今季の世界ラリー選手権は、紆余曲折の13ラウンドを終えて残り1戦となった。サウジアラビアの1戦で、世界王者が決まる。果たしてエルフィン・エヴァンスは悲願の世界王者になれるだろうか?
エヴァンスは早い段階で選手権の基盤を築いた。モンテカルロでセバスチャン・オジエに次ぐ2位を獲得すると、スウェーデンとケニアで連勝を飾り、続くカナリアスで3位となった時点では既に43ポイント差で選手権をリードしていた。
しかし、その後、グラベルラウンドになると一番手スタートのハンデもあって5戦連続で表彰台を逃し、ライバルたちに追いつかれてしまった。それでも初王座へしがみつくかのように、パラグアイから前戦ジャパンまで4戦連続で2位でフィニッシュ、2020年と同じく選手権をリードして最終戦を迎えることになった。
タイトル争いの最大のライバルであるオジエがシーズン6勝を飾る強さをみせるなか、エヴァンスは2勝ながら7度の表彰台とリタイアなしという好成績を収めてきた。この安定した走りこそが、彼が依然としてチャンピオンシップをリードしている理由なのだ。
エヴァンスは2025年シーズン、自分の仕事に静かに徹してきた。それはサウジアラビアでも変わらないと語っている。
「まだ何も決まっていないからね。とにかくそこに行って、ベストを尽くし、あとはどうなるか見守るだけだ」とエヴァンスは語った。
サウジアラビアは未知なるイベントであり、誰にとっても初のチャレンジとなる。しかし、エヴァンスは選手権リーダーとして臨むこの一戦が厳しい戦いになることをすでに知っている。彼は主催者が撮影したステージのビデオを見たばかりで、その映像はかなり気が引き締まる内容だったと認めている。
「道のすぐ脇には、至る所に岩が散らばっている。マシンを道路の真ん中に保つことが重要になると思う。最近撮影されたビデオでは、雨が降ったような泥の穴がいくつもあって、道路にも損傷が見られた。レッキ開始までに道路の補修が行われる予定があるかどうかは分からない」
「でも、少なくともビデオを見れば準備はできる。とはいえ、自分の目で見るに勝るものはないので、実際に現地を走ってみてどうなるかは、様子を見るしかない」
エヴァンスの声には、苛立ちも滲み出ていた。確かに5月にはキャンディデートイベントが行われて、トヨタは偵察のためにユホ・ハンニネンを走らせてはいる。しかし、それから夏を経て、ステージには変化も生じているはずだ。いつものように予測不可能な要素を排除し、これから走る道への理解を深めるための準備を積み重ねるはずが、「当てずっぽう」なアプローチにならざるをえないからだ。
「こういうラリーではいつもそうだ。何の材料もない中で、ある程度は当てずっぽうになる。少なくとも以前行ったことがある場所なら、マシンに何が必要かある程度検討がつくのだけどね・・・」とエヴァンスは苦笑する。
「セットアップに関しては、ギリシャやサルディニアのようなステージから引き出したものになると思うし、ツイスティなコースもあるように見える。分からない、というのが正直な答えだ。実際に行くまでは判断を保留した方がいい。というか、映像を見る限り、このルーズな岩とか、そういうのが・・・『宝くじ』って言葉がよく使われるけど、ちょっとそんな感じだ」
エヴァンスと彼を追うオジエの差はわずか3ポイントにすぎない。強力なライバルから逃げ切るためには、すべてを賭けてリスクを負うことになるのだろうか?
「リスクを負ってうまく逃げ切れるとは思えない」と彼は答えた。「どのコーナーにも何かしらあるように見える。イン側でもアウト側でも、少し欲張りすぎると、その代償は・・・。でも、確実に言えるのは、いつも以上にマシンを道路の真ん中に維持することが重要なラリーになる。それは間違いない」