ERC2018/06/18

地元ガラタリオティス、0.6秒差でキプロス優勝

(c)ERC

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 FIAヨーロッパ・ラリー選手権第4戦のキプロス・ラリーは17日に最終日を迎え、前日にパンクで3輪走行に見舞われたカタールのナッサー・アル-アッティーヤ(フォード・フィエスタR5)が逆転で6度目のキプロス勝利を成し遂げるかに見えたが、最終ステージでまたもパンクで後退、地元キプロス出身のサイモス・ガラタリオティス(シュコダ・ファビアR5)がブルーノ・マガラエス(シュコダ・ファビアR5)に対してわずか0.6秒差をつけての劇的なERC初優勝を飾ることになった。

 猛烈なダストとラフなコンディションで名高いキプロス・ラリーは、最終日もチャレンジャーに試練を与えることになった。

 4.6秒をリードして最終日を迎えたヴェーヴァース・スポーツのユーソ・ノールドグレン(シュコダ・ファビアR5)はオープニングSSを2番手タイムにまとめて2位につけるガラタリオティスに対するリードを8.7秒へと広げることになった。しかし、2.67kmのニコシアのスーパーSSをはさんで次のSS9でまさかの事態が発生する。彼はステージをスタートして最初のコーナーで横転、フロントを大破してフロントガラスを失ったマシンで1分近く遅れてステージをゴールすることになった。

 ERC初勝利のチャンスを一瞬のミスを台無しにしてしまったことに彼はショックを隠しきれない様子だ。

「チームのみんなに本当に申し訳ない気持ちだ。なんと言っていいのか言葉がないよ。クラッシュさせてしまった。説明のしようがないよ」とノールドグレンは語った。

「ステージのディレイでスタートで長い時間待たされた。そして滑りやすくなった最初のコーナーでワイドになってコースアウトしたんだ。冷えたタイヤで最初のコーナーに入ったときの本当に素人のようなミスだった」

 ERC初表彰台を諦め切れないノールドグレンはなんとか続行を図るも、けっきょくマシンを止めてリタイアすることになった。

 これで首位に立ったのは地元のガラタリオティス。朝のループを終えて、12.7秒差の2位には前戦アクロポリスで優勝を飾ったブルーノ・マガラエス(シュコダ・ファビアR5)が続くことになる。しかし、首位のガラタリオティスから35秒あまりの後方からこの日をスタートしたアル-ティーヤが朝から3つのステージでベストタイムを奪う、貫禄の速さをみせて18.3秒差の背後まで迫ってきた。

 朝のループで多発したアクシデントのためスケジュールの遅れから主催者はSS11のキャンセルを決定、残されたのはSS12と13のわずか2つのステージのみとなったが、その最初のステージでアル-アッティーヤはガラタリオティスに対して20秒差をつける圧巻のベストタイムで一気に首位を奪還、このまま勝利に突き進むかに見えた。だが、最終ステージでアル-アッティーヤはパンクのためにストップ、まさかの4位でラリーを終えることになったため、ガラタリオティスが地元で歓喜のERC初優勝を飾ることになった。

 ガラタリオティスは1年前のキプロスでもアル-アッティーヤに続いて2位でフィニッシュ、初のERC表彰台を達成しており、今年こそ勝てると信じていたと語った。

「とてもハードな戦いだったが、僕らはハードにプッシュしたよ。勝てるって信じていたよ」とガラタリオティスは語った。彼もまた最終ステージではパンクを喫しており、まさにギリギリの勝利だった。

「僕はここで勝ったことはなかったし、プレッシャーをずっと感じていたよ。しかし、このように優勝争いをするのが夢だった。昨日、ナッサーがパンクしたときには彼にとって残念だって思ったが、まさかまたバトルをすることになるなんてね!」

 ガラタリオティスがパンクで遅れたため、マガラエスはわずか0.6秒差という僅差の2位でフィニッシュ。前戦アクロポリスに続く2連勝はならなかったが、選手権を争うアレクセイ・ルクヤヌク(フォード・フィエスタR5)が初日にクラッシュでリタイアとなったため、彼は選手権で逆転してトップに立つことになった。

 また、前戦アクロポリスで初のERC表彰台を達成したハンガリーのノルベルト・ヘルツィヒ(シュコダ・ファビアR5)が最終ステージのパンクにもかかわらずキプロスでも3位でフィニッシュ、2戦連続で表彰台を達成することになった。

 4位に後退したアル-アッティーヤの38秒後方の5位にはドライブシャフトの問題から立ち直ったTOKワールドラリーチームのオルハン・アヴチオル(シュコダ・ファビアR5)が続いている。

 ERC次戦は7月20〜22日に行われるラリー・ディ・ローマ・カピターレとなる。