WRC2023/03/17

ロヴァンペラとラッピがシェイクダウン最速

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 2023年世界ラリー選手権第3戦ラリー・メキシコのシェイクダウンが16日木曜日に行われ、トヨタGAZOOレーシングWRTのカッレ・ロヴァンペラ(トヨタGRヤリスRally1)とエサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 N Rally1)が3分44.4秒の最速タイムをわけあっている。

 3年ぶりにWRC開催となるラリー・メキシコのシェイクダウンは前回と同様にジャノ・グランデの5.52kmのステージで朝10時からスタートした。欧州圏外のイベントでは現地でのプレテストが禁止されるため、本番のステージに近い路面を走行するシェイクダウンは、セットアップの最終チェックを行なう意味での重要なチャンスとなる。

 一回目の走行で驚かせたのはセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリスRally1)だ。5番手で走った彼はそれまでの暫定トップタイムを3.6秒を上回ることに成功、過去6度優勝しているメキシコでの強さを早くもここで実証することになった。だが、9番手で走ったダニエル・ソルド(ヒョンデi20 N Rally1)がオジエを1.8秒も引き離す圧巻の速さをみせ、走行順を味方にして明日の金曜日も一暴れしてくれそうなパフォーマンスを見せることになった。1番手で走行した選手権リーダーのオイット・タナク(フォード・プーマRally1)はハードタイヤ5本を選んだこともあって7.7秒遅れの8番手タイム、2番手走行のロヴァンペラもダストの掃除に苦しんで6.1秒も突き放された7番手タイムに沈んでいる。

 シェイクダウンの2回目の走行でもソルドが連続してベストタイム、路面がクリーンになり始めたこともあって3番手で走行するヌーヴィルが2番手タイム、ヒョンデ勢が上位を占めることになった。

 さらに路面が掃除された3回目の走行ではトヨタ勢がペースを上げ、ロヴァンペラがトップタイムをマーク、2番手にはオジエが続くことになったが、4回目の走行でラッピがロヴァンペラと並んで、シェイクダウンの一番時計を記録することになった。

 ロヴァンペラは、最終的にトップタイムだったとはいえ、タナクに続いて明日も2番手で走行をすることになるため、厳しい展開になることを覚悟している。

「予想していた通りの展開だったね。最初の走行は本当に滑りやすく、きれいなラインはほとんどなかった。明日は間違いなく大変なことになる。前にオイットがいても、1台だけだから、常にライン通りに走ることはできないんだ」

 ロヴァンペラとともにシェイクダウン一番時計を刻んだラッピは、1回目の走行でも4番手タイムとヒョンデでの初グラベルラウンドにもかかわらずいいペースを見せており、明日に向けて良い感触をつかんだようだ。「いいシェイクダウンだった。2回目と3回目の走行でいくつかのことを試したが、うまくいかなかったので、4回目は元のセッティングに戻したんだ」

 0.3秒差の3番手タイムはオジエ、2回目まで速さをみせたソルドが4番手、5番手にはエルフィン・エヴァンス(トヨタGRヤリスRally1)、2回の走行で切り上げたヌーヴィルは6番手タイムにとどまっている。

 それでもラリーの勝負どころとなる明日の金曜日の順位を占う意味では、シェイクダウンの総合タイムよりもルースグラベルが積もった1回目とややクリーンになり始めた路面で行われた2回目のタイムがより大きな意味をもつ。

 シェイクダウンの最初の走行で金曜日の朝のループの3SS/58.87kmをシミュレーションすると、ソルドが走行順を活かして大きくリード、オジエは19.19秒遅れの2位、ヌーヴィルは59.72秒遅れ、ロヴァンペラは1分05.05遅れ、タナクは1分22.11秒も遅れる計算だ。

 3回目の走行で路面がかなりクリーンになるとソルドは上位陣のペースにはついていけず、ややタイムを落したが、シェイクダウンの2回目でも引き続き速さをみせたことは金曜日の午後も朝のマージンを活かして首位を守る可能性が高いことをデータが示している。

 シェイクダウンの2回目の走行を元に、金曜日の午後の3SSのタイムを計算すると、ペースを上げたヌーヴィルは2位のオジエとの差を40.5秒差から30.9秒差へと縮めて追い上げることが予想される。ロヴァンペラもペースをやや上げたとはいえ、ヌーヴィルからは8.53秒遅れ、首位からは1分24.2秒遅れと優勝を争うのは厳しくなりそうだ。それでもロヴァンペラは選手権を争うタナクとの差を37.32秒へと広げる計算だ。タナクにとっては試練の金曜日になりそうだ。

 また、メキシコ初挑戦の勝田貴元(トヨタGRヤリスRally1)は9番手タイムでシェイクダウンを終えている。

■シェイクダウンタイム
1. K.ロヴァンペラ 3分44.4秒
1. E.ラッピ 3分44.4秒
3. S.オジエ 3分44.7秒
4. D.ソルド 3分45.8秒
5. E.エヴァンス 3分46.0秒
6. T.ヌーヴィル 3分47.3秒
7. O.タナク 3分48.6秒
8. P-L.ルーベ 3分49.5秒
9. 勝田貴元 3分50.5秒