WRC2020/10/13

勝田、ヤリスWRCでの初サルディニアは試練に直面

(c)Toyota

(c)Toyota

 トヨタGAZOOレーシングWRCチャレンジプログラムに参加中の勝田貴元が、先週末にイタリアのサルディニア島北部で開催されたラリー・イタリア サルディニアに、コドライバーのダニエル・バリットと共にヤリスWRCで参戦、勝田は難しいステージで多くの困難に見舞われながらも着実に経験を積み重ねていたが、最終日にクラッシュを喫し、残念ながら完走を果たすことができなかった。

 勝田はこれまでR5マシンで3回のサルディニア出場経験を持つが、今回は初めてヤリスWRCでの参戦となる。サルディニアのグラベルステージは路面が非常に滑りやすく、道幅が狭く木や岩が道のすぐ近くに迫るため、僅かなミスも許されず精度の高い運転が求められる。ハイスピードなラリー・エストニアでは、WRCのトップドライバーに匹敵するスピードを発揮した勝田だが、サルディニアのトリッキーなステージに苦戦することになった。

 勝田は初日、少しずつスピードへの手応えを摑みかけたが、SS4の低速コーナーでコースオフ、クルマを修理して再出走したデイ2では1番手スタートを担い、道の表面を覆うルースグラベルを掃除しながらの難しい走行を経験することになった。午後のステージではブレーキトラブルが発生することになり、自力で修理をしながらレグ2は最後まで走りきったものの、最終日のデイ3でクラッシュしたため残念ながら完走を果たすことができなかった。

 それでも勝田は、多くの困難な状況に直面したことを認めながらも、改善すべき課題が明確になったと前向きに感じている。

「金曜日のSS4は狭くトリッキーな区間があり、左コーナーで少しラインを外して滑りやすいグラベルに乗ってしまい、続くきつい右コーナーでクルマを止めることができず、ワイドに膨らみディッチに落ちてしまった。土曜日は出走順1番でステージを走るのがとても難しく、このようなラリーでは初めての経験になった。路面は非常に滑りやすく、フォローするラインもなく大変だったが、今後に向けて良い勉強の機会になった」

「日曜日はSS14の非常に道幅の狭いセクションで、少しワイドになり外側のバンクに当たってしまい、続く左コーナーのイン側にある岩か何かにぶつかりクルマが横転させることになった」

「今回は本当に辛いラリーでしたが、この経験が自分をさらに強くしてくれるはずだ。クルマはとても速く、他のドライバーのレベルも非常に高いので、ペースノートや集中力など、改善しなければならないことはたくさんあり、全力で改善に努めたい」

 TGR WRCプログラムのインストラクターを務めるヤルッコ・ミエッティネンは次のように語っている。

「タカはスウェーデンで高いスピードを発揮し、エストニアでは素晴らしいドライビングを見せてくれた。どちらのイベントも良い路面でのハイスピードなラリーになる。タカにとって、サルディニアは難しいラリーになるだろうと予想があったため、純粋なスピードに関しては期待値をやや下げ、低速で荒れた道でどうヤリスWRCを走らせるか学ぶことが目標だった」

「2度のアクシデントを経て、低速で道幅が狭いグラベルロードではまだまだ学ぶべきことが多いが、多くのステージを走破したことでその目標はある程度達成されたと思う」

 勝田の次戦は、当初ベルギーで開催されるWRC第7戦イープル・ラリーが予定されていたが、ヤリスWRCの修理の必要性があることなどから、新たにイタリアで最終戦として追加開催が決まったラリー・モンツァへの参戦計画の見直しが検討されているようだ。