WRC2018/01/27

オジエが2度目のスピンもモンテ首位キープ

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 2018年世界ラリー選手権開幕戦ラリー・モンテカルロのDAY2は、Mスポーツ・フォード・ワールドラリーチームのセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)が40秒近くあったリードをミスで失いながらも首位をキープすることになったが、トヨタGAZOOレーシングWRTのオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)がわずか14.9秒差に迫っている。

 モンテカルロのDAY2は、タナクがトヨタに移籍後、初のベストタイムを叩き出して始まることになった。雨が降るという予想もあったが、SS3ヴィトロル〜オーズ(26.72km)はほぼ全域にわたってドライコンディション。多くのドライバーがタイヤチョイスに迷い、ソフトだけでなく、雨を見越してスーパーソフトを組み合わせたタイヤチョイスを行ったこのステージで、タナクはラリーリーダーのオジエを3.9秒上回るベストタイムを刻み、チームメイトのエサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)を抜いて4位へと浮上することになった。

 しかし、オジエは小雨の降り始めたSS4ルシュー〜エガライユ(30.54km)ではオジエもベストタイムを奪ったが、すぐに降り止んでしまったSS5ヴォメエ〜クラレ(15.18km)では4番手タイムにとどまることになり、彼はスーパーソフトを主体としたタイヤチョイスがセーフティすぎたことに不満を述べることになったが、それでもこの日の朝に17.3秒あった後続との差を40.3秒へと広げて朝のループを終えることになった。

 SS3では、初日を2位で終えたアンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイi20クーペWRC)がジャンクションをミスして3位に後退したあと、ロードセクションでオルタネータのトラブルに見舞われて不運なリタイアとなるドラマが起こるなか、朝のループで印象的な速さをみせたのはトヨタのタナクだ。SS3でベストタイムを奪った彼は、ソフトとスーパーソフトのタイヤコンビネーションに苦しむダニエル・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)をSS5で捕らえて2位まで順位を上げてギャップのサービスへと戻ることになった。

 すっかり勢いにのったタナクは、天気予報のとおりに雨が降り始めることになった2回目のループでも速さをみせつけて快進撃をすることになる。彼は朝のステージでベストタイムを刻んだヴィトロル〜オーズの2回目の走行となるSS6でもベストタイムを奪って発進、このステージでオジエを6.5秒も上回るベストタイムを奪い、33.9秒差まで縮めることに成功する。

 さらに、ますます雨が激しくなったSS7ではまさかのドラマが待っていた。オジエが右ヘアピンコーナーの立ち上がりでリヤをスライドさせてスピン、イン側のディッチに右側の2本のタイヤを落としてスタックしてしまう。幸いなことに彼は近くにいた観客に助けられてコースに復帰するも30秒あまりをロス、タナクは19.3秒差まで迫ることになった。

 初日も凍結したヘアピンでスピンしたオジエは、2度の馬鹿らしいミスによって、この日最後のステージでは明らかにリズムを欠いた走りをみせ、タナクに4.4秒も縮められてしまう。オジエはどうにか首位をキープしたが彼のリードは14.9秒差となってしまった。

 オジエはゴール地点でリードしていることを喜んだものの、明日もタナクとの厳しい戦いになることを覚悟しているかのように、厳しい言葉で自身を戒めていた。「もちろん難しい一日だった。スピンがなければ1分のリードを持っていただろうが、リードしていることだけでも喜ばなければね。だが、明日はもっと良い走りをする必要があるだろう」

 ヒュンダイのソルドはSS6を終えてトヨタのラッピに1.6秒差まで詰め寄られたが、終盤の2つのステージで10.2秒差まで突き放して3位をキープしている。

 いっぽう、ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)はターマックでのグリップに自信がもてずに若きチームメイトに遅れをとってきたが、ウェットコンディションではペースを挽回、SS8で2番手タイムを奪ってラッピまで0.2秒差まで迫っている。

 SS1のコースオフで10位まで順位を落としたクリス・ミーク(シトロエンC3 WRC)は6位まで順位を戻したが、ラトバラからは1分28秒もの遅れとなっている。また、チームメイトのクレイグ・ブリーンはミークに続いて7位でこの日をスタートしたものの、オープニングSSからリヤのブレーキトラブルに苦しみ、SS5では完全にブレーキを失ってしまい2分をロス、10位へ順位を落としている。

 Mスポーツ・フォードのナンバー3として出場しているブライアン・ブフィエ(フォード・フィエスタWRC)は、レッキでコドライバーが負傷したため、急遽、ダカールから帰ったばかりのクサビエ・パンセリとコンビでラリーをスタートしたものの、旧知のコンビはトリッキーなコンディションのなかで初めてのマシンでのラリーにもかかわらず7位と健闘している。

 エルフィン・エヴァンス(フォード・フィエスタWRC)は初日のナイトステージのパンクで19位と出遅れることになったが、SS5で初のベストタイム、さらにヘビーウェットとなったSS7でも2度目のベストタイムを奪って8位まで挽回してきた。

 また、ティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20クーペWRC)もSS1のコースオフで4分あまりを失って一時は21位まで順位を下げ、さらにこの日のオープニングSSでもリヤタイヤをパンクする不運に見舞われることになったが、そこから5ステージ連続してトップ3のタイムを並べてポイント圏内の9位まで順位を戻している。

 明日の土曜日はギャップの北部で行われる2つのステージを2回ループしたあと、木曜日に行われたベイヨン〜ブレジエの2回目の走行が行われる。今夜から明日にかけて山間部では雪が舞う可能性もあると予報は伝えており、ラリー最大のヤマ場を迎えることになりそうだ。