WRC2021/04/26

クロアチア、ラリー後会見

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―セバスチャン、WRC初開催のクロアチアでパワーステージを制しての優勝、おめでとうございます。スリル満点の最終ステージでした。勝利したとわかったときの気持ちを教えてください。

セバスチャン・オジエ:「本当のことを言えば、もう不可能だと思っていた。しかし、決してあきらめず、常に挑戦し続けることが重要だ。まず第一に、少なくとも2位を守り、パワーステージで最大のポイントを獲得したいというのが僕の計画だった。でも、朝の1回目の走行でエルフィンが非常に速かったので、勝利には届かないと思っていた。このステージは本当にクレイジーだった。非常にナローで、2回目の通過ではかなり汚れていて、いくつかジャンプもあったし、ループの中のサーキットスタイルのロングステージよりも、確実に差が出る場所だ。最終的には0.6秒差でラリーを終えたが、その差はほぼないと言える。もちろん、エルフィンは今週末良い仕事をしたので気の毒に思うが、僕たちはこの勝利を掠め取ったというわけでもなかったと思う。この週末は、ずっと好調だった。いくつかのトラブルによってペースが落ちたところもあったが、世界レベルでのパフォーマンスは良かったので、この勝利を喜んでいいと思う。そして最も重要なことは、この週末にチームがワンツーを達成したことであり、シーズンのこの段階ではそれがとても重要なことだ」

―そして、チャンピオンシップの首位です。これはとても重要なことですね?

オジエ:「わからない」

―というと?

オジエ:「次はグラベルなので、それが良いニュースかどうかはわからない。でも、大きなポイントを獲得できるのは嬉しいことだし、あとのことはベストを尽くして対処するしかない」

―ロードセクションで事故があったために、予想に反しました。我々がそれを知ったのは、最終ステージを終えた後でしたが、事故は今日のラリーにどれほどの影響を与えましたか? ドアの側面の損傷に気づきましたか?

オジエ:「正直なところ心理的な衝撃が大きく、朝それが起きたときは、かなりショックだった。背中をひどく痛めたので、やはりかなりの衝撃だった。まず、誰も怪我をしておらず、事故の相手も無事で、車の損傷だけで済んだことは良かった。それが起きた瞬間は、自分のラリーが終わったと思った。幸いなことに、マシンの最も強い部分のひとつに真っ直ぐの衝撃だった。塗装には少しダメージがあったが、その後ろのホイールは曲がっておらず、ロールケージも無傷だったし、ドアにもフォームプロテクションが入っていて安全性は確保されていた。ただ実は、ジュリアン(・イングラシア)が、ゴーグルを装着しなければならなくなった。目に大量のダストが入ったんだ。今日は僕らにとってジェットコースターのような一日だった。マシンが本当に遅かったとは思わない。ペースをつかむのに少し苦労したのは、先ほども言ったように、心理的なものもあったのだろう。もちろん、エアロダイナミクスが最適でなかったことは確かだが、それ以外のことは何とも言えない。結局のところ、エルフィンも午前中は好調だったので、この問題がなくても僅差だったと思う。初めてのラリー・クロアチアは、素晴らしいイベントを届けてくれたと思う。ファンも楽しんでくれたことを願っているよ」

―パワーステージについて一言お願いします。3人ともリスクを冒し、ギリギリのところを走っていました。あのステージでの走りは素晴らしかったですね。

オジエ:「さっきも言ったように、このステージはちょっとクレイジーで、今までやってきた中で最も難しいステージのひとつだったと思う。とてもナローで、小さなジャンプやクレスト、ブラインドコーナー、汚れたコーナー、グリップの低いセクションなどがたくさんあった。そのなかで最後の一押しをしたのは確かで、ジャンプを越えたときにちょっとヒヤっとした瞬間があった。マシンがあんなにジャンプするとは思っていなかったので、着地のときに危うく横転するところだった。でも、コンマ数秒を争うときはそういうものだ。プッシュしてリスクを冒さなければならないし、その結果として得られたものもある」

―エルフィン、ジェットコースターのような展開をみせたラリー・クロアチアで、今朝の2つのステージの好調な走りで首位に立ちましたね。昨日は汚れたセクションでプッシュする勇気がないと言っていましたが、今朝はいつもと違うあなたを見ることができました。

エルフィン・エヴァンス:「もちろん、ラリーのスタート時には100%の快適さは感じていなかった。新しいラリーで、これまでに経験したことのないようなコンディションでの挑戦なので、他の人たちと同じように、セットアップを少し検討していた。土曜日の午後にセッティングが決まると、正直なところ、マシンのフィーリングはとても良くなり、今日のステージを楽しむことができた。午前中は良かったが、最後のハードルは高かった」

―パワーステージでは、小さなミスで数秒を失いました。

エヴァンス:「実際にはそれほど大きなミスではなかったと思うが、その後のステージが長かったことが原因だ。あの長いストレートで、失ったスピードをすべて維持しなければならない。あのコーナーは思っていたよりもスリッパリーだったので、そういうことも起こりえる。セブが言ったように、タイムを出したければ多少のリスクを冒さなければならないこともあるし、特に今回のように接近した状況では、今回の僕たちのように、うまくいかないこともある」

―ターマックでのヤリスのパフォーマンスについて、今回のイベントから得られたものはありますか?

エヴァンス:「3人とも、完全なターマックのラリーでマシンを試すのは初めてのことだ。もちろん、新しいピレリのタイヤにも慣れる必要があった。2日間のテストでマシンの感触がかなり良いと思っていても、実際のラリーのコンディションや汚染、さまざまな路面に対するマシンの反応には適わない。マシンのペースは好調で、チームは良い仕事をしてくれた」

―ジェットコースターという言葉はエルフィンにも言われていましたが、今週末はまさにそうだったように感じます。3人ともラリーをリードしていましたし、金曜日に関してはあなたは本当に強さを発揮していましたね。残念ながら、間違ったタイヤ選択がターニングポイントとなり、そこからは取り戻していくための戦いになりましたか?

ティエリー・ヌーヴィル:「あなたが言ったように今週末は本当にジェットコースターだったよ。最高にいい走りができたステージもいくつかあった一方で、大きく落胆することもあった。いくつかうまく機能していたこともあったけど、最終的には僅かな差で十分可能だった勝利を逃すことになった。だから僕たちは、なぜこういうミスが起きてしまったのかを分析し、それを今後どのように改善していけるのかを考えていかなければならない。僕たちは僅差で勝利、2位、3位を争う展開になることがあるし、そのたびに、数秒やコンマ何秒の差で負けてしまうことがよくある。それはもちろん悔しいことには違いないんだけど、その一方で、今週末僕がクルマの最大限の力を引き出すことができたと思っている。セバスチャンやエルフィンのスピードに互角について行けたのは僕だけだった。僕は常に限界ギリギリだったし、時には限界を越えていた。でもまたポディアムを獲ることができた、シーズンとしては3連続のポディアムだ、そして十分なポイントも獲得して選手権では2位だ」

―選手権2位でタイトルに向けてのポイント獲得は重要です。今朝は3人のドライバーが10秒差以内入っている状況でしたが、どんな気持ちで今日一日をスタートしましたか、何が起きてもおかしくない状況で、現実的に勝利のチャンスはあると思いましたか?

ヌーヴィル:「いつだったチャンスはあるし、ラリーで何が起きる可能性があるのか僕たちは知っている。最初のステージのスタート前に起きたロードセクションでのアクシデントも目の当りにした。ラリーはクルマをパルクフェルメの中に戻すまで終わりではないということだ。すべてオープンだったから最初からプッシュした、明らかに最初の2つのステージでは十分でなかったけど、3つ目のステージはすごく力強い走りができた。そしてパワーステージではちょっとプッシュし過ぎてしまい、ポイントを一つ落としてしまった。でも最終的に、順位という部分では変わらなかったよ」

―では、ヤリ-マティ・ラトバラ、チームとしてはワンツー、マニュファクチュアラー選手権にもドライバーズにも非常に重要ですが、今日は心臓が止まりそうな瞬間がいくつもありました、特にパワーステージで。全部終わったところでのあなたはどのように受け止めましたか?

ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・チーム代表):「まずは皆にありがとうを言わなければならない。彼らは素晴らしい仕事をしてくれた。彼らが戦っているところを見られたのはアメージングだったし、今日は3人がずっと戦いを続けていて、それを見ているのは簡単なことじゃなかったよ。自分ではどうすることもできないし、ずっと心臓がばくばくしているんだ。見ていたらティエリーがちょっとミスをして、それでセブとエルフィンがこれから来るって分かっていて、彼らが同じミスをしないことを祈った。そこにいるだけで大変だよ。すごい興奮だけど、自分ではそれに対して反応するにも、何もできない、ただひたすら待って、何が起こるのかを見守っていくしかないんだ。さっきも言ったけど、彼らは本当に素晴らしいラリーを見せてくれた」

―今朝、ロードセクションでセブに起こったことはまさかの異常事態でした。その件については解決しているのですか、それとも何か影響はありますか?

ラトバラ:「セブが言っていたように、最も重要なことは、誰も怪我をしなかったことだ。その点からはすべて問題ない。ただ、この件に関しては主催者とも少し話し合うための時間が必要になるかもしれない(注:この会見のあとスチュワードミーティングでチームは事故状況を説明している)。それからすべて解決すると信じているよ」

―金曜日の朝、カッレ・ロヴァンペラに起こったことはちょっと残念でしたが、2人がワンツーを獲得したことでそれを補うことはできましたか?

ラトバラ:「そうだね、もちろん。カッレはまだ若いし速さも持っている、でも彼はWRカーでの経験はまだそこまで豊富ではないし、その経験ではちょっと速過ぎたと思うし、大きなペナルティを払うことになった。その一方で、これからのグラベル・ラリーに向けての走行順は有利になるから、巻き返しが期待できると思う。ラリーだから何が起こっても不思議はない。最後に、このラリーで得られた結果には本当に満足しているよ」

フロアからの質問)
―今回のラリーの前に、ラリー・クロアチアを終えてWRCをリードすることは、その後5回連続でグラベルラリーが続くことを考えると、あまり良いシナリオではないと言っていましたね。今週末はそのことが頭をよぎりましたか?また、ポルトガルに向けて首位に立つことを喜んでいますか?

オジエ:「正直なところ、それは頭の片隅にあった。というのも、シーズンのこの時点では、僕の目標は表彰台に上ることだったからだ。どの順位でも表彰台に立つことには良い意味がある。もちろん勝利は最高だし、それが一番の目標だった。しかし、必要とされるだけの表彰台の結果でもよかったと思う。それはまだ自分が首位に近い位置にいるということだし、次のグラベルイベントでコースオープナーをする必要がないということでもある。僕たち3人は今の順位に満足することができるし、まだまだ先は長く、たくさんのラリーがあるので、たくさんの良い戦いが待っているだろう」

―今週末、クロアチアの道を走ってみてどうでしたか?

オジエ:「素晴らしいラリーだった。レッキが終わった後、みんなで大きな挑戦になるが、楽しいドライブになるだろうと話していた。ラリー・クロアチアはその期待に応えてくれた。個人的に、皆もそう言うと思うが、これらのステージは素晴らしいドライブで、天候にも恵まれて本当に良かった。雨が降っていたら、週末はずっとアイスの上を走っているようだっただろう。しかし、実際のコンディションでは素晴らしいドライブだった」

―地元のクルマとの事故の件ですが、警察との話し合いはどうなっていますか。また、事故現場から立ち去ったことについては、ペナルティがあるのでしょうか?

オジエ:「僕自身は、起こったことすべてをもう一度検証することに喜んで協力したい。さっきも言ったように、今朝は誰も怪我をしなくて本当に良かった。もちろん、その場では少し混乱があり、しばらく話し合って全体の状況を説明し、警察にすべてのデータを渡した。しかし、最大の問題は、警察官が英語を話せなかったために、意思の疎通がそれほど簡単ではなかったということだ。ある時点で、彼らのうちの一人が僕に行ってよいと合図したが、その後、彼の同僚がダメだと言った。それはビデオを見てもらえればわかると思う。でも、今はすべてはっきりしているので、もう一度検証し、僕が絶対に逃げるような人間ではないとはっきりさせるつもりだ。事件の後、僕はすべてに問題がないことを確認し、運転免許証もすべて渡した。今日はマシンの損傷だけで済んだことを喜ぶべきで、今夜中に解決すべきことは解決する」