RallyCross2018/04/16

波乱開幕戦、ファイナル勝者のエクストローム失格

(c)FIAWorldRallycross.com

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 2018年FIA世界ラリークロス選手権の開幕戦バルセロナRXのファイナル・レースが15日に行われ、予選とセミファイナル・レースの戦いを優位に進めてきたPSRXフォルクスワーゲン・スウェーデンチームのペター・ソルベルグ(VWポロRスーパーカー)が1コーナーのスピンによって最後尾へと後退する波乱のなか、EKSアウディスポーツのマティアス・エクストローム(アウディS1 EKS RXクワトロ)が開幕戦に勝利したかに見えた。しかし、レース後、スチュワードはエクストロームが故意にソルベルグを押し出したことを認めて失格の判定を下し、昨年王者のヨハン・クリストファーソン(VWポロRスーパーカー)が優勝となった。

 土曜日と日曜日の午前中までに4つの予選ヒートを戦い、12名がセミファイナル・レースへと進出、このレースを勝ち残った6名がファイナル・レースで戦うことができる。

 シーズンを占う意味でも重要な1戦となるバルセロナRXで最初から速さをみせたのはソルベルグだった。Q2とQ3を制して予選トップとなった彼はセミファイナル・レース1でも順当に勝ち進み、ファイナルでのポールポジションを獲得することになった。

 だが、セミファイナル・レース2は波乱の展開となってしまった。Q4を制すなど安定した速さをみせて予選2位でセミファイナル・レース2をポールでスタートしたチーム・プジョー・トタルのティミー・ハンセン(プジョー208 WRX)は、ヤニス・ボウマニス(フォード・フィエスタ・スーパーカー)に接触されたあと電気系のトラブルでリタイア。乱戦のなかでレースを制してファイナルのフロントローを獲得したのは予選4位からしぶとくポジションを上げてきたエクストローム。これにチーム・プジョー・トタルのセバスチャン・ローブ(プジョー208 WRX)が続くことになる。

 ローブはQ3のヒートをリードしている際に接触されてサスペンション破損、リタイアとなり、予選13番手でセミファイナルの権利を逃したかに見えたが、チームは予選12番手となったサードドライバーのケヴィン・ハンセン(プジョー208 WRX)のセミファイナル進出を戦略的に辞退させてローブはセミファイナル2に駒を進め、見事ファイナルを2列目のグリッドからスタートすることになった。

 ファイナルもドラマチックなスタートとなった。エクストロームが好スタートでややリードを奪ってターン1へと進入、ソルベルグが行き場を失ってイン側のタイヤバリアに接触してスピンを喫して最後尾へと後退してしまう。

 レースはそのままエクストロームがリード、2列目のグリッドからスタートしたクリストファーソンが追撃するも、エクストロームのチームメイトであるアンドレアス・バックルド(アウディS1 EKS RXクワトロ)に挟まれる恰好で抜くまでには至らない。しかし、5周目にクリストファーソンからのプレッシャーから逃れるようにエクストロームがジョーカーラップを選択、クリストファーソンが逃げ切りを図るも彼は最終ラップでジョーカーを走ったあとコースに戻った際にうまくエクストロームに抑えこまれ、激しくプッシュするもわずか0.5秒という僅差でエクストロームがトップでチェッカーをうけることになった。

「1コーナーで何が起きたのかはわからない。ペターは僕より後方だったためサイドウィンドウごしにいなかったし、何が起きたのかも見えなかった。彼に誰かがヒットしたのかもわからない。僕にとってはいいシーズンのスタートになった」とエクストロームは語っている。

 だが、エクストロームはレース後に1周目の1コーナーでの走行が危険行為だったとして失格の判定が下り、クリストファーソンが繰り上がりで開幕戦の勝者となっている。

 ラップ1でジョーカーラップを選択したローブは、ジョーカーラップでバックルドをうまく抜いて2位でシーズンをスタートすることになった。バックルドも開幕戦3位、GRXチームのニクラス・グロンホルムはヒュンダイi20スーパーカーのデビュー戦で見事な走りをみせて初めてファイナルに進出、4位でフィニッシュしている。

 また、プロドライブが製作したルノー・メガーヌRS RXで出場する GCコンペティションから出場するジェローム・グロセット-ジャナンもセミファイナルで2位につけ、デビュー戦でのファイナル進出が期待されながらも惜しくも接触によりファイナルを逃している。