セバスチャン・オジエは、オイット・タナクとの対立を煽ろうとしたRally.TVのインタビュアーに対して、めずらしく冷静さを失い、マイクを払いのけて立ち去った。
オジエは2番手という不利な走行順だったにもかかわらず、金曜日の朝をラリーリーダーとして終えることになった。しかし、午後のステージはさらにダスティな路面となっており、クリーニングの作業に加えてタイヤのデラミネーションによってタイヤパッケージは妥協せざるをえなかったため、ラリーリーダーのタナクから16.9秒差の総合3位で金曜日を終えることになった。
それでもこのラリーの過酷さと難しさを考えると、この差はそれほど大きなものではなく、走行順のハンデがほとんどなくなる土曜日以降、逆転のチャンスは十分に残されているように見える。
オジエは、金曜日の最終ステージであるエラティア・ステージを走り終え、Rally.TVのインタビューで、「ラリーでは失うものは何もない」と語っていた。ある意味、それは真実だ。彼は今シーズン、WRCの限られたラウンドにしか出場しておらず、自身のタイトルのためのポイントを稼ぐことより、勝利することが唯一の重要なターゲットとなるのだろう。
しかし、それはチームの選手権ためのポイントを守らなければならない他のドライバーとは、たしかにアプローチは大きく異なるものだ。オジエの発言を聞かされたタナクは、怪訝な表情をみせて「彼がこんな発言をするのは、本当に愚かだ。彼にはやるべき仕事が山ほどあり、チームのことも考慮に入れるべきだ」と異論を唱えたほどだ。
Rally.TVはラミアのサービスパーク戻ったオジエにふたたびインタビューを行い、タナクの異議を伝えたところ、オジエは明らかに怒りを爆発させた。「あなたの質問はちょっと馬鹿げていた。それでネタにするな。そのような戯言にはコメントしない」と彼は言い放ち、インタビュアーのマイクを払い除けて立ち去った。
オジエのステージエンドの発言は「失ったトップを取り戻すために全力を尽くす」という真意であり、意図しない言葉尻を拾ってタナクとの対立を招いたインタビュアーに彼が憤るのは無理もないことだ。
オジエはコメントを打ち切る前、ここまでのラリーは計画どおりに進んでいることを認めている。
「僕にとってほぼ完璧な一日だったと思う。2番手というスタートからこれ以上伸ばせるものはほとんどなかった。本当に良い結果だと思う。もちろん、常にもっと良い結果を望むのは当然だが、現実はこのようなコンディションの中で、いくつかのステージで奇跡を起こした。でも、一日中奇跡を起こすことはできない。今日という日には本当に満足している」とオジエは語っている。
アクロポリス・ラリーは土曜日に6SS/123.44 kmが予定されている。