ERC2018/09/24

グリアジンがポーランド優勝、U28トップに浮上

(c)ERC

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 FIAヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第7戦ラリー・ポーランドは23日に最終日を迎え、スポーツ・レーシング・テクノロジーズのニコライ・グリアジン(シュコダ・ファビアR5)がヒュンダイ・ジュニアドライバーのヤリ・フットゥネン(ヒュンダイi20 R5)の追撃から逃げ切り、今季初の総合優勝を飾ることになった。20歳のグリアジンにとってこれがERCの2度目の総合優勝となり、ERCジュニアU28選手権でも今季3度目の優勝によって逆転で選手権リーダーに浮上することになった。
 
 新チャンピオンのアレクセイ・ルクヤヌク(フォード・フィエスタR5)が土曜日の朝にリタイアとなるなか、SS2からラリーをリードしたグリアジンが首位で最終日を迎えたが、フットゥネンも11秒差で続いており、二人は一瞬のミスも許されない高速ステージで最終日も激しく火花を散らし合うことになった。

 フットゥネンはオープニングステージのSS10ポジェズドジェを制して8.3秒後方まで迫ったが、グリアジンもSS11ゴウダップ、SS12バラノヴォの高速ステージで2連続のベストタイムを奪って応戦、リードを13秒へと広げて朝のループを終えることになった。しかし、グリアジンは前日の午後のループではタイヤの摩耗が厳しかったことから割り当てられたニュータイヤをすでに使い果たしており、使用済みのタイヤで向かうこの日の最後のループでは厳しい戦いが待っていると語っていたが、はたして彼の予告どおりに午後のループはフットゥネンの反撃で始まることになった。

 さらにペースをアップしたフットゥネンは、SS13ポジェズドジェでふたたびベストタイムを奪ってグリアジンの8.9秒後方に迫り、さらにSS14ゴウダップでも左リヤをパンクさせながらも快心の走りでグリアジンの2.9秒後方へと迫ることになった。

 だが、両者一歩も引かない白熱した戦いは思ってもみなかったエンディングを迎えることになった。フットゥネンはステージエンドで、タイヤ交換をするとともにダメージを受けていたリヤサスペンションの応急修理を行ったためにスタート前のタイムコントロールにわずかに遅着していたと無念そうに明かし、二人の差はペナルティによって12.9秒へと広がることになった。

 グリアジンもステージ前にライバルの状況を把握しており、傷んだタイヤでスリッパリーなコンディションでも無理をすることなくペースをコントロールすることができたと笑みをみせることになった。彼は摩耗で完全に擦り切れた状態のタイヤながら最終ステージでも首位を守りきってフィニッシュ、フットゥネンのトラブルに同情しつつもハードな戦いを勝利したことに喜びを噛みしめていた。

 3位争いは、トップ2台から1分30秒以上引き離されながらも、ERCジュニアU28のタイトル・チャンスを残す2人によって激しいバトルとなった。選手権2位につけるクリス・イングラム(シュコダ・ファビアR5)はオープニングステージのSS10でオーバーシュートのため選手権リーダーのシュコダ・アウト・ドイッチュランドのファビアン・クライム(シュコダ・ファビアR5)に2.3秒差が迫られることになった。

 それでもイングラムは最終的に17.3秒差をリードしてクライムを押さえてERCジュニアU28の2位でフィニッシュ、ERC総合でも3位となり、初のポディウムを飾ることになった。

 クライムは着実な走りを続けてERCジュニアU28の3位でフィニッシュしたが、選手権はベスト4戦の有効ポイントで争われるために、ここで5戦目を走った彼は開幕戦ラリー・アソーレスでのポイントを失い、選手権3位に陥落することになった。ERCジュニアU28で今季3度目の優勝を飾ったグリアジンが130ポイント、イングラムは123ポイント、クライムも122ポイントとまだまだ僅差で続いており、最終戦を残して三つ巴の戦いとなっている。

 ERCジュニアU27は、ADACオペル・ジュニア・チームトム・クリステンソン(オペル・アダムR2)がスペインのエフレン・ヤレナ(プジョー208 R2)に13.1秒差をつけて初優勝を飾ることになった。

 また、選手権リーダーのマルティンシュ・セスクス(オペル・アダムR2)は初日のクラッシュでリタイアとなり、さらにリスタートした最終日もSS12でクラッシュに見舞われたが、最終戦を待たずにここでERCジュニアU27のチャンピオンを決めている。

 ERC最終戦ラリー・リエパーヤは10月12〜14日に予定されている。グリアジンに取ってホームイベントもいえるラトビアでの開催だ。