WRC2017/07/31

勝田・新井、成長確認も完走を果たせず

(c)Toyota

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 TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムにて欧州でトレーニング中の勝田貴元、新井大輝が、7月27〜30日に開催されたFIA世界ラリー選手権(WRC)第9戦ラリー・フィンランドのWRC2カテゴリーにフォード・フィエスタR5で参戦。勝田、新井ともにマシントラブルに見舞われながらも好タイムを記録し昨年からの大きな成長を見せたが、両クルー共に最終日にマシンダメージによりリタイアとなった。

 勝田、新井にとって昨年に続き2度目の参戦となったラリー・フィンランドは多くのジャンプとクレストを含む超高速グラベルラリーである。フィンランドを拠点とし、この地で多くのトレーニングを重ねてきた両選手にとって、今回のホームラリーは二人の成長度合いが試される場となったが、二人にとっては試練の結果となってしまった。

 新井は金曜日、マシントラブルに悩ませられながらも堅実にラリーを運び、競争の激しいWRC2を3位で終えた。土曜日は過給圧のトラブルによりスピードを制限され、クラス5位に順位を落としたが、一日を通し忍耐強い走りを見せた。最終日は気持ちを新たに臨んだが、その日2つ目のSS23でコースオフし、車を立ち木にヒット。走行継続困難となり2つのSSを残してリタイアとなった。

 新井はゴール目前でのミスを悔やんだものの、2回目のフィンランドで多くの学びがあったことを実感している。

「今回はマシントラブルも多かったので、その状況でどうやって車をゴールまで運べるかを考えてラリーを進めていました。そんな中で多くの学びがあったのですが、最終日に些細なミスで車がラインから外れてしまいラリーを終わらせてしまいました。前戦、前々戦とリタイアが続いており、悪い流れを断ち切りたかったのでとても残念です。今後、WRCのような長いイベントでトラブルが起きたときの対処の仕方や、ストレスの持っていき方など、ノートや運転のスキルだけでなく、自分自身に向き合ってさらに成長したいと思います」

 いっぽう、勝田は金曜日に、エンジンルームに入り込んだ石によりオルタネータベルトが切れ、ロードセクションで交換を試みたがTCに51分遅れによる致命的なペナルティを課せられながらも、SS3、4では連続して3番手タイム、SS6で2番手タイムとペースを上げることに成功したものの、デイサービスにおいてマキシマム・レイトネスタイムの30分を超えていることを通告されてタイムオーバーによりSS3の前でのリタイア扱いとなった。

 勝田は土曜日、ラリー2ルールにより再出走可能となり、SS16オウニンポウヤ・ステージで2番手タイム、2回目のオウニンポウヤでも3番手のタイムを記録し大きな成長を証明したが、彼もまた最終日のSS22でハーフスピンした際にラジエータを破損、リタイアとなった。

 多くのステージで好タイムを出すことが出来た勝田は、次回はそれを完走につなげたいとコメントしている。

「最終日のステージで、ごく普通のコーナーでハーフスピンしてしまい、車へのダメージからリタイアとなりました。レッキも含めこの1週間で得たこと、感じたことはポジティブなことが多かっただけに、小さなミスで完走できなかったことがとても悔しいです。昨年、このラリーを走ったときに比べ、ペースノートもドライビングも自分自身でとても成長を感じることができました。それだけに結果は本当に残念ですが、今回の走行で自信を得ることもできたので、そのフィーリングを保ちながら、次回以降は『走りきる』ことに重点を置いて挑みたいと思います」

 チーフインストラクターを務めるヨウニ・アンプヤは、次のように今回のラリーを総評した。

「勝田、新井共に良い走りは見せましたが完走できず複雑な思いです。2台ともマシントラブルもありましたが、それについてはうまく対処したと思います。良かった点は、2人とも昨年に比べ非常に競争力あるスピードを見せてくれたことです。昨年の参戦時は、トップから1キロあたり2〜3秒遅れていましたが、今年はクラスのトップ3のタイムを争うようになり、彼らの成長は明らかでした。このスピードで走行するためのペースノート、ドライビングスタイル、車両セットアップを彼らが身につけてからまだ日が浅いので、今後はラリーの初日から最終日まで通してそれらをうまくコントロールできるよう、さらに経験が必要です」