WORLDWIDE2017/09/11

新井、「このスピードとノートの感覚を忘れない」

(c)Toyota

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 TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジプログラムにて欧州でトレーニング中の勝田貴元、新井大輝、およびコドライバーの足立さやかが9月8〜9日に開催されたフィンランド・ラリー選手権第6戦SMオイリ・ヤロネン・ウーシカウプンキ・ラリーに参戦。ヤルッコ・ニカラ/足立(スバル・インプレッサWRX STI)が総合2位、新井/グレン・マクニール(フォード・フィエスタR5)が総合3位、勝田/マルコ・サルミネン(フォード・フィエスタR5)が総合5位で3台ともに完走を果たした。

 ラリーはフィンランド南西に位置する街、ウーシカウプンキを舞台に8つのスペシャルステージ(SS)で構成され、総SS距離97.54km、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離298.78kmを90台が競った。全体的に道幅が広く、硬く引き締まったグラベル(未舗装路)の高速ステージは、午前中は激しい雨でウェットコンディションとなったが、午後には雨は上がり、水はけのよいフィンランドの道はほぼドライコンディションとなった。

 ニカラ/足立は前戦から3か月ぶりの参戦にもかかわらず、序盤から格上のR5車両に劣らぬ力強い走りを見せた。途中ミスファイヤが発生しタイムロスするも、2位でフィニッシュ。選手権順位を1つ上げ、3位につけた。今月末に行われる選手権最終ラウンドは通常より多くのポイントが加算されることになっており、一年の学びの成果を発揮すべくさらに上位を目指す。

 午前中の激しい雨に対し、適切なタイヤ選択をした新井はスタートから安定した走行を続け、SS3とSS5では2番手タイムを記録。午後のSS6では岩にヒットしてホイールが曲がり、8秒ほどタイムを失うアクシデントがありながらも、最終的に3位でラリーを終え、表彰台に上った。

 一方、勝田はスタート前にギヤボックスにトラブルが発生し、試練の幕開けとなった。SS4までは5速から4速へのシフトダウンが困難なままの走行を強いられたが、落ち着いた対処で乗り切った。SS4の後のサービスでの修復後は調子を取り戻し、上位とのタイム差を徐々に詰め、5位でラリーを終えた。

■選手コメント
勝田貴元:「前戦のラリー・フィンランドでのスピードも踏まえ、いいフィーリングと自信を持ってポディウムを目標に走りました。事前テストもうまくいき、良い流れで本番に臨みましたが、SS1のスタート前にギアボックストラブルに見舞われ、とても難しいスタートになってしまいました。SS4まではその状態のまま走る必要があったのでドライビングで調整を試みました。サービスでギヤボックス交換した後はいつも通りに走れるようになり、最後の2ステージは満足のいく走りができました。次戦スペインはターマックがメインになるので、頭を切り替え、また新しいチャレンジを楽しみたいです」

新井大輝:「雨の中、平均速度が高く、クレストやジャンクションが密に混在したトリッキーなラリーでこの結果が出せたことはとてもうれしいです。今回は、前戦で得たペースノートの課題を解決すべくラリーに挑みました。残る課題もありますが、全体的にはかなり改善できたと思います。特にSS3は高速で高低差が多く、車のコントロールが難しいコースでしたが、ペースノートがうまく働き、良いタイムが出せました。高速でクレストやジャンプの多いこの国のラリーは、これからのラリー人生に大きな影響を与えると感じています。次戦のスペインでも、このスピード感とペースノートの感覚を忘れずに挑みます」

足立さやか:「前回から3ヶ月ぶりのラリーでした。今回は何としても完走したかったのと、ペースノートのシステムを変えてからのラリーを成し遂げたい一心でした。SS2は今回のラリーで一番長く、クレストが多く道幅の狭いハイスピードのコース設定で、とてもノートが合わせづらいステージでした。それでも、次第にリズムを合わせる事ができるようになり、SS5、6ではとても気持ちよく読むことができました。タイムにもつながり、とても満足でした。次戦が最終戦になりますが、この感覚を忘れずに気を引き締めて取り組みたいと思います」

ヤルッコ・ニカラ:「3か月ぶりのラリーでしたが、想定以上の結果を出すことができました。表彰台に乗れればとは思っていましたが、R5車両に対して12秒遅れの2位というのは本当に上出来です。ペースノートはSS2で小さな問題があった以外は全体的にとてもうまくいき、サヤカはとてもいい仕事をしてくれました。回を重ねるごとにお互いのフィーリングはよくなっています」

■講師コメント
ヨウニ・アンプヤ(チーフインストラクター):「3組共、前回のラリーからはずいぶん間があいていたので、特に天候が悪かった中で、フィーリングをすぐに取り戻すのは大変なことでした。ですが、全クルーが素晴らしいペースで非常によい結果を出してくれました。特にニカラ・足立組にとっては、前回のラリーがあっけなく終わってしまっていただけに、良い自信を取り戻すことができたと思います。勝田はギヤボックスのトラブルで午前中はタイムを伸ばせなかったのが残念でしたが、新井も勝田も非常によいペースで走行しました。それぞれのクルーが、それぞれの学びの過程に必要なパフォーマンスを達成してくれたことをうれしく思います」

 勝田と新井は10月に参戦するFIA世界ラリー選手権第11戦ラリー・デ・エスパーニャ(WRC2カテゴリー)に向け、同じくスペインで9月23日に開催されるラリー・オーレンセ-リベイラ・サクラに参戦する。また足立は、9月29〜30日に開催されるフィンランド・ラリー選手権第7戦レイク・シティ・ラリーにニカラのコドライバーとして参戦する。