エルフィン・エヴァンスとコドライバーのクレイグ・パリーが先週末に行われたアルスター・ラリーに勝利し、2016年MSAイギリス・ラリー選手権のタイトルを確定させた。
アルスター・ラリーはエヴァンス一家にとってはまさに特別な記念イベントとなった。エルフィンの成功は彼の父グウィンダフ・エヴァンスが1996年にこのアルスター・ラリーで英選手権のタイトルを決めてからちょうど20年になる。
エヴァンスは今季、DMACKブリティッシュ・ラリーチームのフォード・フィエスタR5を駆ってイギリス選手権に参戦しており、これまでの5戦で3勝を飾り、タイトルに王手をかけてこの第6戦アルスター・ラリーに臨んでいた。
伝統のイベントでもあるアルスター・ラリーは、北アイルランド第二の都市であるロンドンデリーの市内中心部の大観衆を前に8月19日の昼にスタートが切られた。
アルスター・ラリーは初日から大雨が降り、泥まみれで滑りやすい厳しいコンディションになったため、タイヤ選択が難しいラリーとなった。エヴァンスは初日、久しぶりにシリーズに戻ってきたキース・クローニン(シトロエンDS3 R5)とのバトルになった。世界選手権の経験者の彼だが、1日目はタイヤ選択に悩まされることになったが、それでも彼はDMACKを履いたフィエスタの力を最大限に引き出し、追いすがるクローニンに対して4.5秒のリードを築く。
過去3度BRC王者に輝いているクローニンは最終日のランチタイムサービスまでエヴァンス相手に必死に食い下がったが、サービスエリアを出発する時にギヤシフトができないトラブルに見舞われ、サービスアウトが遅れてしまったことでペナルティが課せられて後退することになる。
これで総合2位にはアラステア・フィッシャー(フォード・フィエスタR5)が浮上するも、彼はBRC選手権登録外であり、エヴァンスからは1分あまりの遅れとなっている。
エヴァンスは雨でぬかるんだ難しいコンディションのなか残されたステージを堅実な走りで切り抜け、最終的にフィッシャーに対し1分07秒6の差をつけてフィニッシュするという格の違いを見せつけ、2016年イギリス・ラリー選手権のタイトル獲得に成功している。
「このイベントは本当にタフだった。常時天気が目まぐるしく変化して、ステージのコンディションもコンスタントに変わっていった」とエヴァンスは語った。
「すべてに対して対応していくのが困難で、なかなか思いどおりに仕事をさせてもらえなかった。実際シーズンを通じて最も厳しいものだったかもしれない。昨日何度か間違ったタイヤの選択をしてしまった後、2日目は僕たちは徹底した安全策をとり、用心に用心を重ねて、自分たちのアドバンテージを必ず守りきれるように心がけて勝利をつかみ取った」
「BRCのタイトルを勝ち取ることができたのは本当にいい気分だ。僕たちはこのアルスター・ラリーでタイトルを確定させられることを期待していたけど、ラリーでは何がおきてもおかしくないから、とにかくトム(・ケイブ)とフレドリック(・アーリン)の前のポジションでフィニッシュする必要があった。それが優勝という形で獲れたことは本当に格別だし、タイトルを持ってうちに帰れるのは最高だね。特に今年は僕の父(グウィンダフ・エヴァンス)がこのイベントでタイトルを獲ってからちょうど20年になるんだ」
地元アルスター出身のジョナサン・グリアー(シトロエンDS3 R5)はスムーズに制御された走りをみせて総合3位でフィニッシュ、BRCでは彼のシーズン最高位タイとなる2位を獲得し、スコットランド人ドライバーのデビッド・ボギーがシュコダ・ファビアR5で表彰台最後のポジションを獲得している。
また、今回からの復帰となったアイルランド出身のクローニンは、ギヤトラブルがたたって最終的に4位に終わっている。
また、BRC3ではベルファスト出身のウィル・コリーがトヨタGT86 CS-R3で初優勝を飾っている。