WRC2017/12/24

【TOP10-第9位】ヘイデン・パッドン

(c)Hyundai

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1年前のヘイデン・パッドンの勢いを思い浮かべたとき、誰もが彼の2018年に首を傾げるだろう。2016年のアルゼンチンでのキャリア初勝利のあと、彼はワールドチャンピオンという野心に向けて着実に歩み始めたかにみえたが、さらに強くなろうとする彼の決意とは裏腹に、襲いかかる不運と不振に悩まされることになってしまった。

新世代WRカーによる緒戦となった2018年開幕戦モンテカルロ、パッドンは大きな期待を抱いてシーズンをスタートしたが、ナイトステージのSS1では凍結したコーナーでスライド、コース脇の危険なエリアにいたアマチュアカメラマンが死亡するというアクシデントを引き起こし、ラリーを棄権することになる。

この不幸な事故で彼は気持ちの上でも勢いに乗ることができず、立て続けに不運と不調に見舞われることになってしまう。スウェーデンでは2番手タイムや3番手などの速さをあったが、パワーステアリングの故障で7位、ヒュンダイの3台のすべてのマシンがエアフィルターの不良によって激しいミスファイアに見舞われたメキシコで表彰台を失って5位。2016年の勝利を再現するような走りを見せることを期待していたアルゼンチンでは金曜日の朝にいきなり横転して2分40秒をロス、そのあと2つのステージウィンを獲得したものの、いいところなく6位でのゴールを迎えることになってしまう。

これまでキャリア初期から長きにわたってパッドンのコドライバーきたジョン・ケナードが健康上の理由でやむなく引退したため、ポルトガルからはセバスチャン・マーシャルを新しいコドライバーに迎え、複数のステージで勝利して復活への足がかりをつかんだかに見えたが、二度のメカニカル・トラブル絡みのリタイアを喫することになってしまう。

パッドンはサルディニアでも初日からラリーをリード、8つのステージでリードを奪いながらも2日目にクラッシュ、さらに最終日にも2度目のクラッシュによって痛恨の2戦連続のノーポイントとなってしまった。

ポーランドで1年ぶりの表彰台を獲得したあと、彼は「僕の人生の中で、プロとしても個人的にも、最も困難な時期だった」とそれまでの厳しいシーズンをふり返ることになり、今度こそ本当に長いスランプのトンネルからやっと抜けだしたかに見えた。だが、完全復調を信じたフィンランドで初めての表彰台に挑んだが、またも2度のデイリタイアを経て43位に終わることになった。

ドイツではパンクによって遅れて8位でフィニッシュ、あまりの不振ぶりにスペインでは新加入のアンドレアス・ミケルセンにシートを奪われ、佳境にはいったマニュファクチャラー選手権争いにおいてチームをサポートすることさえできないという屈辱を味わうことになる。すべてのタイトル争いが決着したあとのオーストラリアで今季2つめのポディウムとなる3位を獲得することになったが、真の笑顔はそこにはなかった。

パッドンは2018年、チームメイトのダニエル・ソルドと1台のマシンをシェアするシーズンになる。厳しい試練をバネにして、自ら運命を切り拓くことが求められている。

■ヘイデン・パッドン
生年月日:1987年4月20日(30歳)
選手権ランキング:8位
獲得ポイント:74点
ベストリザルト:2位
優勝回数:0回
2位の回数:1回
3位の回数:1回
表彰台回数:2回
出場回数:12回
ベストタイム回数:12回
リードしたステージの数:9SS
リタイア数:4回
ラリー2の回数:5回
パワーステージ勝利数:0回
パワーステージ獲得ポイント:1点