ERC2018/06/17

伏兵ノールドグレン、波乱続出キプロスをリード

(c)Skoda

(c)ERC

(c)ERC

 FIAヨーロッパ・ラリー選手権第4戦のキプロス・ラリーは16日に初日が行われ、さまざまなトラブルに見舞われながらもカタールのナッサー・アル-アッティーヤ(フォード・フィエスタR5)が初日を首位で終えるかに見えたがスペアタイヤを使いはたして4位に後退するドラマが発生、シュコダ・モータースポーツが将来を期待するジュニア・ドライバーのユーソ・ノールドグレン(シュコダ・ファビアR5)が首位に立つ波乱の展開になっている。

 また、選手権リーダーのアレクセイ・ルクヤヌク(フォード・フィエスタR5)もラリーをリードして迎えた午後のループでクラッシュしている。

 キプロス・ラリーは土曜日、オープニングステージとなったケリアのステージがスタートした朝9時の時点ですでに気温は30度近くまで上昇、タフな戦いが予想されるなか、過去5度の優勝経験をもつアル-アッティーヤがポップオフバルブの問題に見舞われためにエンジンをリセットすることになり、ルクヤヌクがラリーをリードすることになった。

 だが、誰よりこのコースをよく知るアル-アッティーヤは、SS2でベストタイム、さらにSS3では今度は首位のルクヤヌクがスロットルに問題を抱えたためにここでも連続ベストタイムを奪い、朝のループを終えてルクヤヌクまで5.6秒差まで迫ることになった。

 ルクヤヌクは、スロットルに問題があり、エンジンがステージの途中でストールしてしまったと説明した。「僕らはスロットルのレスポンスが悪くなり、それで10秒から15秒は遅れてしまった。突然エンジンがストップして、僕らはリセットしなければならなかった」

 さらにルクヤヌクの悲劇は続く。彼はケリア・ステージの2回目の走行中にターマックセクションでホイールを失ってバリアにリヤをクラッシュ、ステージをふさぐ形でリタイアすることになる。

 これで首位に立ったのはアル-アッティーヤ。しかし、彼はコースを塞ぐようにストップしたルクヤヌクのマシンを避けるためにこのステージでパンク、さらに彼は続くSS5でもスタートしてすぐに連続してパンクに見舞われてしまいスペアを使いはたしてしまう。

 たった1本しかスペアを搭載していなかったアル-アッティーヤはこの日最後のステージではスローパンクの症状を抱えている1本に空気を満たしてスタートするもすぐにバースト、リムだけの状態になってどうにかゴールするも1分をあまりをロス、首位を明けわたして4位へと後退することになった。

 アル-アッティーヤのトラブルで首位でこの日を終えたのは、伏兵のノールドグレンだ。アクロポリス・ラリーに続いて今回もヴェーヴァース・スポーツからの参戦となる彼も、SS4でクラッシュしたルクヤヌクを避けるために石にヒット、左リヤをパンクしてしまったが、これがいい戒めになったと語った。

「SS4でルクヤヌクは道の真ん中にストップしていて、巨大な石が転がっていた。彼がそれにクラッシュしたのかどうかはわからないが、コースを外れてバリアへの激突を避けるためには、石の上を走るしかなかったんだ。おそらく彼はコントロールを失い、バリアにクラッシュしたんだろう」とノールドグレンは語った。

「彼は残念だったが、僕らはタフだったアクロポリス・ラリーから多くを学んでおり、クリーンに行って、なんとかして生き残ろうと思った。これほどあちこち石だらけとは予想もしてなかったよ」

 地元キプロス出身のサイモス・ガラタリオティス(シュコダ・ファビアR5)は朝のループで左フロントのサスペンションに問題を抱えてのスタートとなったが、初日を終えて2位につけている。彼はサバイバル戦となった1年前のキプロスでも2位でフィニッシュ、初のERC表彰台を達成しており、首位のノールドグレンと4.6秒差でスタートする明日は、地元でのERC初優勝を狙うことになる。

 4位で最終ステージを迎えた地元のアレクサンドロス・ツウロフタス(シトロエンDS3 R5)もポディウムポジションでフィニッシュするチャンスがあったが、彼もまたこのステージでメカニカルトラブルのためにマシンを止めてしまった。

 初日を終えて8.8秒差の3位につけるのは、前戦アクロポリスで優勝を飾ったブルーノ・マガラエス(シュコダ・ファビアR5)。彼はキプロスのルースグラベルに苦戦、朝のループでは6位となったが、路面に転がる石によってトラブルが続出した午後のステージでここまで順位を上げている。「ルクアヌクが壊れたマシンの外に出ているのを見たとき、僕はポイントを獲得するためにもこの日をトラブルなく終える必要があることに気づいたんだ」と、ルクヤヌクと選手権を争うマガラエスは語っている。

 また、首位から48.4秒差の4位にはアル-アッティーヤが続いている。アル-アッティーヤの13秒後方の5位には、前戦アクロポリスで2位でフィニッシュ、初のERC表彰台を達成したハンガリーのノルベルト・ヘルツィヒ(シュコダ・ファビアR5)が続いている。