WRC2022/10/25

勝田貴元、WRCスペインを総合7位で完走

(c)Toyota

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 TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの勝田貴元が、10月21日から23日にかけて、スペインで開催されたラリー・デ・エスパーニャで、総合7位でフィニッシュした。

 2022年のWRCもシーズン終盤を迎え、最後の2戦はスペイン、そして日本を舞台とするターマックラリーとなる。スペインは以前ターマックとグラベルの両路面を走行する「ミックスサーフェス・ラリー」として開催されていたが、昨年から完全なターマックラリーにシフト。今年はスペイン北東部のビーチリゾート、サロウのサービスパークを中心に19SS、合計293.77kmのステージが設定されている。

 勝田は過去、ラリー・スペインに4回出場しているため、比較的多くの実戦経験のあるラリーといるが、21日金曜日のデイ1には新しいステージが2つあり、断続的な雨により路面はグリップレベルが大きく変化。そのため、勝田は完全に自信を持つことができずやや苦しいスタートとなった。しかし、午後のステージではペースが改善し、SS6で4番手タイムを記録。SS7ではタイヤにダメージを負って30秒以上タイムロスしたが、一日の最後のSS8では5番手タイムを記録するなど、調子は確実に上がっていき、総合8位で初日を終えている。

 22日土曜日のデイ2では走りがさらに良くなり、SS14では4番手タイムを記録するなど健闘、総合8位を堅守した。そして、23日日曜日の最終日デイ3では順位をひとつ上げ、最終のパワーステージで5番手タイムを記録すると、総合7位でフィニッシュ。次なる戦いの場である母国イベントのラリー・ジャパンに向けて、良い流れを得てスペインを締めくくった。

 勝田は次のようにラリーをふり返っている。

「ラリーの序盤はかなり苦労しましたが、最終的にはクルマやペースノートなど、全てのフィーリングが良くなりました。週末にかけてどんどんと改善が進み、フィニッシュを迎えた時には自信がつき、クルマに乗りやすさを感じられるようになりましたが、それは次戦のラリー・ジャパンに向けて、このラリー期間中に絶対に得ておきたかったものです」

「今回の目的は自信をつけることでしたが、ターマックでのドライビングに関してもいいフィーリングを得ることができましたし、クルマも非常によく走ってくれました。何度かプッシュしすぎてミスをする場面もありましたが、それも良い経験になり、今後に向けて学ぶことができました」

「もちろん、結果は望んでいたようなものではなかったですが、それでもこの週末はとても実りあるものでした。そして、チームがマニュファクチャラーズタイトルを獲得できたのも嬉しかったです。3つのタイトルを全て獲得したのは素晴らしいことですし、スタッフ全員がシーズンを通して本当にいい仕事をしたと思います」

 インストラクターを務めるユホ・ハンニネンは、ラリー・ジャパンに向けて勝田が自信を掴むことができたと評価している。

「貴元は今週末よく頑張った。土曜日のパンクによって多くのタイムを失ったが、今回のラリーで最も重要だったのは、彼がターマックでクルマに自信を持つことだった。金曜日の午前中は路面が湿った状態で、グリップレベルも変化し、貴元にとってはかなり難しいコンディションだった。しかし、その後は走りが改善しクルマのフィーリングも良くなり、そこからのステージタイムは他の選手たちと比べてもかなり良く、しかも安定することになった。全体的にはいいラリーになったし、ラリー・ジャパンに向けてもいい流れに乗ったと思う」

 勝田の次戦は11月10日から13日にかけて、日本で開催されるシーズン最終戦ラリー・ジャパンだ。日本で12年ぶり に開催されるWRCは、トヨタにとってだけでなく、愛知県出身の勝田にとってもホームイベントであり、今シーズンの成長を示す重要な一戦となる。