WRC2023/02/05

勝田とラッピがクオピオ・ラリーで実戦準備

(c)Ralli SM/AKK

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 勝田貴元とエサペッカ・ラッピは、先週末に行われたフィンランド・ラリー選手権第2戦のクオピオ・ラリーに出場、ともに雪の罠に落ちてしまう結果になったが、冬の理想的なコンディションで走ることができたことで来週末のラリー・スウェーデンに向けて完璧なウォームアップを行うことができたようだ。

 わずか8SS/94.47kmというワンデイイベントとはいえ、クオピオ・ラリーは早朝にはマイナス15度まで冷え込み、雪とアイスに覆われた素晴らしいコンディションとなっており、勝田とラッピにとっては来週のラリー・スウェーデンに向けて最終調整の絶好の機会となった。

 勝田のトヨタGRヤリスRally1、そしてラッピのヒョンデi20 N Rally1は、フィンランド選手権を争うRally2カーがひしめくウインターラリーでコースオープナーとして臨み、フィンランドのラリーファンにとって素晴らしいプレゼントをもたらすことになった。

 一番手からスタートした勝田はオープニングステージでラッピからわずか1.2秒遅れの好タイムでスタート、SS2では前を走るゼロカーがディッチでスタックするというハプニングによって減速を余儀なくされたが、主催者はここで勝田にノーショナルタイムを与え、ここでラッピと同タイムで並ぶ。雪かきに苦しみながらも勝田は少しずつラッピに遅れをとったが、それでも朝の4ステージを終えてラッピから12.9秒遅れの総合2位で続くことになった。

 しかし、サービス後の最初のステージであるSS5ピヒライネンで勝田はスノーバンクにヒット、ステージエンドにたどり着いたGRヤリスはフロントにダメージを負っており、ラジエーターからは水が漏れていた。「スノーバンクに突っ込んでしまった」と彼は短く語り、そのまま走り去ったが、つぎのステージを走ることなくリタイアとなっている。

 それでも勝田は、来週のラリー・スウェーデンに向けたいいテストができたとファンに向けて報告している。「最後まで走り切れませんでしたが、素晴らしい道のおかげでラリー・スウェーデンに向けて良い準備ができました! チーム、そしてクオピオ・ラリーに感謝したい」

 一方、スウェーデンに向けて先週2日にわたってi20 N Rally1のテストを行っているラッピは、朝のループで勝田に対して12.9秒差をつけたことから、フィーリングも良く、マシンも順調に仕上がっているようにも見えたが、彼は「タイムはタカに比べれば良かったが、マシンは固く、リヤのグリップにかなり問題があって、とくにコーナー進入が難しい。そのようなマシンでは気をつけなければならない」と、けっして満足できているわけではないと認めている。

 ラッピは朝から6ステージ連続でベストタイムを奪い、フィンランド選手権をリードするヤリ・フットゥネン(シュコダ・ファビアR5)に対して1分45秒差をつけて引き離すことになったが、SS7のフィニッシュ付近でリヤをスライドさせてスノーバンクでスタック、11分近くをロスして総合では31位でラリーを終えることになった。

 ラッピは、コースオフした以外のすべてのステージで総合トップタイムを記録しており、今回のラリーでのさまざまな経験がラリー・スウェーデンでは役立つと語っている。

「クオピオではクルマは何か変だったので直してみなければならない。とくに2回目のステージでの走行では、幅の狭い轍に対する素早いドライビングの適応力が求められる」とラッピは語っている。

「それでもラリーに向けての準備を十分に行うことができたので、今回のフィンランド・ラリー選手権での経験を最大限に活かしていくことが必要だ。すべてを出し切ることができれば、昨年に続いてまた表彰台に上ることができるだろう」

「ラリー・スウェーデンは、僕が最もなじみのあるフィンランドの道とコースの形状や路面がすごく似ているし、しっかりとしたウィンター・コンディションの中で、スノーバンクの間を楽しんで走ることができると思う」

 クオピオ・ラリーでは、旧スペックのファビアR5を駆りながらもフットゥネンがユハ・サロ(シュコダ・ファビアRally2エボ)との壮絶なバトルを制して優勝を飾っている。世界ラリー選手権やヨーロッパ・ラリー選手権での多くの経験と実績をもつ彼だが、母国の選手権では意外にもこれが初勝利となっている。