WRC2021/04/29

クロアチアでヒュンダイに欠けたものは何か?

(c)Hyundai

 ヒュンダイ・モータースポーツのチーム代表であるアンドレア・アダモは、クロアチア・ラリーでふたたびライバルのトヨタGAZOOレーシングにWポディウムを奪われたことについて、土曜日のタイヤ選択のミスを生んだチームマネージメントとともにターマックにおいてドライバーがi20クーペWRCをまだ信頼できていないという2つの改善すべき点があると認めた。

 クロアチアにおいてヒュンダイ勢でもっとも良いパフォーマンスをみせたのはティエリー・ヌーヴィルだ。彼は初日からリードして今季初優勝が期待されたが、土曜日のタイヤ選択のミスで大きく遅れてしまった。リードするトヨタの二人との差を縮めようとヌーヴィルは最終のパワーステージまですべての力を尽くしているが、ステージの終盤でジャンクションをオーバーシュートしてしまい、3位でフィニッシュを迎えることになった。

 アダモは、ヌーヴィルが3日間のイベントを通して6つのステージウィンを獲得しながらも、優勝できなかったのは土曜日朝のループでの誤ったタイヤ選択をチームが指示したことが大きな敗因であることを認めた。

「土曜日のタイヤ選択のミスがなければ、週末を通じてのティエリーの速さを見れば、彼はもっともっと上に食い込めたはずだし、勝利だって手にしていたかもしれない。事実、最終日も彼のペースはトップの2台を上回っていた。ポジティブな面を見れば、チームが本当に頑張ってきてくれたからこそ、クルマも十分な競争力があることを証明できたことを私は嬉しく思っているよ。今後もシーズンも接戦が続いて行くことになるだろうし、どんな小さなミスであろうとそれがさらに大きく拡大されて罰として返ってくることになる、だから我々の戦略面でのマネージメントをもっと改善していく必要があるかもしれない」

 しかし、オイット・タナクはヒュンダイi20 WRCクーペでトラブルなく走りきって4位となっており、クレイグ・ブリーンもタイヤ交換を強いられたために8位で終えているが、二人に共通しているのは完全に攻めるまでマシンを信頼できてないとアダモは認めている。

 アダモは気を使いながら、9回の世界王者セバスチャン・ローブを引き合いに出して説明している。

「誤解されやすいことなので、誤解がないようにしたい」とアダモは語った。

「ここ数年のセバスチャン・ローブはグラベルよりもターマックでの方でペースを保っていくことに少し苦労していたようだ。それは彼がこのクルマで十分な速さを発揮できなかったからではなく、ターマックで限界まで走るためには、クルマに対する高い信頼性が必要だったからだ」

 ローブは2019年と2020年にヒュンダイから限定的な参戦を果たしたが、彼がその期間に獲得したポディアムは2回にとどまり、それもグラベルイベントでのものだった。彼が出走したターマックイベントではだいたい何かしらのハプニング、また彼のチームメイトたちが見せてきたようなクルマへの自信を得ることができずに期待された優勝争いにからむことができなかった。

「すべてのコーナーでスロットルを離すのが少し早過ぎたり、他のドライバーのようにブレーキを深く踏まなかったとしたら、コンマ1秒、コンマ1秒、そしてまたコンマ1秒とロスしていく、そしてステージの終わりにたどり着いた時には6秒を失ってしまう、そして今日のようなラリーでは6秒ははかりしれない大きさだ。クルマのパフォーマンスがあることはわかっているが、ドライバーが信頼してパフォーマンスを引き出せていなかった。それがクロアチアの課題だ」