WRC2022/05/19

エヴァンス、ポルトガルのシェイクダウン一番時計

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 昨年のラリー・デ・ポルトガルのウィナーであるトヨタGAZOOレーシングWRTのエルフィン・エヴァンス(トヨタGRヤリスRally1)が、木曜日に行われたシェイクダウンで2分56.1秒のトップタイムを叩きだして今年のイベントをスタートした。

 今季初のグラベルラウンドとして注目されるポルトガルのシェイクダウンは、昨年と同じくパラデス(4.55km)のステージで木曜日の朝9時から行われた。コースの路面はかなり固くてグレーダーが入れられたフラットな路面をもち、終盤もターマックとグラベルがミックスしたラリークロス・サーキットを走るため、典型的なポルトガルのステージというわけではない。

 シェイクダウンの1回目の走行では、最後方の12番手のポジションからスタートした今季初登場のダニエル・ソルド(ヒョンデi20 N Rally1)が2分58.3秒の暫定トップタイムをマーク、これに同じく9番手という後方からスタートしたエヴァンスが0.3秒差で続くことになった。

 エヴァンスは2回目でも速さをみせてトップタイムを塗り替えるや、3回目の走行でも2番手タイムを奪ったクレイグ・ブリーン(フォード・プーマRally1)に0.4秒差をつけるシェイクダウンの最速タイムをマークしている。

 今シーズンは不本意なスタートを切り、まだドライバーズ選手権ランキング9位に甘んじているエヴァンスにとっては、重要な週末となるが、金曜日のロードポジションがタイムに有利に働きそうだ。

「もちろん、それは常に助けになるものだから、それを最大限に活用する必要があるね。もちろん、1回目はかなり滑りやすかったが、ラリーでどうなるか見てみたい」とエヴァンスは語った。

「グラベルでハイブリッドマシンで走るのは、新しい発見があるね。今年に入ってからのラリーでは、次から次へと新しい発見があった。すべてが事前のテストと同じような感じで、これはポジティブなステップだ」

「今夜のステージに向けてクルマを出発させなければならないというタイトなスケジュールだった。そのため、サービスに戻って大きな変更を加えることができなかった」

 ポルトガルには4年ぶりの参戦となるブリーンは、エヴァンスからは0.4秒遅れの2番手タイム、そして2019年にポルトガルで優勝しているオイット・タナク(ヒョンデi20 N Rally1)がコンマ1秒差の3番手タイムで続いている。

「長い週末で、今季初めてのグラベルだから、何かを期待するのは本当に難しい。あとは行ってみてどうなるかを見るだけだ」とタナクは語っている。

 ティエリー・ヌーヴィル(ヒョンデi20 N Rally1)はチームメイトからさらに0.1秒差の4番手タイムだったが、明日は2台目でコースを走るためラリーが始まれば、厳しい挑戦に直面することになる。

「何とも言えないよ」とヌーヴィルは語った。「まずはグラベルの感触をつかむことが大事で、難しい週末になりそうだ。初日はかなり掃除が大変だけど、ずっとそれを続けて何が可能か試してみるつもりだよ」

 Mスポーツ・フォードで今季2回目の出走となったピエール-ルイ・ルーベ(フォード・プーマRally1)は、2回目の走行では暫定2番手タイムを記録、最終的にはヌーヴィルから0.3秒遅れの5番手タイム、2回目以降はタイムは大きく伸びなかったソルドがさらに0.1秒遅れの6番手で続いている。

 4カ月ぶりに帰ってきたセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリスRally1)はソルドより0.1秒遅く、チームメイトのエヴァンスより1.3秒遅かったが、少なくとも最初の走行では、コドライバーのバンジャミン・ヴェイヤスが読み上げるノートが聞こえず、ハンドジェスチャーに頼っての走行を強いられている。「全く音が聞こえなかった。しかし、マシンのフィーリングはOKだよ。1回目はメモなしでスタートしたので少し気になったが、僕にとってはまずはフィーリングを取り戻すための走行だ」

 選手権リーダーとして一番手からスタートしたカッレ・ロヴァンペラ(トヨタGRヤリスRally1)は1.2秒遅れの5番手タイムとまずまずの速さをみせたが、最終的にはオジエに0.2秒遅れた8番手に続くことになった。

 ロヴァンペラから0.5秒差の9番手にはガス・グリーンスミス(フォード・プーマRally1)。彼は1回目の走行ではハイブリッドのパワーが効かない問題に苦しくことになり、彼だけが4回の走行を行っている。

 開幕戦モンテカルロ・ラリーで勝利して、世界中を熱狂させたセバスチャン・ローブ(フォード・プーマRally1)が今シーズン2度目の参戦を迎えたが、10番手タイムという静かなスタートとなっている。

「リズムを取り戻すのに必死だった」とローブは語っている。「レッキはうまくいったが、あまりテストできなかったので、シェイクダウンで少し作業を続けるつもりだ」とローブは1回目の走行のあとで語っていた。

 また、トヨタ次世代ドライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリスRally1)は、最初のパスで7番手のタイムを出したが、ローブから0.4秒差の11番手で続いている。

 開幕からの3戦を終えてノーポイントという苦しいスタートとなっているアドリアン・フールモー(フォード・プーマRally1)は、Rally1カー勢では最後尾となる12番手にとどまり、完走という大きなプレッシャーにさらされているように見えた。