ(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5)は4位につけていたが、グリーベルがパンクで後退したため表彰台のチャンスがあったが、彼も同じようにSS15でパンクに見舞われて20秒をロス、5位でフィニッシュしている。
開幕戦アソーレスで勝利したスポーツ・レーシング・テクノロジーズのウーカシュ・ハバイ(シュコダ・ファビアR5)は苦手なターマックで最終日を7位で迎えながらも終盤の2つのステージでライバルの脱落に助けられながらも2連続のベストタイムを奪って3位表彰台を獲得、選手権リーダーをキープしている。
カナリアスで優勝争いにからむことが期待されたチームOSCAROのピエール-ルイ・ルベー(シュコダ・ファビアR5)はタイヤのトレッド剥離とトランスミッションのトラブルに見舞われて初日は8位にとどまったが、最終日も2つのベストタイムを奪うなど勢いをキープ、ゴール目前のSS15でライバルたちの脱落で表彰台圏内まで3.1秒差と迫ってみせた。しかし、最終ステージでオーバースピードのためにスライド、ディッチにマシンを落として10秒あまりをロス、惜しくも5位でラリーを終えることになった。
ラリーチーム・スペインのホセ・アントニオ・スアレス(ヒュンダイi20 R5)は初日のタイヤトラブルで10位と出遅れ、最終日は7位まで追い上げたが、エンジントラブルのために15位と残念な結果に終わっている。
ERC2とアバルト・カップは、アルベルト・モナッリ(フィアット124アバルトRGT)が制し、ERC3はフローリアン・ベルナルデイ(ルノー・クリオR3T)が優勝、ERC3ジュニアではジャン-バティスト・フランセスキ(フォード・フィエスタR2T)が優勝を飾っている。