WRC2023/05/15

グリーンスミスWRC2優勝、ソルベルグ逆転ならず

(c)RedBull Content Pool

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 ラリー・デ・ポルトガルの最終日は、ガス・グリーンスミス(シュコダ・ファビアRS Rally2)がオリヴァー・ソルベルグ(シュコダ・ファビアRS Rally2)に1.2秒の差をつけてWRC2選手権優勝を果たすというエキサイティングな展開となった。

 グリーンスミスは、ソルベルグに35.4秒差をつけられた2位でフィナーレを迎えると考え、土曜日の夜、ベッドに入った。しかし、スチュワードが深夜にソルベルグがSS15ロウサダ・スーパーSSのフライングフィニッシュのあと、ストップコントロールまでの間に観客の声援に応えるためにコース上でドーナツターンを披露したことが問題となり、1分間のタイムペナルティを課され、形勢は逆転した。

 グリーンスミスは日曜日のミッションは、残り4ステージで24.6秒のアドバンテージを保つという簡単なものに思われたが、実際には試練となってしまった。

 グリーンスミスはSS17ファフェのジャンプのあとの激しい着地によってフロントバンパーを失っただけでなく、パワーステアリングの故障に見舞われてしまう。彼はここで6.6秒をロス、さらにSS18でもソルベルグに6.8秒差を削られてしまい、最終ステージをわずか8.7秒をリードして迎えることになった。

 グリーンスミスは中間スプリットでは6.6秒を縮められ、最後の上りのセクションで追い詰められるかにも見えたが、1.2秒の差で逃げ切って勝利を収めた。

 ソルベルグは限界まで攻めた後、「とにかく頑張ったんだ、悔やまないよ」と語ってグリーンスミスの到着を待っていたが、敗北を知るやフェンダーを叩いて悔しがった。グリーンスミスは「ちょっと危なかったな」と笑顔を見せた後、ハグするためにソルベルグのところへと向かって健闘を讃えている。

 グリーンスミスは、ソルベルグの不運なペナルティを喜べないとしたものの、レギュレーションを理解していなかったことは彼の責任だと語っている。「誰にとっても喜べないペナルティだと思う。僕たちは皆、ファンと一緒に喜びたいと思っているし、誰もがその光景を愛している。しかし、残念ながらルールはルールであり、ルールを理解し、破らないことが仕事になるのだ」

 チャンピオンシップに復帰したアンドレアス・ミケルセン(シュコダ・ファビアRS Rally2)は初日のパンクのあと土曜日に素晴らしい追い上げをみせて3位まで挽回、ソルベルグから41.8秒遅れの3位でフィニッシュ、トークスポーツWRTの3人が表彰台独占を達成した。

 ヨアン・ロッセル(シトロエンC3 Rally2)は土曜日のダンパー破損でポディウム圏内のチャンスを失ったが、ミケルセンから1分遅れの4位でフィニッシュ、チャンピオンシップのリードを守った。

 テーム・スニネン(ヒョンデi20 N Rally2)が5位、マルコ・ブラチア(シュコダ・ファビアRS Rally2)がWRC2チャレンジャー選手権で優勝した。50歳以上のドライバーを対象としたWRC2マスターズカップでは、スペイン人のアレクサンダー・ヴィラヌエアヴァ(シュコダ・ファビアRS Rally2)が優勝した。