WRC2018/06/12

勝田と新井、サルディニア完走ならずも成長を示す

(c)Toyota

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 ラリー・イタリア・サルディニアのWRC2選手権に挑んだトヨタGAZOOレーシング・ラリーチャレンジプログラムの勝田貴元と新井大輝はともにリタイアに終わったが、二人とも成長を示すスピードをみせることになった。

 ラリー・イタリア・サルディニアは、シリーズの中で最も暑い一戦だが、今年は例年にない雨の影響を受けて金曜日はマディなコンディションとなり、さらに土曜日以降も、岩と木々に挟まれた狭いステージで多くのドライバーが苦戦を強いられた。

 新井は今回、かつてミッコ・ヒルボネンとともにWRCで通算15勝を飾っているヤルモ・レウティネンとの初コンビでサルディニアに挑み、SS3でトップタイムをマークしてWRC2をリード、続くSS4でも2番手タイムを記録するなど素晴らしいスタートをきった。しかし、彼はSS5で岩にヒットしてステアリングアームの損傷によりコースアウト、エンジンにもダメージが及び、早々にリタイアとなっている。

 新井はリタイアを悔やみながらも、今後にとって非常にポジティブな速さを見せることが出来たと週末をふり返った。

「あまりに早くラリーが終わってしまいとても残念です。SS5のあるコーナーで少しインカットしすぎ、岩にヒットしました。それによってステアリングアームを損傷し、その影響でコースオフした際に大きな岩にあたり、エンジンにもダメージが及んでしまいました」

「ですが、ヤルモ(・レウティネン)と組んで初めてのラリーだったにもかかわらず、それまではとてもいいタイムが出せていたことに驚きました。お互いがとても早く相手に合わせることができたからだと思います。あともう少しペースノートに微調整を加えれば更に良くなると思います。リスクを取ることなくトップタイムを出せたことは今後にとって非常にポジティブな要素でした」

 一方、昨年のサルディニアでWRC2の初ポディウムを経験している勝田は、今年は序盤、クルマのフィーリングに悩みながらのスタートとなってしまった。

 それでも彼は徐々に順位を上げて金曜日を5位で終え、土曜日はさらにペースアップして3位まで浮上することになった。だが、この日の最終ステージとなったSS16でパンクを喫して2分を失い、7位へと後退することになった。

 勝田はポディウム争いから外れたが、最終日も経験を積むために完走を目標に出走したが、最初のステージでドライブシャフトを破損しリタイアを余儀なくされている。

 2年連続でのサルディニアの表彰台を逃したものの、勝田は、前を向いて次のラリーへ準備したいと抱負を語っている。

「金曜日はあまり良いタイムを出すことができませんでしたが、自分の改善点を見つけることができました。土曜日は、デイサービスでいくつか変更を施した後、フィーリングがとても良くなり、タイムも上がりましたが、この日の最終ステージでパンクをしてしまい、ポディウムのチャンスがなくなってしまいました。最終日はとにかく走り切って経験を積みたいと思っていたので、それができずとても残念でしたが、前を向いて次のラリーへの準備をしていきます」

 二人のチーフインストラクターを務めるヨウニ・アンプヤは次のように語っている。

「両ドライバー共にリタイアとなる厳しいラリーになったが、二人ともスピードは証明してくれた。勝田は序盤セッティングが合わず難しいスタートとなったが、ラリー中に改善し、より良いセッティングを見つけることができた。 また、レウティネンと組んで初のラリーとなった新井のスピードはとても満足いくものだった。結果は残念だったが、1年前の同イベントと比べ二人の成長は明らかに見てとれた。次のイベントは非常に重要なフィンランドでのラリーとなるので、次戦に向けて集中を高めていくつもりだ」

 勝田と新井は7月12〜14日にフィンランドで開催されるオートグリムラリーに参戦し、その2週間後に行われるWRC第8戦ラリー・フィンランドの高速グラベルステージに備えて準備を行う計画だ。