WRC2022/04/26

勝田貴元、試練のクロアチア・ラリーを6位完走

(c)Toyota

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 トヨタ次世代ドライバーの勝田貴元が、先週末に開催されたクロアチア・ラリーに参戦、雨によってトリッキーなコンディションとなったターマックステージに苦戦しながらも、最後までしっかりと走り切り総合6位でフィニッシュした。

 昨年初めてWRCとして開催されたクロアチア・ラリーは、ターマックイベントながら路面の舗装状態が頻繁に変わり、またインカットにより、路肩の泥や砂利が路面にかき出され、グリップレベルが常に変化する非常にトリッキーなラリーだった。勝田は、昨年ベストタイムを2回刻んだこのクロアチアに期待を持って臨んだが、降雨によって路面コンディションは昨年以上に悪化、後方の走行ポジションになるほどさらに路面の汚れはひどくなるため、勝田はスタートから不利な条件で苦しい戦いを強いられた。

 勝田は信じられないほど滑るコンディションとなった金曜日のSS1では注意深く走ったために1kmあたり2.69秒もの遅れをとったが、それでもこの困難なコンディションのなかでじょじょにペースアップ、SS7では1kmあたり0.64秒までペースアップを果たして4番手タイムを記録することになった。

 SS8と2日目土曜日のSS13ではタイヤにダメージを負い、タイムを大きく失うことになった。グリップレベルがめまぐるしく変わるステージで、クルマになかなか自信を持つことができず、我慢の走りを続けることになったが、それでも勝田は大きなミスをすることなく着実に順位を上げ、最終的に総合6位でフィニッシュした。

 勝田はこれで開幕から3戦連続でポイントを獲得し、ドライバー選手権6位の座を堅守。同様に、所属チームであるTOYOTA GAZOO Racing World Rally Team Next Generationにも、3戦連続でマニュファクチャラーズポイントをもたらした。

 勝田は次のようにコメントしている。

「天候やコンディションが変わりやすく、難しい週末でした。このような泥が多く出たウェット路面のターマックラリーを走るのはほぼ初めてだったので、とてもいい経験になりましたし、できるだけ多くのことを学ぼうと努めました」

「自分にとって最大の収穫は、ラリーを走り切ったことです。辛抱強く戦い、置かれた状況を受け入れることができたのは良かったと思います。以前の自分だったら、攻めすぎてミスを冒し、今よりも良くない気分でラリーを終えていたかもしれません」

「それでも、今回は自分のスピードが足りていなかったことにがっかりしています。もしまたこのようなラリーに出ることになったら、その時にはもっと速く走れるように改善する必要があります。少し悔しいですが、今回の経験が今後に活かされることを期待しています。次のポルトガルは、全く違うラリーです。このクルマのグラベルでの走りには自信がありますし、楽しめるイベントでもあるので、自分にとって良いラリーになることを願っています」

 勝田のインストラクターでもあり、またグラベルクルーを務めたユホ・ハンニネンは次のように語っている。

「今回のラリーは、どのドライバーにとっても非常に難しいコンディションだった。私は今回もタカのグラベルクルーとしてステージを走り、舗装路面上や、コーナー内側のインカットする部分にどれだけ多くの土があるのかを目にした。ターマックラリーであるにもかかわらず、これほど多く土があるコンディションは、タカにとって初めて経験するものだし、自信を持つのは簡単ではなかったはずだ」

「しかし、自信が持てないときに無理にプッシュするのではなく、忍耐強く最後まで走り切ることができたのは良かったと思う。それによってタカは有益な経験を積むことができたし、(次のターマックラリーである)イープル・ラリーで似たコンディションになれば、今回の経験が活かせるだろう。次戦は彼が昨年よい走りをしたポルトガルなので期待したい」