WRC2020/02/25

エストニア今季開催に暗雲。成功しすぎが原因? 

(c)Toyota

 ラリー・エストニアは、エストニア・オートスポーツ連盟と契約更新をめぐるデリケートな問題から対立しており、今後の開催に暗雲が生じていると見られている。エストニア・オートスポーツ連盟はエストニア自動車クラブと並ぶエストニアを代表するASNだ。

 ラリー・エストニアは2010年に初めて開催された当初から、ウルモ・アーヴァと主催チームは、オテパーを拠点として開催されるこのイベントを世界ラリー選手権にカレンダー入りさせるという強い野心ととも開催してきた。ラリー・エストニアは2014年にはヨーロッパ選手権に昇格、2019年にはWRCのすべてのマニュファクチャラーチームが参戦するWRC公式プロモーションイベントへと成長を遂げており、10周年を迎える今季もふたたびWRC公式プロモーションイベントとして7月24日-26日にかけて開催されることがアナウンスされている。

 しかし、情報によると、ラリー・エストニアとエストニア・オートスポーツ連盟は2020年イベントについて開催の合意に至っておらず、エストニア・オートスポーツ連盟はこれまで2,000ユーロだったイベント開催申請料を50倍アップした10万ユーロの支払いを主催者に要求しているという。

 関係者によれば230万のエストニア国民のうちの40万人が観戦したと言われる昨年のイベントの大きな成功を受けて、エストニア・オートスポーツ連盟のなかには、このイベントの開催を連盟が直接行い、売上げをエストニアの公共福祉とスポーツの発展に役立てるべきだとの声があるという。

 ラリー・エストニアはこれまでエストニア政府からスポーツ・文化事業として資金提供をうけて開催しており、昨年は100万ユーロの資金提供をうけて500万ユーロ以上の利益を生み出したといわれている。エストニア・オートスポーツ連盟はその利益の一部を政府に還元すべきだと主張しているが、主催者と政府とのこれまでの契約ではそれは不可能だという。

 関係者によると、ラリー・エストニアが必ずしもキャンセルされるわけではないが、エストニア・オートスポーツ連盟と主催者の間で話し合いが進行中だという。

「ラリー・エストニアについては、政府によるビジネスとしての投資であり、スポーツへの投資ではないことについて明確だ」と、ある関係者は語った。

「政府が他のビジネスに投資している場合も同じことであり、その投資対象は利益を生まなければならず、その利益は政府に還元されるべきだ」

 アーヴァは、7月24日から26日にかけて開催される今年のラリー・エストニアの計画は進んでいることを明言したが、いまのところこの報道についてのコメントを控えている。

「これまでに達成したことに基づいている。目標を達成できるよう、昨年、今年、来年に関して政府の支援がある。WRCは我々にとって夢であり、この夢に向かって取り組んでいる。多くの変更はない。我々は現在、微調整に取り組んでいる」とアーヴァは付け加えた。