WRC2022/03/26

新型ファビアRally2はダウンフォースが約2倍

(c)Skoda

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 シュコダ・モータースポーツによれば、新世代のシュコダ・ファビアRally2における大きな鍵がエアロダイナミクスの進化であり、現行のラリーカーに比べて、約2倍のダウンフォースを発生させることができるという。

 Rally2カテゴリーのテクニカル・レギュレーションは技術開発のさまざまな分野で、明確なガイドラインを提示している。例えば、新世代シュコダ・ファビアRally2のエアロダイナミクスはロードカーの構造によるところが大きい。

 効率的なエアロダイナミクスは、どんな種類のレーシングカーの開発においても最も重要な分野の一つである。Rally2カテゴリーでは競技用の車両は市販車モデルから派生ししたものでなければならないため、市販車のもつ潜在的な特性にラリーカーのパフォーマンスは大きく左右されることになる。

 しかし、新しいシュコダ・ファビアのプロダクションカーの抵抗係数はクラス最高を誇り、シュコダ・モータースポーツのエンジニアたちが、新しいラリーカーのエアロダイナミクスを効果的に開発するうえでも完璧なベースカーとなったようだ。

 シュコダ・モータースポーツが新世代シュコダ・ファビアRally2の開発を開始した時、エンジニアたちの目標となったのはそのシュコダ・ファビアのロードカーの優れたエアロダイナミクスをいかに競技用のクルマにも活用していくことだったという。

「ロードカーに使用されているエアロダイナミクスが競技の環境下でも機能することが証明され、シュコダ・ファビアRally2のエアロダイナミクスのパッケージに非常に優れた基盤をもたらすことになった」とシュコダ・オート技術開発空力部門のルカージュ・ヴォジークは説明している。

「現行のラリーカーですでに行ってきたのよりもさらにエアロダイナミクスを意識している。主な開発目標は高いダウンフォース、それと同時にクルマの総合的な空力効率を高めることだった」

 シュコダ・ファビアのロードカーは、フロントバンパーの両端に開口部を設けているのが特徴となっている。いわゆるエアカーテンと称される空力効果を狙ったデザインをもつ。空気の流れを高度に制御してボディのサイドパネルとホイールアーチを通過させていく。シュコダ・モータースポーツのエンジニアたちは、新型シュコダ・ファビアRally2のフロントバンパーにも同様のソリューションを選択している。ラリーカーでは、エアカーテンがフロントバンパーの後端全域にわたってスプリッターと連動し、フロントセクションの空力効率を最適化している。

 FIAが規定しているRally2のレギュレーションに関して、シュコダ・モータスポーツのエンジニアとシュコダ・オートの研究開発部門は、将来のラリーカーにおけるダウンフォースとドラッグとのバランスを最適化させるための新たな方法を見出すことが必要となった。

 2つのキーポイントとなったのが真新しいリヤウィングとルーフエリアの上部を流れる空気のクリーン化だった。ヴォジークは強調している。

「Rally2の規定で認められているように、新世代ラリーカーのリヤウィングはロード仕様のシュコダ・ファビアの小さいスポイラーよりもはるかに大きなものだ。新型のシュコダ・ファビアRally2は現行のラリーカーと比較して2倍のダウンフォースを得ることができる」

 フロントガラスの上部からコクピットに新鮮な空気を導くエアスクープとの形状の変更により、ルーフ上の空気の流れが最適化され、リヤウイングの効果を高めている。

 シュコダ・モータースポーツの開発チームはCFD(数値流体力学)のシミュレーションの結果を、風洞実験と詳細なテスト走行によって検証している。最近ではスペインのグラベルとターマック道でさまざまなテストドライバーたちが開発車両のステアリングを握って評価を行っているという。