WRC2017/10/28

エヴァンスが首位快走、Mスポーツが1-2-3

(c)DMACK

(c)M-Sport

(c)Hyundai

 世界ラリー選手権第12戦のウェールズ・ラリーGBは、DAY1を終えて地元ウェールズ出身のエルフィン・エヴァンス(フォード・フィエスタWRC)が首位に立つ展開となっている。英国出身のドライバーが母国ラウンドでラリーリードするのは2001年のコリン・マクレー以来のことになる。

 また、エヴァンスの後方にはオット・タナク(フォード・フィエスタWRC)が2位、セバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)が3位で続いており、マニュファクチャラー選手権タイトルに王手を掛けているMスポーツ・ワールドラリーチームが盤石の1-2-3態勢を築いている。

 木曜日に行われたシェイクダウンで圧倒的な速さをみせたエヴァンスが、マディなコンディションとなった金曜日のフォレストステージでも期待どおりのスピードを披露することになった。エヴァンスは木曜日夜にホースレース・トラックで行われたSS1こそ4番手タイムにとどまったものの、金曜日のオープニングSSミヘリン・ステージでいきなり目の覚めるようなトップタイムを奪い、ナイトステージで首位に立ったオジエを抜いて早くも首位に立つことになった。

 エヴァンスは4.24kmの短いSS3スウィートラムでは1.1秒遅れの4番手タイムにとどまるも、この日最長となる35.14kmのSS4ハーフレン・ステージではこの日2つめのベストタイムを奪い、リードを6.7秒へと広げて朝のループを首位で終えることになった。

 エヴァンスのDMACKタイヤは路面温度が低く湿ったコンディションではライバルを寄せ付けないパフォーマンスを示したが、彼はけっして簡単なドライブではなかったと朝のループをふり返っている。「タイヤはとても良く機能しているけど、ステージは滑りやすく、けっして安心できる状況ではない」

 このステージではオジエが14.2秒も失い、タナクに2位を譲って後退することになった。オジエはマディな朝のループでは「グリップを判断するのが難しく、大胆さが足りていないのかもしれない」と自身に走りが慎重すぎたと認めたが、首位エヴァンスからは16秒遅れ、タナクからも10秒近くの遅れとなってしまった。

 エヴァンスのペースはややドライになりはじめた午後のループでも衰えず、SS5でもベストタイム、8秒近くの遅れを喫したタナクとの差を15.1秒へと広げてみせる。彼は最終のロングステージでは2番手タイムながらもリードを24.6秒まで広げて首位で初日を終えることになった。だが、彼の表情にはけっしてリーダーの余裕はない。「ここではあまり良いフィーリングではなかった。順位はよかったが、明日が重要な一日となるだろう。ウェールズでこのようなことを言ったことはないが、できればこれ以上晴れないでほしいね」とエヴァンスは慎重に言葉を選んで一日をふり返っている。

 タナクは朝のループで2位へと浮上したあとも、「信じられないほどステージが滑りやすく、ちょっとおかしい感じだった」とマシンへの不満を述べていたが、不運なことにこの日はタイヤ交換のみでデイサービスが設けられていない。

 SS5で8秒近くを失ったタナクは、さらにSS6では5番手タイム、SS7では9秒もの遅れをとってしまい、2位をキープしたものの、エヴァンスには24.6秒もの大差を付けられてしまった。タナクは「ディファレンシャルの問題だ。タイムが消えていくのを目の当たりにして、かなりイライラした」と失望を隠せない。

 そのいっぽうで朝のループで慎重な走りを反省することになったオジエは、リグループでセットアップを見直してことでリピートステージではペースを取り戻すことになった。彼はSS5ではエヴァンスに続く2番手タイム、SS6ではこの日初のベストタイムを奪って、タナクの4.2秒後方に迫っている。

 ドライバーズ選手権での逆転の可能性を残しているティエリー・ヌーヴィルにとっては、不満のスタートとなってしまった。彼は昨夜のSS1の前にi20クーペのエンジンがかからないトラブルに見舞われ、タイムコントロールに1分遅着、10秒のハンデを負ってスタートすることになったが、追い上げるはずのこの日の朝の最初のステージでもアンダーステアを出してディッチにオフしてエンジンをストール、朝のループを終えて首位から29.5秒遅れの7位となった。

 ヌーヴィルの木曜日のトラブルの原因は未解決のままだが、オープニングSSのアンダーステアの問題はマッピングを変更したことで修正されており、SS3では2番手タイム、SS4では3番手タイムとペースを上げることに成功、SS5ではコドライバーのニコラ・ジルスールの声がかすれたためにペースノートが聞き取れずにオフしそうになりながらも、SS7ハーフレンでベストタイムを叩き出し、オジエの10秒後方となる4位まで順位を戻すことになった。

 ヌーヴィルの4.8秒後方にはヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)。滑りやすい路面でのアンダーステアとグリップ不足に終日悩まされた彼は不本意な5位となっている。

 クリス・ミーク(シトロエンC3 WRC)はオープニングSSのミヘリンで2番手タイム、SS4ではオジエを抜いて3位まで順位を上げたが、午後のループでは路面変化にセットアップがあわず、ずるずるとタイムを落として首位から42秒遅れ、ラトバラからは0.1秒遅れの6位に後退することになった。

 7位にはアンドレアス・ミケルセン、8位にはダニエル・ソルド、9位にはヘイデン・パッドンの3台のヒュンダイi20クーペWRCが続き、10位にはユホ・ハンニネン、11位にはエサペッカ・ラッピの2台のヤリスWRCが続いている。

 また、クレイグ・ブリーン(シトロエンC3 WRC)は彼にとってホームともいえるGBでの表彰台争いが期待されていたが、SS4でパンクに見舞われて13位まで後退、午後のループでもペースを上げようとしたがSS7でディッチに落ちてリタイアとなっている。

 明日の土曜日は、朝6時すぎにサービスを離れたあと、110kmあまりをノーサービスで走ったあと、日没後に予定される2つのナイトステージで締めくくるという長くタフな一日が待ち受ける。オープニングSSのアベルヒナントは7時55分(日本時間15時55分)のスタートが予定されている。