RallyCross2020/07/08

世界王者クリストファーソンが貫禄の勝利

(c)RallyX Nordic

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(c)Thierry Neuville

 王者が戻ってきた。オールスター・マジック・ウィークエンドで開幕したラリーXノルディックは、雨模様となった日曜日、ヘリエス・サーキットでスーパーカーによるマスタークラスが開催され、ヨハン・クリストファーソン(フォルクスワーゲン・ポロ)が紛れもない2度の世界王者であることを皆に思い出させる快勝を飾った。土曜日に行われたQ1とQ2を制して「スーパーサタデー」をトップで通過したニクラス・グロンホルム(ヒュンダイi20)は、不運によって決勝を逃した。

 オールスター・マジック・ウィークエンドは、金曜日の第1ラウンドで開幕、ポールシッターのグロンホルムやクリストファーソンを押さえたラリーXノルディック王者のロビン・ラーソン(アウディS1)が勝利を飾っている。

 2016年型フォルクスワーゲン・ポロ・スーパーカーを駆ったクリストファーソンは、土曜日の2回の予選でもラーソンのペースに届かず初日を3位で終えたが、日曜日がスタートするとその走りは一変することになった。雨によってコンディションが悪化したQ4ではライバルたちを圧倒し、準決勝でも追い手を振り切り、10秒近くの差をつけてフィニッシュすることになった。

 そして迎えた決勝でクリストファーソンはスタートでポールシッターのラーソンを引き離してターン1にトップで進入するやライバルの追従を許さず、約20ヶ月にわたりラリークロスに参戦していなかったにもかかわらず、母国スウェーデンでセンセーショナルなカムバック勝利を飾った。ラーソンは、ここでは最後までクリストファーソンに追いつくことができずに準優勝を果たすことになった。

 2年前にラリーXノルディックで王者に輝いているオリバー・ソルベルグがシトロエンDS3でシリーズ復帰を果たしたが、ドライブシャフトとギアボックスの破損により金曜日の第1戦では4位に終わったが、日曜日の第2戦では終始快調な走りを見せ、オリヴァー・エリクソン(フォード・フィエスタ)や2017年ラリーXノルディック王者のトーマス・ブリンテッソン(フォルクスワーゲン・ポロ)をかわして3位表彰台を獲得した。

 ポントゥス・ティデマンド(フォルクスワーゲン・ポロ)は力強い走りをみせたが、準決勝で技術的なトラブルに見舞われたためファイナルを逃している。彼は金曜日の第1戦では決勝で6位となったが、技術的なトラブルに苦しみながらも不振に終わった。

 グロンホルムはQ1とQ2を制して予選初日のトップを獲得したたものの、準決勝のスタートラインで立ち往生してしまった。その後4位まで挽回したが、最終的にはタイムロスが大きすぎたためにファイナルを逃している。

 クリストファーソンは次のように語った。「戻ってこられてとても嬉しいよ!勝利の可能性が見えてきたときには、純粋なペースならば真の脅威になることができると感じた。競争モードに戻って、ギャップが開いてからは、すべてを分析しながら雨の中でいろいろなラインを試すことができたことは素晴らしかった」

「決勝での僕のスタートはとても良かった。実際、雨の中のスタートは3回とも素晴らしかった。ポロはウエットでもスタートしやすく、クラッチとスロットルでコントロールするのも容易だ。後ろのマシンに何も見えないように水しぶきをかけた。計画通りだよ!それ以降は、最初のラップはミスをしないように少しハードにプッシュして、あとは安全なマージンで周を重ねることに集中した。とてもハッピーだよ」

 またレジェンドクラスにおいては、2度の世界ラリー選手権王者のマーカス・グロンホルム(ヒュンダイi20)が他のラリーやラリークロスのヒーローたちを突き放し、彼の鋭いスキルが今も失われていないことを証明した。グロンホルムのラリークロスへの挑戦は、2012年のXゲームズで骨折して競技から引退したあとの初参戦となったが、ポール・トゥ・ウィンでほかのベテランドライバーたちを一蹴した。

 2位争いはスティグ・オロフ・ウォルフリッドソン(ルノー・クリオ)やアンドレアス・エリクソン(フォード・フィエスタ)、そして74歳になったペル・エクルンド(フォルクスワーゲン・ビートル)を抑えて、ヘニング・ソルベルグ(フォルクスワーゲン・ポロ)が制した。

 また、クロスカークラスには、ティエリー・ヌーヴィルが、彼と弟のヤニックが運営するライフライブ社が製作したTN5バギーでゲスト参戦しており、ライフライブとのコラボレーションによって北欧でのTN5の販売を協力するハンセン・モータースポーツからも2019年世界ラリークロス選手権チャンピオンのティミー・ハンセンが出場した。

 クロスカーはFIAが推進する将来のラリースターの育成プログラムにおいても若手発掘のためのグローバル・テストプログラムで使用することがアナウンスされるなどFIAが支援している車両だ。

 ヌーヴィルは新しいTN5シャシーを実戦で仕上げながらクロスカー・デビュー戦を走ることになり、47台が出場したクロスカー・カテゴリーではハンセンともども第1戦と第2戦でファイナルには進むことができなかったが、豪快なジャンプをみせて空中でライバルを抜き去るなど強力なパフォーマンスをみせていた。