WRC2017/12/23

【TOP10-第10位】テーム・スニネン

新進気鋭のフライングフィンの筆頭として誰もがラリー・フィンランドで初優勝を飾ったエサペッカ・ラッピを真っ先に思い浮かべるだろうが、もう一人、テーム・スニネンのことを忘れてはならない。

■テーム・スニネン

二人は次世代フライングフィンとして比較されてきた。前年のWRC2王座争いでプライベートのシュコダ・ファビアを駆ったスニネンは、シュコダ・ワークスのラッピに終盤戦で敗北している。さらにトヨタのプロジェクトにラッピが抜擢されたことは、いっそうスニネンの闘争心に火を着けることになったのかもしれない。ラッピがWRカーでのデビュー2戦目のラリー・イタリア・サルディニアでベストタイムを奪ったのに対して、スニネンはラリー・ポーランドでWRカーに乗ってわずか6つめのヴィエルチュキのステージでベストタイムを奪い、まさしくライバルに一歩も劣らぬ衝撃的な速さをみせた。

最後のステージでのスピンが響いて、けっきょくスニネンはポーランドでは6位に終わることになったが、次戦の母国フィンランドでさらにセンセーショナルな速さをみせることになる。彼はここでもラッピに真っ向から挑むように2つのベストタイムを奪い、最終日を2位で迎えることになった。

スニネンは最終日の朝、「いつか自分も優勝をかけて戦うことができればと思う。でもこれは今週末の目標ではない」と控えめに語ったが、自身がまだWRカーでの2戦目だということを頭で理解しつつも、ライバルが首位につけていることをどうしても意識しないではいられなかったようだ。

トップドライバーたちから激しいプレッシャーを掛けられながらも、SS23では2番手タイムで2位を死守することへの強い意思をみせたが、勢い余ってゴールを目前にしてクラッシュ、彼は初の表彰台さえ失い、4位でのゴールを迎えることになってしまった。

WRカー2戦目で表彰台争いができたことに満足しつつも、彼はゴール地点で本当に悔しそうな表情をみせた。「ポディウムを逃したのは残念だったが、WRカーで予定されている参戦はこれが最後だったから、僕らは挑まなければならなかった」とスニネン。

スニネンが母国でみせた速さを彼がフィンランド出身であるからこそ達成できたものだというかもしれない。しかし、初めて走るステージがいくつかあっただけでなく、彼がここを4駆マシンで走ったのはわずか2戦目であり、ろくなテストしないままに本番を走ったことを多くの人が忘れているだろう。

母国の英雄ヤリ-マティ・ラトバラは、2014年のフィンランドでWRCデビュー戦でWRC3優勝を果たしたスニネンの速さを評して、将来のワールドチャンピオンだと予言した。スピードへのセンスがあるものの、いまのスニネンに欠けているのは経験不足から来るラインへの不正確さだけだ。スニネンの視界にはいつか追い越したいライバルの背中が映っている。

生年月日:1994年2月1日(23歳)
選手権ランキング:14位
獲得ポイント:29点
ベストリザルト:4位
優勝回数:0回
2位の回数:0回
3位の回数:0回
表彰台回数:0回
出場回数:8回
ベストタイム回数:4回
リードしたステージの数:0SS
リタイア数:0回
ラリー2の回数:0回
パワーステージ勝利数:0回
パワーステージ獲得ポイント:0点