WRC2016/10/30

オジエ、GB二日目を終えてタナクに33秒差

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 2016年世界ラリー選手権(WRC)第13戦ラリーGBは29 日にDAY2を迎え、フォルクスワーゲン・モータースポーツのセバスチャン・オジエ(VWポロR WRC)が、 DMACK タイヤを武器にこの日最多の4ステージでベストタイムを奪ったオット・タナク(フォード・フィエスタRS WRC)の反撃を退けて33.8秒差をつけて首位をキープしている。

DAY2は21.12kmのダイフィをはじめ99.91km/8SSという短い一日となるが、デイサービスどころかタイヤフィッティングゾーンも設けられずに、搭載したタイヤのみで一日を走り切らなければならない。

 ウェールズは曇り空の朝を迎えたとはいえ、南部のステージが置かれるステージは夜半に小雨が降り続きウェットコンディションとなった。前日までにタナクに対して37.3 秒差をつけたオジエだが、もっとも有利なポジションでスタートしながらオープニングSS のパントペルソグではタナクにベストタイムを奪われることになる。

 オジエは続く21.12kmのダイフィこそベストタイムでふたたびリードを広げたかに見えたが、11.34kmのガルセイニオグでは観客のたき火の煙に視界を奪われるという不運も重なり4番手タイムに沈むことになり、なんと朝の3 ステージを終えて、オジエは昨日までのリードをわずか1秒ながら縮められるという思ってもみない展開となり、リグループのあとの 2回目のループになってタナクはスピードにいちだんと磨きを掛けてオジエに襲いかかることになる。

 ステージは走行によってラインが光ってみえるほどにつるつるに磨かれ、さらにラインを外すとかき出されてこねられた泥が表面を覆うコンディションとなり、後続になるほどにトリッキーになる。9 番手のポジションからスタートしたクリス・ミーク(シトロエン DS3 WRC)は表彰台を争うはずが朝のループで2本のスローパンクもあって 30秒を失って完全に表彰台争いから完全に脱落したほどだが、ミークの直前の8番手のポジションで走るタナクはそのようなコンディションですら意に返さないように SS12、13と連続してベストタイム、さらに11.34kmのガルセイニオグの2回目の走行となるSS14ではオジエに5.8秒差をつけるこの日4度目となるベストタイムを奪い、オジエの24.8秒後方に迫ることになった。

 わずか3ステージで 10秒近く縮められことについて、オジエは今日のように冷えたコンディションではミシュランのソフトでさえ硬すぎると明かしながらもさらにアクセルを踏まざるをえなくなった。

 この日たった一回の走行となったアベルヒルナントのステージでは多くの泥がコースを覆っている状況のなかで、オジエはチャンピオンの意地をみせつけるように「これでどうだ」と言わんばかりの圧倒的なベストタイムでタナクに7秒差をつけ、さらに1999年以来、ウェールズ以外のルートに設けられたこの日の最後のステージのイングランド・チェシャー州のチャムレー・キャッスルの1.80kmでもタナクに2秒差をつけ、その差を33.8秒へと戻してディーサイドのサービスへと帰ってきた。

 いっぽう、わずか3.8秒差で初日を終えたティエリー・ヌーヴィルとヘイデン・パッドンはこの日も激しいバトルを展開することになった。SS10で3番手タイムを奪ったパッドンが2.9秒差に迫ることになったが、ヌーヴィルはSS11でのベストタイムをきっかけにこの日もいいリズムでペースを刻んでパッドンを圧倒、12.6秒差をつけて二日目も3位をキープした。

 母国戦での表彰台も期待されたミークは午後のステージでもトリッキーなステージでのハンドリングに苦しむことになり、結局、ヌーヴィルからは55秒遅れの5位に沈み、さらに1分遅れの6位にはダニエル・ソルド(ヒュンダイi20 WRC)が続くことになった。

 初日のドライブシャフトトラブルで8位まで順位を落としたヤリ-マティ・ラトバラ(VWポロR WRC)は順位こそ上げることができなかったものの、1分以上の差を縮めてマッズ・オストベルグ(フォード・フィエスタRS WRC)の17.2 秒後方まで迫っている。

 いっぽうオストベルグにとっては不運なスタートとなってしまった。スタート前のサービスでボディの修理に時間がかかってサービスアウトに遅着、10秒のペナルティが科されたほか、オープニングSSではエンジンをストールさせてしまった。トリッキーなコンディションで彼はペースを上げられずに、ソルドとの差も縮まらなかった。

 ステファン・ルフェーブル(シトロエンDS3 WRC)が9位、エリック・カミリーが10位で続いており、初日に横転したクレイグ・ブリーン(シトロエン DS3 WRC )はマシンのダメージが大きいことからリスタートを断念したことがこの日の朝発表されている。

 また、初日にドライブシャフトトラブルで19位まで転落したアンドレアス・ミケルセン(VWポロR WRC)は14位まで浮上している。

 明日の最終日は6SS/52.08kmしか残されてないが、ふたたびトリッキーなコンディションの一日となり、ポディウムまでは厳しい道のりになりそうだ。