WRC2017/12/26

【TOP10-第7位】エサペッカ・ラッピ

エサペッカ・ラッピがこれほど自信家だったとは誰もが知らなかっただろう。ラリー・フィンランドの二日目、SS18サーラーティのステージでチームメイトのヤリ-マティ・ラトバラから0.7秒遅れたラッピは、ラトバラとのギャップを詰めるはずが、反対に8.5秒に差が広がったことに激高していた。「僕は速かったが、タイムは悪かった。理解できない。僕は完全に限界までプッシュし、危ない瞬間も全くなかった。だからタイムがこんなに悪いことに驚いている」。彼はその時点で相手が誰であろうとこのホームイベントでは負ける気がしないことを確信していたのだ。

■エサペッカ・ラッピ

次世代のスターとしてトヨタGAZOOレーシングWRTに起用されたラッピは、ラリー・デ・ポルトガルでWRカーデビューを果たした。彼は金曜日の朝、12番手のタイムでスタートしたが、その後、少しずつペースを上げて7位まで浮上、二日目にサスペンションを壊して5分をロスしたために最終的な順位は10位にとどまったものの、最終日には2つのステージでラトバラより速いタイムを出し、最後のパワーステージでは4番手のタイムを奪い、トヨタ勢のなかで唯一ボーナスポイントを獲得する印象的な速さをみせることになった。

誰もが驚いたのは、デビュー2戦目となったラリー・イタリア・サルディニアだ。ラッピは金曜日の朝、2速のギヤを失いながらもキャリアで初のベストタイムを獲得、さらに2つのステージでも連続してベストタイムを奪うことになる。もちろん初日は走行条件にも恵まれていたが、彼はそのタイムが偶然ではないことを翌日以降、はっきりと証明することになった。二日目には4回目のベストタイムを奪い、さらに最終日はパワーステージを含む2つのステージでのトップタイムを奪い、このラリーでの最多となる6回のベストタイムを奪って、キャリア最上位の4位でフィニッシュすることになったのだ。

ラッピは、ラリー・ポーランドの高速ステージでパフォーマンスが期待されていたが、金曜日の朝のループでペースノートに記載されてなかった岩にクラッシュ、初日で不運なリタイアとなってしまったが、次戦のフィンランドでは運命が彼の味方をすることになる。

リードを広げていたラトバラがオウニンポウヤの2回目で突然スローダウン、ラッピも最終日にコースオフしたものの、マシンには大きなダメージはなく、最終ステージのスタートではこれまでの人生になかったほどのプレッシャーを感じながらも見事に母国ラウンドでキャリア初優勝を飾ることになった。

チームのホームイベントでの勝利はあったもののラッピは、そのあとのイベントでは多くのミスを犯したことを認めている。ドイツでは金曜日のアクシデントによるデイリタイアにより21位に終わったが、パワーステージでは圧巻の2番手タイム、スペインでも高速ターマックでトップ3のタイムを何度も出しながらも最終日にガードレールでクラッシュしている。

カート出身だけあって、グラベルだけでなくターマックの速さにも自信はある。しかし、彼はまだまだヤリスWRCの真の限界を理解してないと感じている。「今年はドライビングのミスが多すぎたが、トップレベルのマシンの限界を理解することが重要だった。限界を見つけなければ、ペースを掴むことができないからね」。スピードの原石はまだまだ底なしの速さを確信しているようだ。

生年月日:1991年1月17日(26歳)
選手権ランキング:11位
獲得ポイント:62点
ベストリザルト:1位
優勝回数:1回
2位の回数:0回
3位の回数:0回
表彰台回数:1回
出場回数:8回
ベストタイム回数:16回
リードしたステージの数:12SS
リタイア数:2回
ラリー2の回数:1回
パワーステージ勝利数:0回
パワーステージ獲得ポイント:14点