WRC2017/10/31

オジエ、5度目の王座はキャリアで最大の感動

(c)M-Sport

 5年連続5度目のワールドチャンピオンに輝いたセバスチャン・オジエは、ラリーキャリアのなかでも最大の感動をウェールズ・ラリーGBのゴールで味わったと語った。

 2016年末にフォルクスワーゲン・モータースポーツが予期せぬ撤退をしたあと、シートを失う危機もあるなかで彼はMスポーツと契約、ほとんど準備ができないままに新シーズンをスタートし、これまでとはまったく違う厳しい戦いをしてきただけに、この栄光はこれまでのものとはその重みもいちだんと違うようだ。

 ラリーGBの最終ステージのブレニグを駆け抜けたオジエは、ゴール地点で新しいタイトルを祝福され、涙を抑えることができなかった。

「今日僕はラリーのキャリアの中で、ほんの数分ではあったが、最も強く、美しい感動を味わった。人生という点では、息子が生まれたときの方が特別だった。しかし今日、なぜだか分からない、説明するのは難しいが、本当に強い感情が込み上げた」とオジエは語った。

「何と言っていいのか分からない。このような感情はコントロールできないよ。今年が厳しい一年だったことは確かだ。多くの勝者が生まれ、これまで走った中で最も競争の激しいWRCシーズンだったことは間違いない」

「僕にとっては新しい挑戦だった。新しいマシン、新しいチーム、すべてが昨年と異なっていた。僕らは非常に遅くシーズンの準備を始めなければならなかったし、モンテカルロもフィエスタでほとんどテストすることなくスタートしたからね」

 オジエは土曜日の夜の濃霧がたちこめたアベルヒナントのステージでブレーキを壊したときにはこのタイトルを脅かすことになる最悪の事態を覚悟した。

「壊れたクルマを修理しようとしたが、左フロントにはブレーキもパッドもなにも付いてない状態だったので、最初僕らはゲームオーバーを覚悟した。チームとの無線も使えなかったが、非常に短時間で解決策を見つけなければならなかったが、どうにか3つしかブレーキのないマシンで最終ステージを走りきった。しかも、あまりタイムをロスすることなくね」

 これまでのキャリアにおいて4回のチャンピオンをすべて勝利で祝ってきたオジエだが、ドラマチックな土曜日のトラブルから生き残ってつかみとっただけに、新しいタイトルはいっそう忘れられないものとなるだろう。

「マルコムとチームのためにもタイトルを達成できて本当に良かった。僕たちはこの賭けに勝った。いや、賭けではないね、僕らはこの挑戦に勝ち、このチームとワールドチャンピオンになれた。本当にこのタイトルを誇らしく思っている。Mスポーツの皆とマルコムに感謝したい」