ERC2020/12/20

新しいERCジュニア王者にはWRC参戦への道筋が

(c)M-Sport

 ヨーロッパ・ラリー選手権の主催者は、ERCジュニア・カテゴリーの名称をERCジュニア選手権へと変更するとともに、来年のERCジュニア・チャンピオンには2022年のジュニアWRCで資金援助付きのドライブの権利が与えられることを発表した。ERCジュニア選手権は、FIAレベルの選手権としては初めてRally3マシンのみのカテゴリーとなる。

 ERCジュニア・カテゴリーは、これまで一貫してR5マシン(現在のRally2マシン)によって次世代のスターたちが競ってきた選手権であり、以前にはERCジュニアU28選手権と呼ばれていたものが2019年からERC1ジュニア選手権に名称が変更となっている。しかし、水曜日に開催されたワールドモータースポーツカウンシル(WMSC)は、これまでのERC1ジュニア選手権から2021年以降はERCジュニア選手権へと名称を変更するとともに、これまでのRally2マシンから新たにRally3マシンへとスイッチすることを明らかにしている。

 これまでのERC1ジュニアでは、王者には翌年のERCで走ることを条件とした褒賞が贈られていたが、新しいERCジュニアの王者には翌年の世界ラリー選手権のサポートカテゴリーであるジュニアWRCへの参戦プログラムが提供されることになり、この参戦資金をMスポーツ・ポーランドが全額負担することになっている。

 ERCによれば、これらはMスポーツとの提携が強化されたことで可能となった新しい育成のスキームであり、ピレリタイヤの協力のもとでヨーロッパ選手権の2つのジュニア選手権において次世代のラリースターを育成し、キャリアアップのためのサポートを行うことになる。

 ERC3ジュニア選手権は例年通り、Rally4またはRally5の2輪駆動マシンでエントリーすることができる。ERC3ジュニア王者には、フォード・フィエスタRally3のステアリングを握って2022年にERCジュニア選手権の3戦に出場するための資金援助が与えられる。

 ERCジュニア選手権およびERC3ジュニア選手権は全6戦のシリーズでERCと併催され、5月に行われるERC第3戦のラリー・イスラス・カナリアス(ターマック)で開幕、以降、6月のラリー・ポーランド(グラベル)、7月のラリー・リエパーヤ(グラベル)、ラリー・ディ・ローマ・カピターレ(ターマック)と続き、10月のラリー・ハンガリー(ターマック)が最終戦となる。6戦のうちベスト5戦のポイントで争われる。

「これはラリースポーツのピラミッドを再定義するプロセスの最初のアクションであり、2021年初頭にはさらなる発表が予定されている」とFIAラリーディレクターのイヴ・マトンは語った。

「一方で、FIAヨーロッパ・ラリー選手権とFIA世界ラリー選手権の間に明確な道筋ができるような取り組みは賞賛されるべきであり、共通の目標を達成するという明確な目的を持って、Mスポーツ、ピレリ、ユーロスポーツ・イベントの3社と話し合いができたことを非常に嬉しく思う」

「若いドライバーに四輪駆動車で国際的な経験を積む機会を提供することは、我々のスポーツの未来のために極めて重要であり、このプロジェクトはまさにそれを実現するものだ」

 ERCのコーディネーターであるジャン・バティスト・レイは、次のように付け加えた。「ERC1ジュニアはこれまで、Rally2マシンで総合表彰台や勝利を獲得して複数の若手スターが才能を証明し、非常に良いシーズンを過ごしたので、現在の栄光に満足することは簡単だ。しかし、我々は2つの重要な所見を得た」

「1つ目は、これらのドライバーが総合タイトルに挑戦するために必要なものを持っていることを証明してくれたということだ。これは、来季も同様であることを願っている。一方で、2輪駆動のERC3ジュニアと4輪駆動のERC1ジュニアの間のステップが小さくなく、世界的なパンデミックの影響で資金調達はますます難しくなっている。新しいRally3マシンは、コストと4輪駆動の経験の絶妙なバランスを保っていることから、新しいERCジュニアのニーズに完璧に応えてくれる」

 Mスポーツのマネージングディレクターを務めるマルコム・ウィルソンは次のように締めくくった。

「若手ドライバーの育成は常に我々のビジネスの中心であり、FIAヨーロッパ・ラリー選手権は長い間、世界最高の新進気鋭の才能の試練の舞台となってきた」

「我々は、最も有望な若者が我々のスポーツのトップに到達できるように、明確で費用対効果の高いルートを提供することに専念しており、この新しい選手権は、そのためのもう一本の糸を追加するものとなっている」

「2021年にどんな才能が踊り出してくるのか、そして将来の世界チャンピオンという究極の目標に向かって努力する彼らの成長を見守ることを楽しみにしている」