WRC2021/04/06

アウディ、ダカールマシンを6月末に公開へ

(c)Audi

 アウディは、2022年1月に開催されるダカール・ラリーでのデビューに向けて、重要な一歩を踏み出した。アウディによれば、世界で最も過酷なクロスカントリーラリーのための革新的なプロトタイプのコンセプトは現在、ノイブルグ・アン・デア・ドナウのアウディ・スポーツで製作されており、ほぼ完成している状態にあるという。

 このマシンは6月末にお披露目され、7月にワールドプレミアを予定している。最初のテストは今年の半ばに予定しており、2022年1月に開催されるアウディ初のダカール・ラリーまでに、集中的なテストを繰り返すという。

 アウディのモータースポーツ活動の責任者であるアウディ・スポーツGmbHのマネージングディレクターを務めるユリウス・ゼーバッハ(右)は、次のように語った。

「ダカール・プロジェクトは、画期的な新技術をモータースポーツで初めて使用し、将来のロードカーに活かすというアウディの哲学に忠実なものだ」

「ラリーの歴史の中では例えばクワトロ・ドライブトレインがそうだったが、今回のダカール・ラリーでは、将来の電気ドライブトレインのコンポーネントを極限の環境下でテストする。それと同時に、カスタマーやファンにエキサイティングな体験を提供していく」

 アウディのファクトリーモータースポーツのプロジェクトマネジメントは、最近までアウディ・スポーツで成功したDTMの責任者だったアンドレアス・ルース(左)が引き継いだ。ルースは、次のように語った。

「ダカール・プロジェクトは、チーム全体にとって大きな挑戦だ」「我々の革新的なコンセプトを実現するために、タイトなスケジュールが組まれている。我々は、電気ドライブトレインでダカール・ラリーに挑戦する最初のマニュファクチャラーだ。2022年のダカール・ラリーに間に合わせるために、チーム全員が全力で取り組んでいる」

 この革新的なプロトタイプは、アウディが2021年シーズンに向けてゼロから開発した現行のフォーミュラEカーのモーター・ジェネレータ・ユニット(MGU)を使用している。3つのモーターが使用される。

「フロントアクスルとリヤアクスルにそれぞれ1つずつMGUを搭載する。3つ目のMGUは、走行中に高電圧バッテリーを充電するためのジェネレーターとして機能する」とルースは語った。

「もちろん、砂漠では、ジャンプ、砂、非常に長いステージなど、現在フォーミュラEでレースを行っている都市とは異なる課題があるため、修正を加えなければならない。しかし、基本的にはフォーミュラEや、eトロン・クアトロのル・マン・プロトタイプで得たノウハウをベースにすることができる」

 アウディは、高電圧バッテリーの開発も自社で行っている。フォーミュラEでは、サプライヤーからすべてのチームに提供される仕様部品だ。このバッテリーを充電するためのエネルギーは、DTMに搭載されている4気筒TFSIエンジンから供給される。

 ルースは、次のように語った。「このエンジンは非常に効率的で、重量と消費量の点でも最先端だ」

「重要なのは、我々のドライブトレインが完全に電気であるということだ。TFSIエンジンは、スペシャルステージでバッテリーを充電するためにのみ使用される。バッテリーは走行中に充電しなければならない。砂漠で充電するための他の選択肢は今のところない」。アウディは、すべてのリエゾンステージでフル電動走行を計画している。

 ダカール・ラリーで、アウディスポーツとともにQモータースポーツチームの運営を行うスヴェン・クワント(中央)は、次のように語った。

「ダカールは独特で、世界に残る大冒険のひとつだ」「ダカールラリーに参加することで、ブランドは多くのものを得ることができると確信している。特に、アウディが電動ドライブトレインを採用したように、革新的な道を選択した場合はなおさらだ」