Raid2017/10/12

アル-アッティーヤ、ローブを破って王者へ

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 TOYOTA GAZOO Racingサウスアフリカのトヨタ・ハイラックスを駆ったナッサー・アル-アッティーヤは、FIAクロスカントリー・ワールドカップ・シリーズ第10戦となるモロッコ・ラリーで、雨による影響も受けながら4回目となる圧倒的な勝利をおさめ、4度目のFIAクロスカントリー・ワールドカップのタイトルを決めることになった。

 カタール出身のアル-アッティーヤは、2008年、2015年、そして2016年にもシリーズを制覇しており、フランス人コドライバーのマティユ・ボーメルとともに2017年シーズンも優位な戦いを展開し、7勝目を挙げてトヨタに2年連続の栄冠をもたらしている。

 10月4日から10日までの6日間にわたって開催されてきたモロッコ・ラリーには、来年のダカールの準備としてセバスチャン・ローブとカルロス・サインツの二人が参戦、プジョースポールは、最新スペックの3008DKRマキシが来年のFIAクロスカントリー・ラリー・ワールドカップの規定のマシンであるため、旧スペックの3008DKRを2台投入してきた。MINIもミッコ・ヒルボネンやナニ・ローマら7台体制で登場、Xレイド・チームは当初、来年のダカールにむけてプジョーに対抗すべく2WDマシンを準備すると言われてきたが、どうやら信頼性のおけるマシンの進化版で戦う方針に切り替えたようだ。

 モロッコ・ラリーは10月4日にフェスでスタート、翌日行われた12kmでスーパーSSで幕を開け、アル-アッティーヤがリードする展開でスタートすることになった。しかし、6日のレグ1でローブが圧巻のタイムで首位に浮上、アル-アッティーヤは12分51秒差をつけられることになる。さらに7日のレグ2は洪水によってかなりのルートがキャンセルとなるなか、アル-アッティーヤが追撃を開始して5分2秒差まで接近、雨によってさらに路面が悪化した8日のレグ3ではアル-アッティーヤがふたたびベストタイムを奪ってローブに3分46秒差に迫ることになった。

 プジョー勢にとって明らかに不利なコンディションが続くなか、ローブはレグ4で大きなステップにヒットしてダンパーを破損、ペースダウンした状態でやっとの思いでフィニッシュまでたどり着くと、スペシャル・ステージで問題を抱えたパーツを交換してからビバークに向かっており、この日だけで10分を失い、アル-アッティーヤが6分42秒差で首位に立つことになった。

 アル-アッティーヤは序盤に激しく攻めたローブに打ち勝つためにじっくりとチャンスを待ち、そして最終日のレグ5でもその差を7分55秒まで広げて勝利することになった。

 今シーズンすでにドバイ、カタール、カザフスタン、スペイン、ハンガリーそしてポーランドで圧倒的な勝利を挙げてきたアル-アッティーヤは、モロッコで7勝目を獲得したことによって、最終戦のみを残して他に大きく水をあける109ポイントのリードを築き、今季のFIAワールドカップのタイトルを獲得することになった。

「この勝利は苦労して手に入れたものだ、そして僕とチーム全体にとっては非常に大事な勝利だ」とアル-アッティーヤは嬉しそうに語った。「これはトヨタにとっても、僕の母国カタール、オーバードライブ・レーシング、マティユそして僕自身にとっても最高に素晴らしい結果であり、僕たちは絶大な自信をもってダカールを見据えることができる」

 ローブとダニエル・エレナはレグ4でのメカニカルトラブルで総合2位となったが、彼はこの問題がダカールで出なかったことに胸をなで下ろしている。

「僕たちにとっては火曜日のレグ4は最高の1日という終わり方とはいかなかった。ステージをスローダウンした状態で終えて、少なくとも10分はタイムロスしている。はっきり言って僕たちにはそんなことになるつもりでやっているわけじゃなかった!」とローブは腹立たしさを隠せなかった。

「それまではすべて順調に行っていたんだ、僕たちは速かったし、僕とダニエル(・エレナ)はとてもいいフィーリングを持っていたし、自信もかなりあった。そして今日、自分たちがとまらなければならなくなったメカニカル・トラブルに関しては、カルロスも同じ問題の影響を受けていた。せめてもこういったことはダカールではなく、ここで起きてくれた方がむしろありがたい。これによって何ならかの不具合というか、脆弱性がはっきりとしたことで、これからその原因を究明していくことになる」

 チームメイトのサインツとルカス・クルスは初日の2本のパンクによる25分の遅れを取り返すべく反撃を見せたが、ローブと同じ日に彼もダンパーを壊し、交換するためにステージでストップせざるを得なくなり、そのために20分をロスしており、総合10位でフィニッシュすることになった。

 Xレイド・チームのローマが堅実なペースをみせて総合3位でフィニッシュ、チームメイトのヒルボネンは初日に3分のパンクで遅れたあと、レグ3でスタックして16分遅れ、さらにドライブシャフトの問題に見舞われるなど、いいところなく7位で終えている。