WRC2020/10/16

大雨災害の影響でチュリニ峠がキャンセルか

(c)Toyota

 ラリー・モンテカルロの主催者は、今月初めにフランス南東部で発生した爆弾低気圧「アレックス」がもたらした大雨によって壊滅的な被害を受けた地域への支援を開始、それとともに2021年のイベントの最終日のルートについて再考する考えを明らかにしており、モンテカルロの象徴とも言えるチュリニ峠のステージがキャンセルとなる可能性もありそうだ。

 フランス気象庁によると、わずか24時間のうちに3カ月分の雨量に相当する500mmを超える大雨が降ったヴェズビー渓谷は道路や橋が流され、土砂崩れによって道路が寸断されており、サン・マルタン・ヴェジュビー村とランプラ村が孤立している状態にある。

 豪雨による最も深刻な被害を受けた地域の一つがラリー・モンテカルロ最終日のステージのルートの中心に位置するアルプ・マリティーム地域であることを受け、ラリー・モンテカルロの主催者であるモナコ自動車クラブ(ACM)の総裁であるクリスチャン・トルナトーレは、洪水で大きな被害を受けた地域政府への協力を申し出るとともに1月のシーズン開幕戦に向けてアイテナリーの変更に備えている。

 2021年に110周年記念のメモリアルイベントを迎えるラリー・モンテカルロについては、すでに7月に暫定的なルートが公開されており、1月24日のイベント最終日は、チュリニ峠を駆け抜けるラ・マイリ〜ムーリネとコル・サンジャン〜コル・ド・ロルムが予定されている。これらステージそのものには通行止めの箇所はないようだが、チュリニ峠の頂上からラリーコースとは別ルートでサン・マルタン・ヴェジュビー村に駆け下りる道路にはいくつもの土砂崩れが発生しているため、地元の生活道路の交通を制限しないような新ルートへの変更の可能性もあるという。

「まず初めに、我々はこの恐ろしい災害の被害にあった人々のことを考えている」と、ACM総裁のトルナトーレは語った。

「何よりもまず我々は人間であり、これは人間の危機だ。だから我々は、衣類、食料、資材などの配布を手伝い、これらの地域の人々を助けるために我々ができることは何でもするために動いている。ラリーに関しては、FIAと一緒にこれら(最終日の)ルートに取り組んでいるが、先ほど言ったように、優先順位は人間の側にある」 

 被災した地域に住む関係者はチュリニ峠のステージがルートから外すという判断がなされても不思議ではないと語っている。

「人々が亡くなったり、行方不明になった大災害だ。モンテのルートに影響がでないとはとても思えない。特にチュリニ峠のようなステージには影響があるだろう。恐ろしいことだ。以前にも何度か大きな嵐があったが、今回は信じられないほどのものだった。雨は集中豪雨で、終わりのないものだった」

 2021年のラリー・モンテカルロについては暫定的なアイテナリーとともに、華やかな雰囲気のモナコのカジノ前広場で行われるスタートはふたたびキャンセルされ、ギャップのレジャーセンターの駐車場でのスタートが発表されており、新たにチュリニ峠のステージを失うとしたら、100周年のメモリアルイベントはさみしいものになるかもしれない