WRC2023/04/25

オジエ、「ロヴァンペラは速かった」

(c)Toyota

 クロアチア・ラリーの金曜日がスタートしてすぐにセバスチャン・オジエとカッレ・ロヴァンペラは同じ場所でパンクをするという悪夢に見舞われたが、二人はワールドチャンピオンにふさわしい速さをみせて最終日まで激しいバトルを繰り広げた。

 オジエは金曜日タイヤ交換作業を奇跡的に早い1分7秒で終えてコースに復帰したことがGPSデータで明らかにされているが、コドライバーのヴァンサン・ランデがセーフティハーネスを正しく装着しないうちに発進してしまったことによる代償は1分のタイムペナルティという形で与えられることになった。

 オジエとロヴァンペラはRally1カーの最後尾まで転落したが、そのあとの巻き返しは圧巻だった。オジエは二日目が終わるまでに6つのベストタイムを奪って4位に浮上、ロヴァンペラも3連続ベストタイムを含む4つのベストタイムでオジエの2秒後方にぴたりとつけた。

 しかし、最終日になると明らかにロヴァンペラのペースにオジエはついていくことができずに最初のステージで逆転を許し、パワーステージでは、オジエはロヴァンペラをつかまえるべく、8度の王者のプライドを賭けて懸命にプッシュしている様子が見て取れた。

 オジエのトヨタGRヤリスRally1はあちこちでスライドし、コースオフすることはなかったが、いくつかヒヤっとする瞬間に見舞われた。それは明らかにいつも見慣れたオジエの姿ではなく、彼はすべてが無事に終わったことに安堵のため息をついたほどだった。

「最終日に関して言えばカッレに匹敵するペースが出せなかった。カッレは本当に速かった」とオジエは語った。

「最終日のステージについては昨年も同じステージが使用され、彼は以前もそこで走っていたため、僕にとっては常に挑戦だった。とくに1回目の走行では、彼と同等のペースが出せなかった。カッレに匹敵するペースを出すには、あまりに多くのリスクを取らなければならなかった」

「もちろんパワーステージでは狙ってはいたけれど、誤ったタイヤ戦略をとってしまい、いたるところでアンダーステアに苦しみ、ひやりとした瞬間が何度かあった。ラリーを完走できてよかったよ」

 もちろんそれは彼にとって十分な結果ではなかった。

「スポーツの観点からは、もっといいリザルトを残すことができるペースがあったと思うが、この週末は思い通りに行かなかった。一生懸命戦ったが、努力が報われないこともある。それがモータースポーツなんだ」

 オジエはクロアチアでは総合5位に終わり、パワーステージも3番手タイムにとどまったが、この週末に優勝を果たしたエルフィン・エヴァンスにポイントで並ばれたものの、引き続きドライバーズ選手権をリードしている。オジエは次戦のラリー・デ・ポルトガルには参戦しないためリードを失うことはなるが、今度出場するときは後方のクリーンな路面条件を味方にすることができる。