WRC2019/08/06

勝田、フィンランドは小さなミスが大きな代償に

(c)Toyota

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 TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムに参加中の勝田貴元が、8月1日から4日にかけて開催された世界ラリー選手権第9戦ラリー・フィンランドのWRC2に、コドライバーのダニエル・バリットと共に参戦、金曜日にはカテゴリー3位につけるなど健闘したが、土曜日の最初のステージでクラッシュ、リタイアでラリーを終えることになった。

 勝田にとって今回は4回目のラリー・フィンランド出場となる。フィンランドに住み、プログラムの一環としてこれまで多くのフィンランド国内ラリーにも参戦してきた勝田は、ハイスピードなグラベルステージを得意としてきた。そして今回は、新たに開発されたフォード・フィエスタR5のWRCデビュー戦を担うことになったが、そのテストの目的もあって出場したラリー・エストニアでは、僅か3ステージしか走ることができず、充分な経験を得られないままラリー・フィンランドに臨むことになった。

 それでも勝田は良好なスタートを切り、ミスのない走りで金曜日のステージを走破、もう1台の新型フィエスタR5よりも速いタイムを刻み、WRC2カテゴリーで最終的に優勝を飾ることになるニコライ・グリアジンから0.1秒遅れの3位につけることになった。

 しかし、勝田は土曜日最初のステージの最初のコーナーで、道の外側に設置されていたコントロール・フラッグを表示するボードに接触。その際、ボードの裏側に置かれていた大きなコンクリート製のブロックに当たり、クルマに大きなダメージを受けてリタイアとなってしまった。チームはマシンをサービスに戻して最終日にリスタートさせるべく損傷をチェックしたところ、制限時間内に修理できないことから、勝田とチームは競技続行を断念、ラリーからのリタイアを余儀なくされた。

 勝田は次のようにラリーをふり返っている。

「ラリー・エストニアでは、この新しいクルマで充分走行できなかったので、学習すべきことが多くありました。開発をしながら走るのは非常に難しかったですが、全てのステージでプッシュし、金曜日のいくつかのステージではトップの選手達に近いタイムを刻むことができました。金曜日のパフォーマンスには概ね満足できたので、土曜日に関しても同じアプローチで臨みました。しかし、最初のステージの最初のコーナーで、コースサイドのマーカーフラッグの裏側にあった大きなコンクリートブロックに当たってしまいました。ただの旗だと思ってコーナリングラインを変えなかったのですが、非常に大きな衝撃を受けました。小さなミスではありましたが、僕らのラリーはそこで終わってしまいました。とても残念ですが、この経験から多くを学び次のチャレンジに活かしたいと思います」

 ヤルッコ・ミエッティネン(インストラクター)は次のように語った。

「タカとダンは、小さなミスによりリタイアとなってしまい本当に残念だ。金曜日は良い1日で、タカは慣れないクルマを上手に操り、力強く走った。将来のために、全てのステージを競争力のあるスピードで走り切ることが重要だったが、不運にもこのような結果に終わってしまった。最初のコーナーであろうと、最後のコーナーであろうと、このようなことが起こるので、ラリーは本当に難しいスポーツだ」

 勝田の次戦は、8月22日から25日にかけて開催されるラリー・ドイッチュランドとなり、初めてWRCにヤリスWRCで出場する。