WRC2017/05/22

勝田・新井、ポルトガルで南欧グラベルの洗礼

(c)Toyota

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 TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムにて欧州でトレーニング中の勝田貴元、新井大輝が、5月18〜21日に開催されたWRC第6戦ラリー・デ・ポルトガルのWRC2カテゴリーにフォード・フィエスタR5で参戦し、勝田は14位でフィニッシュ。新井は土曜日の最終ステージでのコースオフによりリタイアとなった。

 勝田と新井にとって、WRC2への参戦は昨年のラリー・フィンランド、今年2月のラリー・スウェーデンに続き3戦目。ルースグラベルが特徴的なポルトガルの道は、これまで二人が経験を積んできたフィンランドのグラベルとは特徴が大きく異なる。本ラリーの調整として1週間前にポルトガルの地方戦、ラリー・アマランテに参戦した二人は地元選手をリードし、激しい戦いの末、新井が総合1位、勝田が2位という結果を残していたが、今回の大舞台は両選手共にラリーの難しさを痛感する一戦となった。

 序盤から路面が荒れていた金曜日、勝田はSS4でステアリングラック破損によりデイリタイアを余儀なくされる。しかし、ラリー2ルールによって土曜日に再出走した勝田は、午後のセッティングがうまく決まり、不利な走行順の中でもよいペースを見せることになり14位まで順位を上げることに成功、さらに最終日も順位を一つ上げて12位で最終ステージをフィニッシュする。

 だが、ゴールを目前に勝田は再び不運なエンジントラブルに見舞われる。コドライバーのマルコ・サルミネンと共に様々な方法を試みてなんとかエンジンの再始動に成功、規定時間ギリギリにゴールしたものの、4分50秒のペナルティを加算されてWRC2カテゴリー14位でフィニッシュした。

 勝田はさまざまな問題を抱えたものの、タフなラリーで多くのことを学ぶことができたと週末をふり返った。

「路面がとても荒れていてタフなラリーでしたが、多くのことを学んだ一戦でした。金曜日のステアリングラック破損は、特に原因となり得るような衝撃がない中で起こったのでとても悔しい思いをしました。最終日にはエンジントラブルも発生するなど、本当に色んなことが起こったので、とにかく完走できてうれしいです。最終ステージ後にエンジンが止まってしまい、自分たちで修理することになりましたが、最後まで諦めずにトライし続けてくれたマルコに本当に感謝しています。今回は、グラベルラリーで悩んでいたドライビングやセッティングなどの方向性が見えてきて、今後への手応えを感じることができました」

 いっぽう、新井は金曜日からアンチラグシステムの問題やパンクやホイールの破損に見舞われ、大きなタイムロスをすることになる。新井は土曜日もポップオフバルブやブレーキのトラブルを抱えながらも丁寧な走りでステージをこなしていたが、この日の最終ステージSS15でコースオフ、マシンの火災によりリタイアとなった。

 新井はポルトガルのようなグラベルでのセットアップに関する経験を蓄積することができたと語っている。

「今回の道は最初からとても滑りやすく、荒れていました。金曜日はパンクが多かったので土曜日はより丁寧に走り、パンクもせず順調に走れていたのですが、最終ステージでコースオフし、車が燃えてしまいました。火が一瞬で回り、あのような恐ろしい経験は初めてでした。今後同じことを繰り返さないよう、なぜコースアウトしてしまったのか、次のラリーまでに原因を深く追求します。セットアップについては色々試し、うまくいったものも、良くなかったものもありましたが、今後に向けて経験を蓄積することができたと思います」

 勝田と新井の次戦は6月8〜11日に開催されるWRC第7戦ラリー・イタリア・サルディニアとなる。今回に続き、路面の軟らかいグラベルラリーであり、高温が予想されることも2人にとって新しいチャレンジとなる。