RallyCross2016/05/16

エクストロームが連勝、ローブが2位初表彰台

(c)FIAWorldRallycross.com

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 ベルギーのメテで行われていたFIA世界ラリークロス選手権第3戦は、WRCで優勝を経験しているドライバーが3人ファイナルに進出するなか、EKS RXチームのマティアス・エクストローム(アウディS1)が2戦連続で優勝を飾り、チーム・プジョー・ハンセンのセバスチャン・ローブ(プジョー208 WRX)が2位でフィニッシュ、デビューから3戦目にして初めての表彰台を獲得した。

 Q1とQ2を制したエクストロームは前戦ホッケンハイムRXと同様にトップクオリファイを勝ち取り、完璧なスタートを決めたセミファイナルでもトップでフィニッシュ、ファイナルをポールポジションからスタートすることになった。

 ファイナルレースのフロントローにマシンを並べたのはPSWRXチームのペター・ソルベルグ(シトロエンDS3)。ローブとの直接対決に沸いたQ4ではスタートで出遅れるも1コーナーの混乱を冷静な判断で切り抜けて一番手タイムでフィニッシュ、予選2位で進出したセミファイナルもクリーンなスタートでレース2を制してエクストロームの隣でファイナルをスタートする。

 2列目のグリッドには予選3位で2戦ぶりにファイナルに駒を進めたローブと予選4位のVWチーム・スウェーデンのヨハン・クリストファーソン(VWポロRX)が並ぶことになった。予選レースごとにペースを上げてQ4では4番手タイムの速さをみせた地元ベルギーのフランソワ・デュバル(フォード・フィエスタST)がアントン・マルクルンド(VWポロRX)とともに3列目のグリッドからスタートすることになった。

 そして注目のファイナルは完璧なスタートで1コーナーをトップでクリアしたエクストロームに続き、なんと最後尾のマルクルンドが素晴らしいスタートをみせてアウト側からソルベルグとローブを抜いて2位に浮上してみせる。

 3番手にポジションを落したソルベルグはすかさずジョーカーラップを選択、ローブの1.6秒後方の4番手でコースに復帰する。しかし、その直後の2ラップ目、なんと2位につけていたマルクルンドがグラベルのセクションでコントロールを失ってコースオフ、ローブは無事にクリアしたものの、巻き上げられた土埃で視界を失ったソルベルグはペースダウンを余儀なくされてしまう。ソルベルグはペースを上げてトップグループとの差を詰める計画が、2ラップ目で最速ラップを叩き出したエクストロームからは5.3秒遅れ、ローブにも2.8秒も引き離され、優勝争いは困難な状況になってしまった。

 これで首位争いはエクストロームと2番手につけるローブに絞られることになった。クリーンな走りでラップを重ねるエクストロームは、ラップごとにじわじわとローブを引き離す。2.6秒差で迎えたファイナルラップで二人はともにジョーカーを選択、ローブがラップタイムをやや縮めたものの、エクストロームが2.5秒差をつける圧倒的な速さで優勝を飾ることになった。

 エクストロームはこの勝利で選手権ランキングでも単独首位に浮上、渾身の走りで追い上げたものの0.6秒ローブに届かず3位でフィニッシュしたソルベルグは、5ポイント差ながら選手権リーダーの座をこの3年間で初めて譲ることになってしまった。

 素晴らしい速さをみせたもう一人の歴代WRCウィナーであるデュバルは、一時4位につけていたものの、リヤタイヤのパンクのためにペースが上がらず、スピンで遅れたマルクルンドに抜かれてファイナル5位となった。クリストファーソンはスタート直後に3気筒になるトラブルに見舞われ、3ラップ目でマシンを止めることになった。

 チーム・プジョー・ハンセンのティミー・ハンセン(プジョー208 WRX)は予選6位でセミファイナルに進出したものの、スタートでフライング、ジョーカー2ラップを科せられて、開幕から3戦連続してファイナルに進むことは叶わなかった。

 また、ワールドRXチーム・オーストリアのティムール・ティメルジャーノフ(フォード・フィエスタST)はQ2で2番手タイムを出すなど、過去3度のヨーロッパ・チャンピオンの復活劇を期待する声も高まったが、セミファイナルで彼もまたフライングを犯してファイナルを逃してしまった。

 オルスベルグMSEのフォード・フィエスタSTを駆る二人の19歳は、またも明暗を分けることになった。Q3の12番手が最上位だったニクラス・グロンホルムは3戦連続して予選落ち。ファイナルの壁は厚かったものの、ケヴィン・エリクソンは予選10位で3戦連続してセミファイナルに進出してみせた。

 前戦で表彰台に立ったフーニガンレーシングのケン・ブロック(フォード・フォーカスRS RX)は不運も重なった予選で3度リタイアに見舞われた予選最後尾となり、チームメイトのアンドレアス・バックルドはQ4で3番手タイムを出したものの、初日の電気系トラブルが響いて彼もセミファイナル進出はならなかった。

 レイニッス・ニッティス(セアト・イビーザRX)は今季初めてセミファイナルに進出したもののクラッチを壊してリタイアに。ワールドRXチーム・オーストリアのヤニ・ボウマニス(フォード・フィエスタST)はセミファイナルでの3位フィニッシュを目前で危険な接触を犯したとして失格の判定が下り、ファイナルを逃している。

 また、併催されたユーロ・ラリークロス選手権はティミー・ハンセンの弟のケヴィン・ハンセン(プジョー208 WRX)が初優勝を飾っている。

 世界ラリークロス選手権次戦は、2週間後の5月26〜28日にリッデンヒルで行われるイギリスRXとなる。