WRC2021/11/26

豊田市、2023年以降のWRCジャパン運営母体へ

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 愛知県豊田市は、2023年から2025年までの3年間にわたってFIA世界ラリー選手権のジャパン・ラウンドの運営主体となる準備を進めるため、12月市議会定例会に補正予算案を提出することを発表した。

 豊田市が26日に発表した資料によれば、世界ラリー選手権開催負担事業として3年間で12億8,700万円(現在のレートでの算出、ユーロでの分割支払いとなり、支払時点の為替変動に伴う増減額が加わる)の補正予算案を市議会に提出、予算案の議決を待って、2022年1月に日本自動車連盟(JAF)に、2023年の世界ラリー選手権の開催申請を行うなどの手続きを進める予定だとしている。

 豊田市の太田稔彦市長は26日に行われた定例記者会見において、日本のおけるWRCの安定的な開催のためにWRCプロモーターから2023年以降のジャパン・ラウンドの主催者にならないかとの打診があったと説明している。

「世界ラリー選手権(WRC)は、昨年、今年と2年連続で中止になりましたが、先日、主催者から令和4年の開催概要として、豊田スタジアムを中心に、愛知、岐阜で開催されることが発表され、大変期待しているところです」

「ところが、そのあと令和5年(2023年)以降の日本での開催については白紙の状況であり、世界の様々な国や都市が誘致に向けて動いていると情報もあります。そうした中、豊田市が運営主体となってWRCを継続して開催することとしました。その準備を進めるため、12月市議会定例会に補正予算案を提出します」

「この状況の中で、WRCの開催候補地をFIA(国際自動車連盟)に宣言する権利をもつドイツに本拠地があるWRCプロモーターから、今回の3年間の開催地の一つである豊田市、加えて2019年のラグビーワールドカップの開催経験をもつ豊田市に、主催者にならないかという打診がありました。豊田市としてもWRCの日本開催を継続したいという気持ちが強いので、その申し出を受けることとしました」

 モータースポーツの主催、ましてやFIA世界選手権の主催を地方自治体が行った例はこれまでにない。豊田市が、前例のない取り組みを推進する意義について、太田市長は次のように説明している。

「このWRCについては、本市としては単なる興行イベントとは捉えていません。山間地の振興、交通安全の推進、自動車産業の振興といった極めて公益性の高いスポーツイベントと捉えています。豊田市が主催する意義はそういったところにあると考えています」

「予算案の内容は、令和5年から7年(2023から2025年)の3年間のWRC開催に向け、将来の債務を約束する債務負担行為としています。負担金の支払いは令和4年度(2022年)から必要となるため、債務負担行為の期間を令和4年度から7年度としています。支払いはユーロでの分割払いとなり、12億8,700万円という金額は現在のレートで算出していますが、実際の支払い時にはレートの差額が出ますので、為替変動に伴う増減額が加わるという記載をしています」

「本市でのWRCの継続的な開催については、今回の12月市議会に提出する『豊田市山村地域の持続的発展及び都市と山村の共生に関する条例(案)』の理念と目的に沿った取り組みでもあります。大会を通じて世界に日本の原風景としての山村の価値を発信し、共感を得ることで、市民が愛着と誇りを持ってその価値を守り、生かし、次の世代につないでいくための契機となると考えています」

 豊田市によれば、補正予算案の議決を待って、2022年1月に2023年のWRCジャパン・ラウンドの開催申請をJAF(日本自動車連盟)に提出し、その後、JAF及びFIA(国際自動車連盟)による審査を経て、2022年11月頃にWRCカレンダーが決定されるとしている。経費の支払いは、この決定を受け、2023年以降からの分割払いとなるという。