WRC2025/06/27

アクロポリス開幕、オジエとタナクが首位発進

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 2025年世界ラリー選手権第7戦アクロポリス・ラリー・ギリシャはアテネ市内の厳しい交通渋滞のため1時間半近くスタートが遅れるという波乱のなかで開幕、アテネ・スーパーSSではセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリスRally1)とオイット・タナク(ヒョンデi20 N Rally1)がトップタイムを分け合ってスタートすることになった。

 アクロポリス・ラリーは、木曜日の夕方、現地時間18時5分にアテネで観戦ステージをスタートする予定だった。クルーたちは木曜日の朝、サービスパークがおかれるラミア近郊のシェイクダウン・ステージを走行し、その後メディア対応を行ったあとスタートセレモニーが行われるアテネへと向かっている。ラミアからアテネまではおよそ200km。およそ2時間で到着する予定がアテネ市内の深刻な交通渋滞のため、2時間近くも遅れてしまい、ドライバーたちのサイン会が中止となったほか、すべてのドライバーがレッキを行えないという状況のなかでオープニングステージは1時間28分遅れで始まることになった。

 古代ギリシャのオリンピック競技場を再現したパナシナイコ・スタジアムでのスタートセレモニーのあと、開幕ステージのアテネ・スーパーSS(1.50km)が、スタジアム前の円盤投げ選手の像の下からスタート、大通りと国立庭園内のザッペイオン広場での2度のドーナツターンを行うターマックコースを2回ループする。古代オリンピックが行われた、まさしくスポーツの原点ともいうべき場所で今年のアクロポリスは戦いの幕を開けることになった。

 明日からの本格的な戦いからみれば競技というより、ファンたちにラリーカーをお披露目するようなステージではあったが、オジエはドーナツターンで右のサイドミラーを失い、タナクもタイトターンでブロックに右リヤをヒットする寸前のきわどい走りをみせて1分18秒1のベストタイムを分け合っている。

「残念ながら、僕らのクルマではドアミラーがすぐに壊れてしまうことが多いんだ。外れたのはミラーだけなので大丈夫!」とオジエは笑顔を見せた。「明日からは気温は極端に高いだろうし、40度を超えるかもしれない。そして無数の石が転がっているだろう。それでも、今回もベストを尽くすつもりだ」

 オジエとタナクのトップ争いは、ふりかえってみればラリー・デ・ポルトガル以降ずっと続いている。タナクは明日の金曜日が勝負の一日になると語った。「マシンは限界まで行くだろう。明日は(リモートサービスがあるとはいえ)本格的なサービスが無いまま15時間走らなくてはならず、厳しい一日になるだろう。それでも僕らは最善を尽くすつもりだ」

 3番手タイムを記録したのは、シェイクダウンで最速タイムを奪った勝田貴元(トヨタGRヤリスRally1)で、トップの2人から0.9秒遅れ、トップから1秒差の4番手でアドリアン・フールモー(ヒョンデi20 N Rally1)、さらに0.1秒差の5番手でティエリー・ヌーヴィル(ヒョンデi20 N Rally1)が続いている。

 選手権リーダーのエルフィン・エヴァンス(トヨタGRヤリスRally1)とチームメイトのカッレ・ロヴァンペラ(トヨタGRヤリスRally1)は、トップから1.5秒差の6位タイで発進した。カーナンバー69で参戦するロヴァンペラは、今回が69回目のアクロポリス・ラリーであることを知り、この数字の偶然が幸運をもたらすことを期待している。「それは知らなかったが、幸運を祈っているよ。本当にタフでチャレンジングな週末になるだろうからね。明日はメインサービスのない長い一日になる。頑張って乗り切りたいと思う」

 
 Mスポーツ・フォードのマルティンス・セスクス(フォード・プーマRally1)は、オープニングステージで8番手タイム、サミ・パヤリ(トヨタGRヤリスRally1)は、トップから3秒遅れの9番手タイム、ジョシュ・マクアリーン(フォード・プーマRally1)が10番手タイムで続いている。

 アテネ・スーパーSSのあとラリーカーはアテネの西側86kmに位置するコリントス湾沿いのルートラキに移動してカジノ・ルートラキでナイトホルトを迎える。金曜日は、ルートラキからスペシャルステージを走りながらサービスパークのあるラミアに向かって北上するタフな一日となるが、今回はルートラキで、朝にはタイヤフィッティングゾーンが設けられ、さらにお昼には20分間のリモート・サービスの機会が設けられている。