WRC2021/11/22

最終ステージで逆転劇、ロッセルがWRC3王者に

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 ACIラリー・モンツァの最終ステージで、ヨアン・ロッセル(シトロエンC3 Rally3)が逆転して記念すべきWRC3タイトルを獲得した。

 ロッセルは、WRC3タイトルを争うカイエタン・カイエタノビッチ(シュコダ・ファビアRally2エボ)と同ポイントで最終戦をスタート、金曜日のオープニングレグではカイエタノビッチに2.9秒の差をつけてラリーをリードした。

 ロッセルは土曜日、イタリア・アルプスの山岳ステージでリードを大きく拡大、そのままのポジションでゴールを迎えれば、タイトルは彼の頭上にすんなりと輝いていたはずだった。だが、暗闇のなかで行われた土曜日の最後のステージでロッセルはタイヤチョイスを誤ったこともあって失速、地元のアンドレア・クルニョーラ(ヒュンダイi20 N Rally2)にカテゴリートップの座を明け渡して2位に後退、さらに一時は22秒以上突き放したはずのカイエタノビッチにも2.6秒差までふたたび迫られることになってしまった。

 そして迎えた最終日、最初のステージでカイエタノビッチがロッセルとの差をさらに1.5秒へと縮めるや、SS15セッラーリオのステージでついにロッセルを1.6秒差をつけて抜き去って2位へと浮上することになる。

 このままポジションをキープして逃げ切れば、カイエタノビッチにとって2015年から2017年まで3年連続して制したヨーロッパ選手権タイトル以来のFIAタイトルになるはずだったが、セッラーリオの2回目の走行となるパワーステージでロッセルは素晴らしい走りをみせてカイエタノビッチより4.7秒速いタイムでフィニッシュ、3.1秒差で逆転で2位に浮上するとともに、パワーステージを制したことで、わずか3ポイント差でWRC3タイトルを獲得することになった。

 ロッセルは、勝利を飾ったはずのアクリポリス・ラリー・ギリシャでゴール後にサブフレームの重量違反で失格となり、FIA法廷にプロテストしていたものの、この訴えは却下となっていた。ロッセルにとっては、最終戦のモンツァでの直接対決でこの無念を晴らすしかない状況だったが、見事に最後にふんばりを見せることに成功した。

「簡単なことではなかったよ」とロッセルは感慨深げに語った。「今朝もいくつかの技術的な問題があったので、ここに来られたことは本当に信じられないよ。チームのみんなとパートナーに感謝したい。この週末はとてもハードにプッシュしたので、格別な気分だ」

 昨年のイタリア・チャンピオンであるクルニョーラは、最終的にロッセルに4秒差をつけて母国戦でWRC3初優勝を飾ることになった。「この週末はずっと接戦で、土曜日にはいくつかの小さな問題があったが、かなりプッシュした。ヒュンダイ・ラリーチーム・イタリアにとって、これが新しいマシンでの初勝利となったことをうれしく思う」

 ヒュンダイ・ジュニアドライバーの一人であるグレゴワール・ムンステル(ヒュンダイi20 N Rally2)は、カイエタノビッチから1分24秒遅れの4位でフィニッシュ、ダミアン・デトマソ(シュコダ・ファビアRally2エボ)が39.9秒遅れの5位で続くことになった。

 また、イングラムは、金曜日の初日にスタート遅れによって1分間のペナルティを受けながらも、その後、6位まで挽回することになったが、ゴール後に規定の30本ではなく33本のタイヤを使用したことが発覚、彼は6分のペナルティを受けて8位に転落し、ジョシュ・マクアーリン(ヒュンダイi20 N Rally2)が6位に順位を上げている。