WRC2021/11/23

勝田貴元、シーズン最終戦のモンツァで速さを示す

(c)Toyota

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 TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの勝田貴元が、2021年FIA世界ラリー選手権(WRC)第12戦ACIラリー・モンツァに、コドライバーのアーロン・ジョンストンと共にヤリスWRCで参戦、セカンドベストタイムを2回記録するなど速さを示して総合7位でフィニッシュした。

 初めてWRCとして開催された昨年のラリー・モンツァで、勝田は最後のパワーステージを制し、WRCで初のベストタイムを記録、今シーズンのサファリ・ラリー・ケニアでの2位表彰台につながるいい流れをつかんでいる。それだけに、今年も長かったシーズンの締めくくりとなる一戦に良い形でのエンディングを目指して挑むことになった。

 勝田は、金曜日の朝に行われたベルガマスク・アルプスの麓の山岳ステージでは、濃い霧と湿った路面を警戒してやや慎重なスタートを切っている。しかし、モンツァ・サーキットのコースや施設道路をつかって複雑にレイアウトされた午後のステージでは力強い走りを示し、2回の5番手タイムを記録して総合6位にポジションアップ。一日の最後のSS7では2番手タイムを記録することになった。

 競技2日目の土曜日の午前中には、山岳ステージでも自信とスピードを高め、SS9では4番手タイム、その後サーキットに戻り、SS12でも4番手タイムを刻むなど上昇気流をつかみ、サーキット内のみを走行する最終日の日曜日もその勢いを維持。オープニングのSS14を4番手タイムで走り、総合5位とライバルとの差を縮めることになった。

 しかし、続くSS15のシケインでコンクリートブロックにハイスピードで当たってしまい、サスペンションにダメージを負ってタイムを失い、総合7位に後退することになった。幸いにしてステージの直後に15分間のサービスが設けられていたため、チームのメカニック達は短時間でダメージを修理、勝田はボーナスポイントがかかる、最終のパワーステージに駒を進める。

 そして迎えたパワーステージで、勝田はメカニック達の努力にも報いるべく渾身のアタックを敢行。今大会2回目となるセカンドベストタイムを記録し、ポジティブな形で長かったシーズンを締めくくることになった。また、パワーステージで得たボーナスの4ポイントによって、勝田はドライバー選手権7位を獲得している。

 勝田貴元は週末の戦いをふりかえって、次のようにコメントしている。

「今回のラリーは、自信をつけようとして臨みました。サーキットのステージではスタートからとても良い感触が得られました。山岳ステージについてはさらなる改善の必要性を感じましたが、どこでタイムを失っているのかは分かりました。2日目にはフィーリングが向上し、より積極的に攻められるようになりました」

「日曜日の終盤にはほんの僅かな、しかし愚かなミスをして順位を落としてしまいましたが、最終ステージを走ることができるようにマシンを修理してくれたチームに感謝します。その最終のパワーステージでは2番手タイムを記録することができたので、今回のラリーではいくつかポジティブな収穫があったといえます。今シーズン、サポートしてくれた全ての人に感謝しています」

 WRCラリーチャレンジプログラムのインストラクターを務めるユホ・ハンニネンは次のように総評している。

「タカにとって厳しいラリーがしばらく続いていたので、モンツァでの目標はしっかりと走ってシーズンを終えることだった。金曜日のコンディションは路面のグリップ変化が激しくトリッキーで、彼はあまり自信を持つことができなかった。しかし、土曜日はすぐにクルマと自分のドライビングに自信を持てるようになり、タイムも向上した。日曜日は、順位を上げようとトライしていた時にコンクリートブロックにぶつかってしまった。しかし、サービスでメカニックたちによってクルマは修理され、リタイアすることなく最終ステージに臨み、完走できたので本当に良かったし、パワーステージではとてもいい走りをみせている」

「クルマはけっして完璧な状態ではなかったが、自分がミスをしたステージでいいタイムを出したので、とても良かったと思う。最終的には良い形でシーズンを終えることができたので、この後は来シーズン、そしてラリー・モンテカルロに向けて集中して取り組むことができる」