RallyCross2017/04/24

エクストローム開幕2連勝、ペターはパンクで6位

(c)FIAWorldRallycross.com

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 モンタレグレ・サーキットで行われていた世界ラリークロス選手権第2戦のポルトガルRXは23日に最終日を迎え、最終ラップでセバスチャン・ローブ(プジョー208 WRX)の猛攻から逃げ切ったEKSチームのマティアス・エクストローム(アウディS1 EKS RXクアトロ)が開幕戦に続き早くも今季2勝目を飾ることになった。

 ファイナルレースのポールポジションを決めたのは予選トップからセミファイナルAを勝ち抜けたペター・ソルベルグ(フォルクスワーゲン・ポロGTIスーパーカー)。そして、予選で一度もペターを上回るタイムは出せなかったものの堅実なペースをみせて2位で予選突破したエクストロームがフロントローにマシンを並べることになった。

 シグナルグリーンとともに素晴らしいスタートをみせたのはソルベルグ。そのままレースをリードする彼に対して、2位につけていたエクストロームがいきなりオープニングラップからジョーカーを選択するギャンブル、そしてチーム・プジョー・ハンセンのセバスチャン・ローブ(プジョー208 WRX)もそれに続くことになった。

 1周目を終えて首位はソルベルグ、これにチームメイトのヨハン・クリストファーソン(フォルクスワーゲン・ポロGTIスーパーカー)がピタリとつけ、PSRX VWスウェーデン・チームが1-2態勢となった。

 クリストファーソンは初日の2つの予選ヒートをいずれも制して完璧なレースウィークを迎えたが、Q3でジョーカーラップを逃すというミスによって予選3位にとどまることになり、ファイナルは2列目のグリッドでのスタートに甘んじることになり、このポジションのまま2台が最後まで逃げ切る展開になるかと思われた。

 だが、2周目になるとこの完璧とも思えた態勢に異変が生じる。なんと首位のソルベルグがリヤタイヤをスローパンクさせてペースがダウン、苛つくクリストファーソンがリヤをプッシュするようなシーンも見られるなか、ソルベルグは3周目に入るストレートでクリストファーソンに首位を譲ることになる。ソルベルグはそのままジョーカーラップを選択するものの、タイヤはリムから脱落したためさらにペースをダウン、彼は最下位へと後退することになってしまった。

 3周目を終えてトップはクリストファーソン、そしてEKSチームのレイニス・ニッティス(アウディS1 EKS RXクアトロ)が続き、すでにジョーカーを終えたエクストロームとローブが僅差に迫ってきた。ニッティスは次のラップでチームオーナーであるエクストロームに2位を明け渡してジョーカーラップを選択、これで視界がクリアとなったエクストロームとローブは一段とペースアップしてクリストファーソンに迫ることになった。

 クリストファーソンはわずか1.6秒リードで迎えた最終ラップでやっとジョーカーラップを選択。だが、エクストロームとローブに先行を許し、ティミー・ハンセン(プジョー208 WRX)の前にマシンをねじ込むのが精一杯だった。

 これでファイナルラップはエクストロームとローブの二人による激しい優勝争いとなった。

 ローブは予選初日から速さをみせた3番手につけたが、Q3のグラベルセクションでスピンしたMJPレーシング・チーム・オーストリアのケヴィン・エリクソン(フォード・フィエスタRXスーパーカー)に接触されて彼もスピン、19番手タイムで予選9位まで後退するなど苦しい二日目となったが、どうにかQ4で挽回して予選4位でファイナルへと駒を進めるなど、レースウィークを通じVW勢に続く速さをみせていた。

 その速さは一騎打ちとなったファイナルでも明らかだった。5周目にファイナルレースの最速ラップを叩き出したローブは、じわじわとエクストロームの背後に迫り、プレッシャーをかけ続ける。そして、ローブはルースなグラベルが乗った難しい最終コーナーでイン側にノーズを押し込んで逆転を狙ったものの、エクストロームの巧みなブロックに阻まれて逆転ならず、0.56秒差でエクストロームの優勝を許すことになった。

「これまでのラリークロスのなかでもっとも困難な勝利だったと認めざるをえない」とエクストロームは勝利の喜びを語った。

「最後の2ラップはタイヤもオーバーヒートしていて、ローブが僕のリヤバンパーにへばりついていた。けれど、彼は醜いやりかたはしなかった。すばらしい戦いぶりだった」

「今週末、僕はヨハン(・クリストファーソン)ほどペースは上がらなかったし、セブも最後までとても速かった。僕らは昨年のマシンなので、新しいデザインのライバルたちには本当に苦労させられたよ!」

 いっぽうローブは前戦でファイナルを逃しているだけに、2位でポルトガルを終えたことに満足していると語った。

「僕は彼より速かったが、どこにも抜く場所がなかった。でも、2位で満足だよ。バルセロナでの開幕戦が悪いスタートだったからね」とローブは語っている。

 3位にはクリストファーソン、ティミー・ハンセンが4位、ニッティスは5位で続き、タイヤトラブルで30秒あまりも遅れたソルベルグもどうにか6位で完走を果たしている。

 アンドレアス・バックルド(フォード・フォード・フォーカスRS RX)はQ1で無線の問題からジョーカーを逃したために初日20位と低迷したが、Q4でのトップタイムによって予選10位でセミファイナルへと進出していた。しかし、セミファイナルの1コーナーで接触のためにマシンを止めることになった。
 旧スペックのプジョー208 WRXながら予選7位で健闘していたチーム・プジョー・ハンセンのケヴィン・ハンセンは惜しくもセミファイナルで敗退、初日4位につけて期待されていたMJPレーシング・チーム・オーストリアのケヴィン・エリクソンはQ3でローブとの接触のあと技術的な問題でリタイアとなり、惜しくも予選14位でセミファイナルへ進出ならず、2年目のシーズンを迎えたニクラス・グロンホルム(フォード・フィエスタRXスーパーカー)も2日目にペースアップの決め手を欠いて予選13位に終わることになった。