WRC2017/07/01

雨のポーランド、ヌーヴィル首位もタナクが僅差

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 FIA世界ラリー選手権(WRC)第8戦ラリー・ポーランドは雨によってトリッキーなコンディションとなった金曜日を終えて、ティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20クーペWRC)が首位に立っており、前戦でキャリア初優勝を飾ったオット・タナク(フォード・フィエスタWRC)が1.3秒差の2位につける展開となっている。

 ラリー・ポーランドは木曜日の夕方に行われたミコワイキ・アリーナのスーパーSSに続き、金曜日朝からラリーは本格的なグラベルステージへと舞台を移す。昨夜ふたたび強い雨が降ったため、オープニングステージのSS2フミエレボ(6.52km)はヘビーウェットのコンディションとなるなか、ヌーヴィルがトップタイムで首位に立ち、ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)が0.2秒差の2番手タイムで2位につけることになった。

 しかし、SS3ビエリチュキ(15.96km)ではベストタイムを奪ったラトバラが首位に浮上、さらにふたたび強く降り始めた雨によって滑りやすくなったSS4シウィンタイノ(18.60km)でも彼は連続してベストタイムをマーク、SS5スタレ・ユヒ(13.50km)では降りしきる雨のなかワイパーが1本動かないトラブルに見舞われながらも2番手タイムを奪い、後続に4.5秒差をつけてトップで朝のループを終えることになった。

「SS4でワイパーの1つが壊れたんだ。少し気が散ったよ。コドライバーのサイドから交換したので、このステージでは僕のところのは動いている。とてもトリッキーで、あちこちに大量の泥があったよ」とラトバラは語った。

 ラトバラの後方では、ヌーヴィル、オジエ、タナクの3人がステージごとに順位を入れ替える激しい戦いを繰り広げることになった。ヌーヴィルはSS3でラトバラに首位を譲ったあと4位に後退したが、SS5のスタートでエンジンをストールさせたタナクとオジエを一気に抜き去り、ラトバラから4.5秒差の2位へと浮上することになった。とはいえタナクは0.5秒後方、オジエも2.8秒後方の4位につけることになった。

 朝のループではスタート順上位のドライバー4人がトップ4を占め、それ以降のドライバーは走行によって路面に刻まれる轍に苦しめられてタイムが上がらない。5位につけるヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20クーペWRC)でさえ、すでに43.6秒遅れ、晴れていれば後方から追い上げが期待されたDMACKワールドラリーチームのエルフィン・エヴァンス(フォード・フィエスタWRC)は早くも1分17秒差の11位と出遅れてしまった。

 SS6フミエレボは多くの観客がコースの安全ではないエリアにいたことからキャンセルとなったため、午後のループはSS7ビエリチュキから始まることになった。雨はすでに止んでいるものの、ステージには朝のループでラリーカーの走行によって刻まれたコーナーの轍に大きな水たまりがいくつもできており、上位陣はことごとくタイムを落とすことになった。

 なかでもオジエはもっとも大きくタイムをロスすることになり、トップタイムから16.3秒遅れという11番手タイムに沈み、4位はキープしたものの首位からは19.7秒遅れとなってしまった。

 ラトバラもこのステージでは5番手タイムがせいいっぱい。彼はどうにか首位をキープしたものの、危ない瞬間があったと告白。彼はこれでリズムを失ったように、さらに深い轍ができたSS8シウィンタイノでもうまくターンインができずに苦戦、1秒差でタナクに首位を明けわたすことになってしまう。

 この難しい水たまりの多いステージでオジエより13.5秒速いベストタイムを奪ったのは、2番手の走行ポジションで走ったヌーヴィル。彼は渾身の走りでラトバラに0.7秒差に迫り、さらに続くSS9スタレ・ユヒではラトバラを6.1秒も上回る驚くべきタイムでラトバラだけでなくタナクさえも抜いて一気に首位に浮上することになった。

 ヌーヴィルはこの日最後のステージのミコワイキ・アリーナのスーパーSSでも首位をキープ、タナクに1.3秒差をつけて金曜日を終えることになった。

「もちろん非常にトリッキーだった。僕たちは出走順に苦しんだ。けれどプッシュした時、マシンはとても良く動いたんだ。明日の走行ポジションがとても重要になるから、必死で今夜のリーダーになろうとしたんだよ」とヌーヴィルは語っている。

 そのいっぽうで、タナクは冷静だ。彼はリードを失ったが、「まだ金曜日なので、僕は限界までプッシュしていない。午後は非常に厳しいコンディションだったので、今すべてを出し切る必要はなかった。それには時期尚早だ。明日も長い一日になる」と余裕の表情だ。

 3位のラトバラは午後のループでタイムを落としたとはいえ首位から6.6秒遅れで続くことになったが、ステージごとにタイムを失ったオジエは、4位をキープしたものの、けっきょく33.9秒もの遅れを喫することになった。

 オジエから4秒差の5位にはヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20クーペWRC)、苦手な路面に苦戦したチームメイトのダニエル・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)もパッドンから13.1秒差の6位で続くことになった。

 WRカーのデビュー戦を迎えたMスポーツのテーム・スニネン(フォード・フィエスタWRC)はSS7ビエリチュキでキャリア初のベストタイムを獲得、轍のできたステージでライドハイトに苦しんだユホ・ハンニネン(トヨタ・ヤリスWRC)を抜いて7位で金曜日をフィニッシュした。

 新しいリヤデフのホモロゲーションをジョーカーで取得するなど、巻き返しに必死のシトロエンだが、今回も災難続きとなってしまった。アンドレアス・ミケルセン(シトロエンC3 WRC)はSS5で切り株にヒットしてリヤのサスペンションを壊して90秒をロス、12位にとどまっている。チームメイトのクレイグ・ブリーン(シトロエンC3 WRC)もSS3でリヤのドライブシャフトを壊したあとぬかるんだ朝のループを2輪駆動のまま走りきったため、9分20秒も遅れて総合26位と沈んでいる。

 また、前戦サルディニアのパワーステージなどを制して期待されていたエサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)は5位につけていたものの、SS4シウィンタイノで右フロントサスペンションを壊してリタイアとなっている。

 明日のDAY2は、昨年まで最終日に行われていた15.55kmのバラノボ・ステージからスタートする、9SS/144.74kmというラリー最長の一日となる。いまのところ明日の雨の確率は低いようだが、不安定な天気は日曜日まで続くと天気予報は伝えている。