WRC2022/12/28

【TOP10-第6位】セバスチャン・ローブ

「史上最年長での80回目の優勝」

(c)M-Sport

Sebastien Loeb
M-Sport Ford World Rally Team

セバスチャン・ローブは、2022年開幕戦のラリー・モンテカルロで47歳と331日という史上最年長での80回目の勝利を達成した。最後の世界タイトルから10年経った今も彼が最速を誇っていることは驚異でさえある。

フレンチアルプスを舞台にした伝統の一戦は、例年より雪こそ少なかったが、めまぐるしく変化する路面との戦いとなり、8度のワールドチャンピオンと9度のワールドチャンピオンの対決に沸くことになった。

多くのドライバーが未知なるハイブリッドRally1マシンのセットアップを試行錯誤することになったが、ローブは、ダカールで2位となったその足でモンテに移動してきたため事前に準備する時間が限られていたにもかかわらず、まるでこのマシンに乗り慣れているかのようにすぐにペースを引き出し、最終日にパンクに見舞われたセバスチャン・オジエを逆転して劇的な勝利を飾ることになった。

ローブは経験に裏打ちされた試合巧者であるだけでなく、その後も現役の若手のドライバーたちに対してまったくひけを取らない驚異的なスピードを何度も見せつけた。

ローブはポルトガルでも金曜日の朝にベストタイムを奪って首位に立ち、モンテの再現を期待されたが、午後のループをスタートしてすぐのコーナーでのクラッシュでリタイアとなってしまった。さらにローブはケニアでも金曜の朝に行われたロルディア・ステージでベストタイムを奪って首位まで1.9秒差につける速さを見せていたが、エンジンルームで発生した小さな火災が彼のマシンを停めることになり、最終的に3つのステージ優勝を果たした後、8位でフィニッシュした。

ローブはギリシャでもラリーをリード、初のベストタイムを奪ったチームメイトのピエール-ルイ・ルーベに一時トップを譲ったが、すぐに抜き返して金曜日をトップで終えている。

残念ながらローブは翌日にオルタネーターベルトの断裂によってリタイア、ルーベもパンクによって惜しくも初の表彰台はならなかった。けっきょく、Mスポーツはその後も勝利するどころか、サルディニアでクレイグ・ブリーンが2位になって以降は表彰台を達成することなくシーズンを終えている。

ギリシャのゴール後、ローブは、Mスポーツの不振はライバルチームよりマシンのパフォーマンスが劣っていることが原因ではないかと問われたが、「このマシンがまだ十分に勝利を狙える可能性を持っている」と主張した。その週末、プーマは6つのステージでベストタイム、7つのステージでラリーをリードしていることからも、ローブが指摘するようにトップレベルにあることは明白だろうが、それでも期待どおりにそれを引き出してみせるローブはやはりただ者ではない。

ローブがふたたびMスポーツから出場するチャンスは? ダカールのスケジュールの問題から2023年のモンテへの出場はなくなったが、史上最年少と史上最年長のWRCウイナーが優勝を争うというシーンが見られることを期待したい。

■セバスチャン・ローブ
生年月日:1974年2月26日(48歳)
タイトル:WRC(2004、2005、2006、2007、2008、2009、2010、2011、2012)
選手権ランキング:11位
獲得ポイント:35点
ベストリザルト:1位
優勝回数:1回
2位の回数:0回
3位の回数:0回
表彰台回数:1回
出場回数:4回
ベストタイム回数:14回
リードしたステージの数:13SS
リタイア数:2回
リスタートの回数:1回
パワーステージ勝利数:0回
パワーステージ獲得ポイント:6点